脳内の炎症が複数の種類の認知症と関連
炎症の亢進部位には異常タンパク質が蓄積
国際医学短信2020年4月1日 (水)配信 一般内科疾患精神科疾患神経内科疾患
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脳内炎症は、これまで考えられていたよりも認知症との関連が強い可能性があるとする研究結果を、英ケンブリッジ大学臨床神経科学部のThomas Cope氏らが「Brain」3月号に報告した。研究チームは、「いくつかの種類の認知症に対する新たな治療法の開発につながる可能性がある」と述べている。
怪我をすると、傷ついた部位が赤くなって腫れたり熱を帯びたりする。これが炎症反応である。炎症はストレスや傷害に対する体の反応である。炎症は、脳内でも生じることが確認されている。脳内炎症は、うつ病やその他の精神疾患、多発性硬化症などさまざまな疾患と関連づけられており、最近では、アルツハイマー病との関連についても報告されている。
そこで、Cope氏らは、アルツハイマー病以外の認知症においても、脳内炎症が見られるのかどうかを調べる研究を行った。対象としたのは、前頭側頭型認知症(FTD)の3つの型のいずれかに罹患する31人の患者。FTDは、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症と並ぶ4大認知症の一つである。脳内に数種の異常な「ジャンク(がらくた)」タンパク質が蓄積することで生じ、人格変性や行動障害、失語症などが徐々に進行する。
Cope氏らは、2種類のトレーサーを用いて患者にPET検査を実施し、脳内の炎症および異常タンパク質蓄積の有無を調べた。その結果、脳内で炎症が進んでいる部位ほど、異常タンパク質の蓄積も多いことが確認された。この関連性は、ケンブリッジ脳バンクに提供された12例の献脳の免疫組織化学的解析から定量的にも確認された。
Cope氏は「脳内の炎症と異常タンパク質の蓄積が関連することは予想していた。しかし、両者がこれほど密接に関わりあっているとは思いもしなかった」と驚きを示す。また、論文の筆頭著者のRichard Bevan-Jones氏は「細胞障害が炎症を引き起こし、その炎症がさらなる細胞障害につながるという悪循環が生じている可能性がある」と説明する。その上で、今回得られた認知症と炎症との関わりに関する知見から検証可能な治療法を導き出すには、研究を重ねていくことが必要だと強調している。
論文の共著者で英ケンブリッジ大学臨床神経科学部のJames Rowe氏は、「それぞれに症状が異なる3つの型のFTDの全てで、炎症が有害な異常タンパク質の蓄積と関連していることを示した今回の研究結果は重要だ」と研究成果について評価する。そして、「炎症がアルツハイマー病においても悪影響を及ぼしているという事実を考え合わせると、パーキンソン病やハンチントン病なども含めた多くの神経変性疾患の発症に炎症が関わっている可能性も考えられる。これが証明されれば、免疫に基づく治療法により、こうした症状の進行を遅らせたり予防したりすることも可能になるかもしれない」と期待を示している。
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● がんの直接の原因は、がんウイルスの感染です。勿論その背景には
生体の細胞を弱らせる背景ー環境汚染等ーが背景にあることは
研究が証明しています。従ってがん患者も炎症反応はあります。
● 同様にアルツハイマー型認知症もウイルスの感染が分かっています。
しかし認知症の場合は感染を受けた細胞は癌化せずに
アポトーシスを起こすのが、癌とは異なります。
● 当然炎症反応はアルツハイマー型認知症でも認められて当然です。
社会に例えれば、自殺するかテロリストに成るかどうかの
違いでしょう。どちらも社会が傷めば増えます。
● 自然現象全ては、フラクタルなのです。