「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)5月19日(火曜日)
通巻第6504号 <前日発行>
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中国のイスラエル大使、突然死去という怪事件
中国、特別捜査チームを派遣。遺体を引き取りへ
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テルアビブ郊外の大使公邸で、中国大使の杜偉の死体が発見されたのは5月17日である。イスラエル警察は大がかりな捜査を行ったが、殺人の証拠はなく、心臓にまつわる病気ではないかと発表した。
杜偉大使は二月に赴任したばかりで、前にウクライナ大使館からの移転。妻子を伴わない単身赴任だった。享年57歳。
北京はただちに特別捜査チームを編成し、18日には早くもイスラエルへ到着した。遺体を北京へ送還する模様とエルサレムポストが速報した。
中国とイスラエルの関係は微妙である。5月13日にイスラエルを電撃訪問したポンペオ米国務長官は「イスラエルが中国との関係を深めるのは、米国との関係を阻害する要素になる」と強くネタニヤフ首相に警告を発していることが分かっている。
表沙汰にはなっていないが、イスラエルは米国の反対をよそにハイテク武器を中国に供与し続けており、米国の神経を逆なでしている。タイミングから言っても、ポンペオが、コロナ対策でトランプ政権が多忙を極めていたときに、わざわざイスラエルに飛んでいる意味は、様々な憶測を呼ぶに十分だろう。
中国がイスラエルと正式な国交を開いたのは1992年で、それまではPLOと親密な関係をもつ中国をイスラエルは警戒してきた。またイラク、イラン、シリアなどイスラエルの敵対国へ中国はさかんに武器を輸出していた。
国交樹立後、中国の資本進出ならびにイスラエルの企業買収が目立ち、両国間の貿易も、国交樹立前の三百倍に躍進していた。
中国が狙うのはハイテク兵器の情報であり、じつはイスラエルの大学に中国人留学生が五千人もいる。ハイテクの頭脳をスカウトすることも中国の対イスラエル外交には含まれている。
インテルは、半導体製造基地をイスラエルに移転する。ポンペオが急遽イスラエルを訪問した三日後に杜偉大大使は急死した。
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