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独裁色強めるタイ政権 中国との蜜月の行方は?
2015年10月23日(Fri) 岡崎研究所
❶ 軍政を嫌う米国との関係がギクシャクする反面、タイは中国との緊密さを増しているが、その勢力圏に入ろうとしているわけではない、と9月19-25日号の英エコノミスト誌が述べています。
すなわち、プラユット政権は、新憲法草案を却下し、選挙を少なくとも2017年まで延期し、また、政権に批判的なジャーナリストを一時拘束するなど、独裁色を強めている。そのため、民政復帰を求める米国との関係は悪化し、他方、中国との関係はかつてないほど良好だ。
対等でなかったタイ—米関係
これを、アジアにおける長期の不可逆的傾向と見る向きもある。「タイは半世紀間、米国の影響下にあったが、今や中国の勢力圏に入りつつある」というのだ。
例えば、米国は軍事援助を一部減らし、合同軍事演習や公式訪問を見合わせた。また、今年、米国務省はタイを人身売買で最悪のカテゴリーに分類した。
❷ 米国とタイは昔から緊密な関係にあったが、それは対等なものではなく、タイは下に見られていると度々感じてきた。特に1997年のアジア金融危機の際に呑まされた厳しい処方箋と説教のことは今も恨みに思っている。
❸ 他方、当時早々に支援を提示してくれ、タイ内政への不介入姿勢を保つ中国には感謝の念を抱いている。加えて、中国は最大の貿易相手国であり、観光でも最大の顧客だ。中国が計画している雲南省とバンコク間の高速鉄道が出来れば、関係はさらに強化されよう。
❹ マレー半島のクラ地峡に運河を掘る話もある。もし実現すれば、中国はマラッカ海峡に依存しなくてもすみ、非常な戦略的恩恵を受けるだろう。
タイは今や中国の支配下にあるとの認識は、7月にタイが中国から逃れて来たウイグル人の強制送還を決めた時にも言われた。
しかし、タイの中国との緊密な関係は、今に始まったわけではなく、軍事政権を批判する西側に反発したからでもない。
❺ タイは、中国がタイの共産主義勢力への支援を止めた1970年代以来、おそらく東南アジアで最も中国と緊密な関係にある。両国の間に領土問題はなく、中国系タイ人を巡る軋轢もない。中国の革命後、タイが米国の同盟国になり、両国が対立した時期はむしろ例外だった。
と言っても、タイは中国の属国になろうとしているのではない。世論はそれを支持しないだろう。ウイグル人の強制送還はタイでも批判され、タイ海軍の中国製潜水艦購入計画にも強い反対がある。逆に、タイ支配層の一部は米国との関係を強く支持している。今週、ある閣僚は、タイのTPP参加の意志を改めて表明した。
❻ 要するに、米中は影響力を競っているが、まだ冷戦にはなっていない。一方の勢力圏に入れば、他方の勢力圏から追い出されるわけではない。それに、中国の影響力拡大で、米国の友情のありがたさは増すだろう、と述べています。
出 典:Economist ‘Under the umbrella’(September 19-25 , 2015)
http://www.economist.com/news/asia/21665016-unelected-dictatorship-thailands-government-finds-china-more-amenable-america-under
* * *
上記記事は、米国がタイのクーデターとその後の実質上の軍事政権に批判的なのに対し、中国との関係はかつてないほど良いが、タイの中国との密接な関係は今に始まったわけではないし、タイが中国の勢力圏に入りつつあるわけではない、と言っています。おそらく、その通りでしょう。
❼ タイは歴史的に外交のバランス感覚に長け、19世紀後半ビルマまで東進してきた大英帝国、インドシナを植民地化したフランスを相手に、領土で一定の譲歩をしながら東南アジアで唯一独立を維持しました。
❽ 機を見るのも敏で、太平洋戦争で戦況が日本に不利になると、自由タイ運動を起こして日本に抵抗し、日本の同盟国でありながら、敗戦国扱いされませんでした。
ベトナム戦争中は、米国に全面協力しながら、戦後はいち早く米国との軍事関係を整理しています。
