菅政権は外交方針を大転換したのか 「自由で開かれた」文言の変更は重大 中国の「力による現状変更」許すつもりか（夕刊フジ） - Yahoo!ニュース
菅政権は外交方針を大転換したのか 「自由で開かれた」文言の変更は重大 中国の「力による現状変更」許すつもりか12/3(木) 16:56配信
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菅首相
【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか！】 先週の日中外相会談後の共同記者会見（１１月２４日）が波紋を呼んでいます。報道陣のカメラの前で、中国の王毅国務委員兼外相は、沖縄県・尖閣諸島の領有権を主張したうえで、周辺海域での中国公船の活動を正当化しました。これに何も言い返さなかった茂木敏充外相の姿を見て私も違和感を抱きました。と同時に、現政権の外交姿勢に対する懸念が具体的に表れたと思いました。 【写真】尖閣をめぐり暴言、妄言を重ねた中国の王毅外相 菅義偉政権の外交は、就任直後の各国との電話会談に始まり、日米豪印４カ国外相会合（ＱＵＡＤ＝クアッド）、ベトナム・インドネシア訪問と続きました。
ここまでは、安倍晋三前政権から踏襲する「自由で開かれたインド太平洋」を旗印に価値観外交を展開していくと思われていましたが、米国のジョー・バイデン次期大統領との電話会談から雲行きが怪しくなりました。 会談後の発表では、「自由で開かれたインド太平洋」の代わりに、「安全で繁栄したアジア太平洋地域（Ｐｒｏｓｐｅｒｏｕｓ ａｎｄ ｓｅｃｕｒｅ ｉｎ Ａｓｉａ Ｐａｃｉｆｉｃ ｒｅｇｉｏｎ）」という文言が使われたのです。
官邸周辺や外交関係者に取材をすると、「文言変更に特に意味はない」とか、「米側も政権移行期で国務省が入って文言を精査したわけではないので問題ない」といった答えが返ってきました。 しかし、文言の変更はそれなりの意図があってのことで、もし意図がないのなら変える必要がありません。そもそも、「自由で開かれた」というのは哲学の問題であり、思想信条や人権が尊重され、かつ米国であろうとヨーロッパであろうと、どの国も排除しないという意味です。
中国は真逆で、まず自由がなく、「アジアのことはアジアで決める」と主張し、米国やヨーロッパと言った域外国を排除しようとしています。 一方、「安全で繁栄した」ということは、力によって一方的に現状変更しても相手国との間で紛争状態にならなければ、南シナ海をめぐる状況のように強権によって「安全」な状態が出現します。自由はなくとも経済的に「繁栄」できることは、ここ２０年の中国を見れば明らかでしょう。
もし、「自由で開かれた」から「安全で繁栄した」への文言が変更されたのであれば、それは重大です。価値観と引き換えに経済的な繁栄を選んだようなものですから。 それを裏打ちするかのように、王外相が「力による現状変更」を高らかにカメラの前で言い放ったのに、茂木外相は言い返しもしませんでした。 外務省幹部は「大人の対応だった」とか「会談では申し入れた」と説明しています。確かに、こちらが行動を起こさなければ紛争状態にはなりません。ですが、それこそ大方針なく場当たり的な外交に終始してきた昔に戻ってしまったのではないかと危惧します。 その結果として、尖閣の現状を招いたことを忘れたのでしょうか？
■飯田浩司（いいだ・こうじ） １９８１年、神奈川県生まれ。２００４年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のＯＫ！ＣＯＺＹ ＵＰ！」（月～金曜朝６－８時）を担当。趣味は野球観戦（阪神ファン）、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。