
マスメディアでも取り上げられることが多い東京都医師会の記者会見。新型コロナウイルス感染症対策では、尾崎治夫会長の発言に注目が集まるが、介護現場の現状、課題についての発信も続けている。どのような考えで、都医は介護との連携に力を入れているのか。都医副会長の平川博之氏に聞いた(2020年8月7日にインタビュー)。

――東京都医師会の会見では平川先生が複数回、介護現場での新型コロナウイルス感染症対策に関する現状報告や提言をされています。どのような考えで都医、平川先生が介護との連携に力を入れているのでしょうか。
そもそもですが、都医では尾崎治夫会長、前会長の故野中博先生も医療と介護の連携に力を入れており、以前から都医が主導する形で、東京都多職種連携連絡会などさまざまな委員会、研修会を立ち上げ、情報共有や協働事業、発信活動に取り組んで来ました。
現在、都医には3人の副会長がいますが、角田徹先生はかかりつけ医や診療所、猪口正孝先生は病院、私は老健施設や特養に関わっていますので、介護という視点でバランスを取りながら保健医療福祉施策を検討しています。今回、新型コロナの問題が起こったときも、医療と介護の連携にいち早く対応すべきということで、都医が声をかけて「東京都新型コロナウイルス感染症対策医療介護福祉サービス等連携連絡会」を3月に設立し、情報交換、課題の共有、対策を協議しています。個人的には、感染症対策として医療面だけが先に進むことには不満がありました。
介護現場の話を聞いていると、厚労省から次々とコロナ関連の通知が出され、現場では優先順位や取捨選択が出来ず、混乱しているとのことでしたので、都医が中心となって、フロー図やチェック項目などを作りました。内容については、状況の変更に応じて何度も改訂しています。