日本独り勝ちはあり得ない」「抗体検査はPCRの代替ではない」米在住の日本人医師の警告
小西一禎 2020/05/13 05:00
© REUTERS 世界でもっとも深刻な感染拡大地域となったニューヨーク州。クオモ州知事は経済再開について、依然として慎重だ。
新型コロナウイルスの感染者数、死者数が世界最多となったアメリカでは、州によって経済再開に舵を切っているが、感染の収束はいまだに見えていない。
とりわけ被害が集中しているのが東海岸のニューヨーク(NY)州、隣接するニュージャージー(NJ)州。感染者数と死者数のいずれもNY州で突出、NJ州が続いている。
両州の病院で勤務経験があり、現在はNJ州のジャージーショア大学メディカルセンターで感染症専門の指導医として最前線に立つ斎藤孝医師に、経済再開の是非や現況、日本に対する提言などについて聞いた(インタビューは日本時間4月26日)。
収束には来年初頭までかかる
© 写真:REUTERS トランプ大統領は経済活動の早期再開に強い意欲を示している。
アメリカのトランプ大統領は経済活動の早期再開に強い意欲を示し、知事が共和党であるジョージア州、サウスカロライナ州などはトランプ氏の姿勢に呼応するように、経済活動を順次再開させた。
トランプ氏は11月の大統領選での再選をにらみ、民主党の知事を擁するミシガン州やウィスコンシン州などで起きた外出制限や規制に対する抗議活動を容認しており、混乱を招いている。
こうした経済再開について、医師はどう見ているのか。
「感染症専門医として判断すれば、ソーシャル・ディスタンスが確保されているような地方なら経済活動を徐々に再開しても構わないと思いますが、(アトランタなど人口が多い都市を抱える)ジョージア州の再開は意味が分かりません。
再開を求めるデモが起きたミシガン州などは、デモ参加者のほとんどが共和党支持者とも言われていますが、真偽の程は分かりませんし、興味もありません」(斎藤さん)
一方、人口の多い東部や西部カリフォルニア州などは経済活動再開について、州知事が慎重な態度を示し、各州の温度差が顕著になっている。制限の緩和で、感染が再拡大するリスクはないのだろうか。
「他国と比べても、アメリカはいまだ多数が感染しています。我々としては、収束には秋口から来年の年初まではかかるのではないかと考えています。アメリカに第2波が近いうちに訪れるという見方もありますし。
このウィルスは、ワクチンができないと完全には収束できないでしょう。しかし、新型コロナは変異しやすい構造になっているので、ワクチンの開発はなかなか難しいと考えられます」(斎藤さん)
見え始めた一筋の光明
© 撮影:小西一禎 オンラインで取材に応じた斎藤医師。
NY、NJ両州では最初の感染者が出てから2カ月以上が経過。医療現場への感染が深刻隣、医療従事者が感染への恐怖を抱いていた当初と比べると、次第に患者への対処方針が定まっていき、少しずつ落ち着きも見え始めているという。
斎藤さんの勤務する病院は取材した4月26日時点で、700床弱に新型コロナウイルスによる入院患者は約200人。うち約40人が重篤化していた。
「最初は手探りで対処していましたが、次第に指示はある程度パターン化できるようになりました。とはいえ、感染者は高い水準で横ばいで推移しています。
ICUにいる患者のほとんどは人工呼吸器につながれていますが、最近では1日に2、3人呼吸器を外して自分で呼吸ができる状態になる人が出てきて、一筋の光明が差し込んでいます。
ただ、確たる治療法はまだ見つかっておらず、患者の回復力に期待するしかありません」
今現場では、第2フェーズとしていくつかの治験段階の治療方法を試しているという。
「現在の最新治療の一つは、回復期の血しょうを使った療法です。一度感染して回復した人の血しょうには、高濃度の抗体が含まれていることが多く、これを寄付してもらい、患者に投与しています。
これが吉と出るか凶と出るかよくわからないが、いろんなことを試しているのが今のフェーズです」
抗体検査は簡易PCR検査ではない
© 写真:REUTERS 日本ではまずPCR検査の拡充が求められている(写真は東京・江戸川区)。
NY州では、新型コロナウイルス感染歴の有無を調べる大規模な抗体検査が行われており、クオモ州知事は4月23日、陽性率が約14%だったと発表した。
一方のPCR検査も累計で約120万人に実施、検査と隔離を徹底させている。日本はPCR検査が不十分だと海外の専門家からも指摘され、拡充を急いでいるが、検査と同時に抗体検査の実施に向けた動きが出ている。斎藤さんはこの現況に、強く警鐘を鳴らす
。
「(日本政府の新型コロナウイルス対応は)前半は理論に基づいて、クラスター対策を実施し、第1波は切り抜けられましたが、いずれ破綻すると思っていました。第1波と、第2波を切り離して考えないといけなかったと思います」
