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アフリカLNG開発、官民で1.5兆円融資 調達先多角化
【イブニングスクープ】
経済 金融機関
2020/7/2 18:00
日本経済新聞 電子版
生産するLNGの3割をJERAや東京ガス、東北電力が引き取る(千葉県富津市のJERA富津火力発電所)
官民がアフリカ・モザンビークの液化天然ガス(LNG)開発に1.5兆円を協調融資する。国際協力銀行(JBIC)や3メガバンクなどが融資し、日本貿易保険(NEXI)が貸し倒れリスクをカバーする。長期的な安定生産や調達先の多角化を進める好機とみて資金を投じる。
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JBICは144億ドル(約1.5兆円)のうち30億ドル(約3200億円)を融資する。残りはアフリカ開発銀行のほか、民間から三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行などが融資する。民間の融資分はNEXIが保険をつける。海外からアフリカ向けの投資で過去最大級になる見通し。
モザンビークで開発するガス田には三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が2割を出資する。埋蔵量は日本の年間LNG輸入量の十数年分にあたり、長期安定的に生産できると見込む。
2024年から年1200万トンのLNGを生産する。うち約3割を東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAや東京ガス、東北電力が引き取ることが決まっている。
LNGは石炭火力より二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。国際的な批判が強い石炭火力の代替燃料として需要が高まっている。調達先を多角化し、大規模な権益を確保することはエネルギー需給の観点から不可欠だ。
日本は世界最大のLNG輸入国だ。多くをオーストラリアやカタールなどから輸入するが、カタールからの輸送ルートであるホルムズ海峡は19年に日本のタンカーが攻撃を受けるなど地政学リスクが高まっている。モザンビークからはホルムズ海峡を通らずに日本まで運べる。
足元では新型コロナウイルスの感染拡大による需要減でLNG価格は低迷。既存プロジェクトを見直す動きも出ている。世界的に投資の失速が懸念されるなか、生産の長期安定性とエネルギー安全保障の観点から融資を判断した。