このようなタイが、中国の支配下に入ることは考えられません。経済的、軍事的に圧倒的に強い中国と、東南アジアで最も緊密と言われる関係を保ちながら、あるいは日本や米国との関係を推進し、あるいはASEAN諸国との協力を進めることによってバランスを取り、中国に飲み込まれないよう配慮して行くのでしょう。
なお1997年のアジア危機に関する記述は正確ではありません。タイは金融危機に際し、米国から呑まされた厳しい処方箋と説教を今も恨んでいるとありますが、処方箋を与えたのはIMFで、米国は直接には何もしませんでした。当時、記者会見で、米国は何もしていないのではないかと質問された駐タイ米国大使が、米国は世界一の国内市場をタイに開放しており、また高等教育の機会を提供してタイに貢献している、と答えていましたが、これは図らずもアジア危機に対しては何もしていないことを告白したも同然でした。
❾ また、中国が危機に際し早々に支援を提示したと言っていますが、中国は何もしていません。全面的支援の手を差し伸べたのは日本で、日本は「困ったときの真の友人」としてタイの官民から深謝されました。
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● 早い話が、弱小国家の生き方を示しているだけでしょう。臨機応変は大切ですが、
見方を変えれば、日和見と言う事になります。
● 今回の習近平・英国訪問で分かったように、金の力は偉大なのです。お金がなければ
王室を維持する事も出来ないのです。当然の事でしょう。年金生活に入った英国は、
その年金を保証する人に隷属するのは当然です、しかし、
● しかし見方を変えれば、年金老人の世話をさせられていると見る事も出来ます。
朝貢貿易しているつもりが、朝貢貿易させられているのです。
● 痩せても枯れても、大英帝国は未だ完全崩壊しているわけではありませんし。最後の年金生活を
楽しむための、最後の賭けに出たともいえます。つまり、死亡すれば借金は払わなくて
良いのが、ルールです。その子供や孫は何ら、親父や祖父母の借金を払わなくても
良いのは常識であり、当然の事です。
● ❶ お金がないから、年金老人はチャイナから、投資してもらうのです。
❷ ギリシアを見ても分かるように、時代の末期に出る左右の過激派の政権は、そもそも
借金を返さないために出てきた政権なのです。時代の末期とはそのような事です。
❸ 英国の労働党のトップに左翼過激派の人が誕生しています。つまり時代が変われば
チャイナからの借金は返さないという事なのです。EUの盟主のドイツの影響下に
入る事を嫌う英国の選択は、遠交近攻という選択なのです。
❹ チャイナが台頭しているといっても、まだまだ地域の覇権も十分持っていない国です。
ましてや借金取りに英国まで軍艦を派遣することは出来ないでしょう。
その前に、日米の海軍を壊滅させる必要がありますから、可能性は0です。
● タイの王室の様に、独立を保つのに汲々していても、時代が若いと思われる国は、臨機応変とか
日和見でも十分生きていけるでしょうが、しかし余命が少ない英国はそうは行きません。
武人時代になれば、英国王室の存続自体が危険に曝されるのです。
● この様に、自国の力や狡猾さによって微妙にそのやり方は異なっても、基本は相手のお金目当てで
ある事は、上記両国の動きを見れば分かります。早い話が、日本が今後お金を用意することが
出来なくなれば、東南アジアのみならず、ユーロ圏もチャイナになびく恐れがあるのです。
● 国際政治はこのように、冷徹ですから、お金を主体にしながら、借金を取り立てる事が出来る
軍事力を持つのが、国民の国益を守る基本的な事なのです。
● 左翼の様に口先で国民の生命と財産を守るといっても、所詮乙女の祈りでしかないのです。
● お金を返せといっても返してもらう権利を持っているのみですから、返さない国には物理的な行使が
出来る能力が必要なのです。そうでなければ、金を貸したら、お金は相手のものになるのです。
● 取り立てる能力のない国を誰が怖がるのです。タイがびくびくと日和見になっても分かりますが、
しかし、英国は逆にチャイナが貢がされてるとみるのが正解でしょう。
● 武人の時代になり、借金を返せなくても、お隣でないチャイナには、脅威も何も感じないのが
英国でしょう。しかしタイは隣国ですから、安心できません。
● 日本のお金と軍事力は、従って東南アジアの安定の為にも、
国益の為にも、非常に重要な事なのです。
独裁色強めるタイ政権 中国との蜜月の行方は?