「仮に、日本で感染者を把握するために、抗体検査をPCR検査の代わりに、という発想があるのならば、それは間違っています。抗体検査は何に使うかということをきちっと説明した上で実施すべきです。簡易検査=抗体検査みたいなイメージになると良くない」
「抗体ができるには時間がかかるので、今現在の感染の有無を確認するには適していません。偽陰性が多く出る可能性もあります。血しょう療法のために、既に感染から回復した元患者が、血しょうを寄付する目的で調べるのであれば意味があるかもしれませんが」
名もなき人たちからの支援に支えられている
© 写真:REUTERS 世界各国で医療従事者たちは自らの感染の恐怖と戦っている(写真はフランス)。
自らが感染する危険と隣り合わせで働き、患者の命を十分に救えない現実に直面する中、医療従事者は連日、強いストレスにさらされている。そんな彼らに温かい視線が寄せられている。
「当初は細菌性の肺炎だと思い、マスクを付けないで診察していた患者の中には、陽性の人がいました。そしてICU担当の医師数人は感染しました」
「患者は入院した時点で、家族は一切面会できなくなります。許されるのは電話だけ。呼吸器をつないだら、電話すらできなくなります。代わりに看護師が毎日、患者の状況を家族に報告しています。最終的に亡くなる場合は、看護師への精神的な負担も相当なものです。そのような光景を日々目の当たりにして、医療従事者は精神的にも肉体的にも追い詰められています」
「一方で地域のサポート、協力態勢を強く感じます。名乗らない人たちから、ピザが何十枚など差し入れが毎日のように届く。
日本では、そうしたサポートはあるのでしょうか。医療従事者とその家族、患者を差別するような動きもあるとも聞きました。あってはならないことです」
韓国や台湾の対応を見習うべき
© 写真:REUTERS 台湾や韓国では初期の大量の検査や水際での封じ込めなどで、比較的早く収束させた、と見られている(写真は韓国)。
日本政府は緊急事態宣言を5月末まで延長した。安倍首相は「長期戦を覚悟する必要がある」と強調するが、PCR検査件数が他国と比べ少なく、感染者数の実態を正確に把握できていないとの見方が国内外で交錯している。
「日本の報道を見ていて、検査人数は何人で、そのうち何人が陽性かという情報がクリアに報告されていないので、数字の信憑性に疑問を感じます。日本だけが独り勝ちしている、なんてことは絶対あり得ません」
「検査数の増強や感染者数の管理の手法は、お隣の韓国や台湾からもっと学ばないといけないでしょう。身近にこれほどの良いお手本はないと思いますが。見習おうとしない理由が分かりません」
身勝手な行動が他人を死に至らしめる
© 写真:REUTERS 日本では連休が空けた5月7日、一部の地域では自粛要請が緩められた。
日本では経済への影響から緊急事態宣言の早期解除を求める声も上がる。日本の現況に対し、斎藤さんは警告する。
「日本人は、自分は大丈夫という根拠のない過信があるのではないでしょうか。重篤化したら、あっという間に亡くなるんです。ある芸能人の方のようにしっかりと検査も受けられず、自宅で経過観察中に突然悪化して亡くなる人も増えてきます。そうした恐怖感が、まだ伝わっていない面があると感じます」
「『皆で乗り切ろう』という認識があれば、パチンコ屋に押し寄せたり、どうしても必要な用事でもないのに街にくりだそうとしたりしないでしょう。自分は良くても、他人を感染させて、死に至らしめる可能性が十分あるということを強く認識してほしい。自らの身勝手な行動が他人、例えば愛する人を殺してしまうかも知れないということを、理解してもらいたいです」
(文・小西一禎)
斎藤孝:東京外国語大卒。総合商社入社後、米国駐在員を経て、アメリカのメディカルスクールに進学。卒業後、ニューヨークのブロンクスやクイーンズの病院で、主に感染症専門医として勤務、エイズなどの感染症患者を多数治療。2020年月より、ニュージャージー州のジャージーショア大学メディカルセンターで、感染症専門の指導医として従事。
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● USAにいれば、すべては欧米人の目”になります。現実を見ましょう。
ロックダウンもしないのに、死者は世界最低レベルです。
現実を無視しての論議は意味がありません。
● 東京都の感染者数と死亡者数は、エリオット波動の理論に沿っています。
つまり、信用できると言う事です。全て自然現象はエリオット波動に
従います。逆に波動に沿わないものはデータがインチキと言う事です。
● 繰り返します。全ての自然現象はエリオット波動に従います。これを
マスターすれば、貴方も未来は予測できるのです。