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新しい地政学の登場・ランドパワー・シーパワー論の時代遅れ

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★ http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140715/frn1407151140001-n1.htm

【安倍外交の挑戦】「シー・パワーの盟主」米国が戦い放棄 中ロ「ランド・パワー」台頭へ (1/2ページ) 2014.07.15

「シー・パワー」の盟主として力量が問われるオバマ米大統領(AP)

★(1)

 米国が「世界の警察官」の座から降りたため、「力の真空」地帯が世界各地に現れ、「地政学」が復活した。米国(シー・パワー)は、ソ連(ランド・パワー)との「冷戦」に勝利して世界秩序を形成・維持してきた。しかし、「シー・パワー」の長たる米国がいなくなったため、「ランド・パワー」であるロシアと中国の力が浸透しつつある。

 地政学は、18世紀にドイツの哲学者、カントにより「地理的事実を政治に応用する」と体系化した。19世紀に米海軍軍人で戦略研究者であるアルフレッド・T・マハンの「シー・パワー論」(海を制するものは世界を制す)や、英政治家で地理学者であるハルフォード・マッキンダーの「ランド・パワー論」(ハートランド・ユーラシア大陸を制するものは世界を制す)という、二大の潮流に分かれた。

 ロシアは、ウクライナのクリミア半島を強制統合し、中国は、南シナ海のパラセル(西沙)・スプラトリー(南沙)諸島を聖域化する勢いを増している。

 プーチン露大統領と中国の習近平国家主席は5月20日、上海で首脳会談を行い、ロシア産天然ガスの中国への大型供給契約を締結した。これで今後30年間、中国は天然ガスの安定供給を確保し、ロシアは安定収入を得る。中ロの戦略関係が強固となればハートランドに「ユーラシア同盟」が出現することになる。

 ユーラシア大陸の南部の中東では、イランが「リビジョニスト・パワー」(現状打破国)として台頭している。イランはシリアのアサド政権を助け、イラクのマリキ首相を擁護するため革命防衛軍を送り、イスラム教シーア派回廊を中東に築きつつある。

これに対して、イスラム教スンニ派過激組織(ISIL)は、イラク北部からシリアにかけた地域に「イスラム国」の樹立を一方的に宣言し、イラクは分裂の危機にある。

 ユーラシア大陸の東部では、中国が韓国を手中に収めようと布石を打つ。その状況を、米フォーブス誌(7月3日付)は「中国、日本、北朝鮮、韓国の間の『同盟の組み替え』が起こりつつあり東アジアで、パワー・ゲームが始まった」とし、「中韓を異常接近させ、日韓離反を招いたオバマ大統領の無能さ」を批判した。

 問題は、「地政学の復活」という現状に、「シー・パワー」である米国はどう対応するか−。ブレジンスキー元米大統領補佐官は、米国がユーラシア大陸をどう管理するかが重要で、それができなければ世界は混乱すると予言している。

 オバマ大統領の外交政策(オバマ・ドクトリン)は「規範(国際法)」の順守であり、違反国には非軍事的手段を優先する。米国の核心的利益は米国民と同盟国を守ることにあるが、同盟国は自分の力でまず守れとする。「シー・パワー」の盟主である米国が戦いを放棄しているのである。

 この状況に、安倍晋三政権は集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。安倍政権は、オーストラリアやベトナム、フィリピンなどの「シー・パワー連合」を作りあげ、「ランド・パワー」に挑戦せねばならない。

 ■川上高司(かわかみ・たかし) 1955年、熊本県生まれ。拓殖大学海外事情研究所所長。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。著書に、「米軍の前方展開と日米同盟」(同文舘出版)、「アメリカ世界を読む−歴史を作ったオバマ」(創成社)など

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● これらの論=ランドパワー、シーパワー論には著しく論理の飛躍があり、歴史的事実と
  合いません。単なるアジテート用の理論・仮説と見るべきです。
  つまり、支配の論理の為の言い訳です。

● 最近の例を列挙するだけでも、それに対する反論としては、十分でしょう。

  ➊ 歴史上大国は必ず興亡しており、世界をすべて支配した大国はない。
    かの有名なローマ帝国の残骸は、イタリアに見られるが、
    イタリアにあるのは、帝国の廃墟のみです。

  ➊ ユーラシアの大半を支配したソ連でさえ、あっけなく崩壊した。
    1620年からの帝国=武人の時代は、270年の寿命で滅んだ。

  ➊ 7つの海を支配した英国でも、今は見る面影はない。彼らが世界に
    乗り出したのは、産業革命でいち早く、西欧ではいち早く、
    近代資本主義国家になったからであり、それまでは
    単なる地域国家に過ぎなかった。

  ➊ 日本が過去には大国として、文明国家として尊敬していた中国は、清の
    末期には、欧米に浸食され、更に日本との戦争であっけなく滅んだ。
    体制が変わって近代資本主義国家として歩んだ日本には勝てなかった。

  ➊ 西欧は昔は、クリミアを支配する力があったが、今はすべて束になっても
    クリミアは取り返せない。いえば、西欧の黄昏を示しています。

  ➊ かの国際金融機関やUSAに支援されているイスラエルさえも、わずかのガザ地域の
    パレスチナ人を抑えるのに、苦労している。

● 従って、彼らのパワー論は、単に力を蓄えた国が、他国を侵略・支配・収奪する為の
  言い訳でしかないという事です。

● 世界のリーダーとして、その国に力をもたらすのは、領土の大きさや人口等には
  関係ない要素が大きな部分を構成しています。小さな島国の英国や日本が
  大きな力を発揮していることからも分かります。

  ? つまり、先に資本主義国として離陸した国は、豊かになっている=強いという事です。

  ? 270年おきに替わる体制で、その国の性格が規定されます。ロシアは好戦的な
    ソ連から内向きの国家へと変貌しています。その気になればウクライナは
    占領できますが、最早共産主義ではないので、その領土野心は消えています。
    クリミアはあくまでも、安全保障のための合併です。

  ? 1910年からの中国は、内戦に明け暮れて(=戦国時代)疲弊しましたが、その後
    自らは近代国家になれないために、西欧の褌である程度近代化を成し遂げ、
    その後にそのオオカミの本性=武人国家≒共産国家の本性を現しています。

  ? 遅れた持たざる資本主義国で、2度の大戦で英仏に負けた独は、今は資本主義の
    最盛期の為に、西欧=ヨーロッパのリーダーに収まっています。

  ? このように100年単位でみれば、世界はコロコロ変わっているのです。むしろ
    時代の特徴=富者の時代≒資本主義、武人の時代≒共産主義、知恵者の時代
    ≒君主国家と270年おきに代わる、その国の時代の流れがパワーを
    規定するのです。

● この理論から言えば、ロシアの次の富者の時代は、1990+270年=2260年から始まると
  予想できますから、広大な大地と資源とを持っているロシアは、地球温暖化の
  波と相まって、広大なシベリアを開発して、今のUSA並の大国になると予想
  できます。この時が真のロシアのランドパワーが発揮されるときです。

● 又中国がシーパワーを発揮しうる大国になるには、1910年+540年=2450年まで
  待たねばならないという事です。今はいくら頑張っても自国の15億人の
  人口を養うだけで、そのエネルギーは消耗されますから、
  海洋強勢国家になる事は出来ないでしょう。

● すべては時が来るまでは、我慢するしかないのです。臥薪嘗胆、待てば海路の日和あり。

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