2015年10月23日(Fri) 岡崎研究所
❶ 軍政を嫌う米国との関係がギクシャクする反面、タイは中国との緊密さを増しているが、その勢力圏に入ろうとしているわけではない、と9月19-25日号の英エコノミスト誌が述べています。
すなわち、プラユット政権は、新憲法草案を却下し、選挙を少なくとも2017年まで延期し、また、政権に批判的なジャーナリストを一時拘束するなど、独裁色を強めている。そのため、民政復帰を求める米国との関係は悪化し、他方、中国との関係はかつてないほど良好だ。
対等でなかったタイ—米関係
これを、アジアにおける長期の不可逆的傾向と見る向きもある。「タイは半世紀間、米国の影響下にあったが、今や中国の勢力圏に入りつつある」というのだ。
例えば、米国は軍事援助を一部減らし、合同軍事演習や公式訪問を見合わせた。また、今年、米国務省はタイを人身売買で最悪のカテゴリーに分類した。
❷ 米国とタイは昔から緊密な関係にあったが、それは対等なものではなく、タイは下に見られていると度々感じてきた。特に1997年のアジア金融危機の際に呑まされた厳しい処方箋と説教のことは今も恨みに思っている。
❸ 他方、当時早々に支援を提示してくれ、タイ内政への不介入姿勢を保つ中国には感謝の念を抱いている。加えて、中国は最大の貿易相手国であり、観光でも最大の顧客だ。中国が計画している雲南省とバンコク間の高速鉄道が出来れば、関係はさらに強化されよう。
❹ マレー半島のクラ地峡に運河を掘る話もある。もし実現すれば、中国はマラッカ海峡に依存しなくてもすみ、非常な戦略的恩恵を受けるだろう。
タイは今や中国の支配下にあるとの認識は、7月にタイが中国から逃れて来たウイグル人の強制送還を決めた時にも言われた。
しかし、タイの中国との緊密な関係は、今に始まったわけではなく、軍事政権を批判する西側に反発したからでもない。
❺ タイは、中国がタイの共産主義勢力への支援を止めた1970年代以来、おそらく東南アジアで最も中国と緊密な関係にある。両国の間に領土問題はなく、中国系タイ人を巡る軋轢もない。中国の革命後、タイが米国の同盟国になり、両国が対立した時期はむしろ例外だった。
と言っても、タイは中国の属国になろうとしているのではない。世論はそれを支持しないだろう。ウイグル人の強制送還はタイでも批判され、タイ海軍の中国製潜水艦購入計画にも強い反対がある。逆に、タイ支配層の一部は米国との関係を強く支持している。今週、ある閣僚は、タイのTPP参加の意志を改めて表明した。
❻ 要するに、米中は影響力を競っているが、まだ冷戦にはなっていない。一方の勢力圏に入れば、他方の勢力圏から追い出されるわけではない。それに、中国の影響力拡大で、米国の友情のありがたさは増すだろう、と述べています。
出 典:Economist ‘Under the umbrella’(September 19-25 , 2015)
http://www.economist.com/news/asia/21665016-unelected-dictatorship-thailands-government-finds-china-more-amenable-america-under
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上記記事は、米国がタイのクーデターとその後の実質上の軍事政権に批判的なのに対し、中国との関係はかつてないほど良いが、タイの中国との密接な関係は今に始まったわけではないし、タイが中国の勢力圏に入りつつあるわけではない、と言っています。おそらく、その通りでしょう。
❼ タイは歴史的に外交のバランス感覚に長け、19世紀後半ビルマまで東進してきた大英帝国、インドシナを植民地化したフランスを相手に、領土で一定の譲歩をしながら東南アジアで唯一独立を維持しました。
❽ 機を見るのも敏で、太平洋戦争で戦況が日本に不利になると、自由タイ運動を起こして日本に抵抗し、日本の同盟国でありながら、敗戦国扱いされませんでした。
ベトナム戦争中は、米国に全面協力しながら、戦後はいち早く米国との軍事関係を整理しています。
