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中国が南シナ海に配備した強力な爆撃機 “目の敵”米空母撃破の体制を着々と強化 2020.8.20(木)北村 淳
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(北村 淳:軍事社会学者)
南シナ海・西沙諸島の永興島(ウッディー島)に中国海軍の新型爆撃機「H-6J」が配備されている模様である。これまでも中国海軍爆撃機や戦闘機が南シナ海で実戦的訓練を実施している状況はしばしば確認されていたが、前進海洋基地に爆撃機が配置されたのは初めてということになる。
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拡大画像表示 ギャラリーページへ 西沙海戦に勝利して領有体制を確立
永興島は、中国とベトナムが領有権紛争を続けている西沙諸島の中心の島である。海南島からおよそ300キロメートルの永興島からは、中国が建設した南沙諸島の人工島基地群までおよそ700~850キロメートル、そして中国が掌握しようとしているスカボロー礁までおよそ600キロメートルである。
1974年1月、中国はベトナム戦争の混乱に乗じて西沙諸島に軍事侵攻し、南ベトナム軍との間で島嶼攻防戦(西沙海戦)を引き起こした。双方に 多数の死傷者が出て、ベトナム軍艦1隻が沈没し、3隻が損害を受け、中国軍艦4隻も損害を受けるという本格的な戦闘であった。戦闘に勝利した中国は、西沙諸島全域を占領して軍事拠点などの設置を開始し、その後、完全な領有体制を確立して現在に至っている。