「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)4月28日(火曜日)
通巻6472号
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原油価格を元に戻すには「戦争しかあるまい」とロシアの『プラウダ』
OPECプラスの原油生産削減でも価格は上がらなかったではないか
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4月21日付けの英文プラウダが書いている。「OPEC プラス」の原油生産削減でも価格は上がらなかった。原油価格を元に戻すには戦争しかあるまい」。ロシアはOPECのメンバーではないが、世界一をサウジと競っている大産油国ゆえに、OPECのオブザーバー的なポジションをえている。
生産削減発表のあと、むしろ原油価格は低迷しつづけ、WTIは一時マイナスとなった。四月下旬になっても1バーレル20〜30ドル台で取引され、九月先物でも1バーレル=30〜35ドルである。
ロシアの石油関係者は、この値動きを情緒的な心理相場と捉えている。市場は需給関係で決まるのであり、世界的にコロナ災禍で自動車が走っておらず、航空機は世界中の空港で駐機している。
需要が激減していれば、価格は下がるのが当然、都市封鎖がとけない限り、原油価格が上昇に転じる可能性は少ないだろう。
そればかりか、在庫がたまりすぎて備蓄タンクは満杯に近く、洋上で待機するタンカーに積み込まれた原油だけでも1ヶ月以上の量である。20万トン級のタンカーが洋上で、備蓄タンクが空くのを待っている。すなわち、洋上備蓄である。
米国ではシェールガスの生産が事実上停止しており、労働者がレイオフされ、トランプは給付金、補助金などありとあらゆる手だてを講じて、この輸出のドル箱産業を守ろうとしている。
ロシアが想定する戦争は中東地域で勃発する地域騒乱、局地戦のことで、中東で揉め事が起きれば、必ず原油価格は上昇した。
ロシアはそのことを期待しているのか。
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