このようなタイが、中国の支配下に入ることは考えられません。経済的、軍事的に圧倒的に強い中国と、東南アジアで最も緊密と言われる関係を保ちながら、あるいは日本や米国との関係を推進し、あるいはASEAN諸国との協力を進めることによってバランスを取り、中国に飲み込まれないよう配慮して行くのでしょう。
なお1997年のアジア危機に関する記述は正確ではありません。タイは金融危機に際し、米国から呑まされた厳しい処方箋と説教を今も恨んでいるとありますが、処方箋を与えたのはIMFで、米国は直接には何もしませんでした。当時、記者会見で、米国は何もしていないのではないかと質問された駐タイ米国大使が、米国は世界一の国内市場をタイに開放しており、また高等教育の機会を提供してタイに貢献している、と答えていましたが、これは図らずもアジア危機に対しては何もしていないことを告白したも同然でした。
❾ また、中国が危機に際し早々に支援を提示したと言っていますが、中国は何もしていません。全面的支援の手を差し伸べたのは日本で、日本は「困ったときの真の友人」としてタイの官民から深謝されました。
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● 早い話が、弱小国家の生き方を示しているだけでしょう。臨機応変は大切ですが、
見方を変えれば、日和見と言う事になります。
● 今回の習近平・英国訪問で分かったように、金の力は偉大なのです。お金がなければ
王室を維持する事も出来ないのです。当然の事でしょう。年金生活に入った英国は、
その年金を保証する人に隷属するのは当然です、しかし、
● しかし見方を変えれば、年金老人の世話をさせられていると見る事も出来ます。
朝貢貿易しているつもりが、朝貢貿易させられているのです。
● 痩せても枯れても、大英帝国は未だ完全崩壊しているわけではありませんし。最後の年金生活を
楽しむための、最後の賭けに出たともいえます。つまり、死亡すれば借金は払わなくて
良いのが、ルールです。その子供や孫は何ら、親父や祖父母の借金を払わなくても
良いのは常識であり、当然の事です。
● ❶ お金がないから、年金老人はチャイナから、投資してもらうのです。
❷ ギリシアを見ても分かるように、時代の末期に出る左右の過激派の政権は、そもそも
借金を返さないために出てきた政権なのです。時代の末期とはそのような事です。
❸ 英国の労働党のトップに左翼過激派の人が誕生しています。つまり時代が変われば
チャイナからの借金は返さないという事なのです。EUの盟主のドイツの影響下に
入る事を嫌う英国の選択は、遠交近攻という選択なのです。
❹ チャイナが台頭しているといっても、まだまだ地域の覇権も十分持っていない国です。
ましてや借金取りに英国まで軍艦を派遣することは出来ないでしょう。
その前に、日米の海軍を壊滅させる必要がありますから、可能性は0です。
● タイの王室の様に、独立を保つのに汲々していても、時代が若いと思われる国は、臨機応変とか
日和見でも十分生きていけるでしょうが、しかし余命が少ない英国はそうは行きません。
武人時代になれば、英国王室の存続自体が危険に曝されるのです。
● この様に、自国の力や狡猾さによって微妙にそのやり方は異なっても、基本は相手のお金目当てで
ある事は、上記両国の動きを見れば分かります。早い話が、日本が今後お金を用意することが
出来なくなれば、東南アジアのみならず、ユーロ圏もチャイナになびく恐れがあるのです。
● 国際政治はこのように、冷徹ですから、お金を主体にしながら、借金を取り立てる事が出来る
軍事力を持つのが、国民の国益を守る基本的な事なのです。
● 左翼の様に口先で国民の生命と財産を守るといっても、所詮乙女の祈りでしかないのです。
● お金を返せといっても返してもらう権利を持っているのみですから、返さない国には物理的な行使が
出来る能力が必要なのです。そうでなければ、金を貸したら、お金は相手のものになるのです。
● 取り立てる能力のない国を誰が怖がるのです。タイがびくびくと日和見になっても分かりますが、
しかし、英国は逆にチャイナが貢がされてるとみるのが正解でしょう。
● 武人の時代になり、借金を返せなくても、お隣でないチャイナには、脅威も何も感じないのが
英国でしょう。しかしタイは隣国ですから、安心できません。
● 日本のお金と軍事力は、従って東南アジアの安定の為にも、
国益の為にも、非常に重要な事なのです。