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Channel: 歴史と経済と医療の未来予測・歴史経済波動学
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早く・スパイ防止法を制定せよ。現実は小説より奇なり。

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和二年(2020)3月16日(月曜日)
        通巻6406号   
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 米中ハイテク争奪戦の核心は「サイバー兵士」
  ハーバード大学教授は「中国のスパイ」だった
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 ハーバード大学教授が中国のスパイだった事件の発覚は米国に強度の衝撃を与えた。
 1月28日に起訴されたのはチャールズ・リーバー教授で、生物科学の専門家とされ、特許も幾つか保有する学者。中国社会科学院の外国人名誉会員として、幾つも賞を受賞している。

 リーバー教授が中国から受け取っていたのは「賞」ばかりではなかった。巨額が「コンサルタント料金」として、毎月振り込まれていた。なぜならリーバー教授の裏の役割とは「中国1000人タレント計画」に協力して優秀な頭脳を中国にスカウトすることだったのだ。

 アシスタントとして中国人「留学生」が何人か協力していた。逮捕状が出たのは二人で、うちの一人は女性スパイ(中国人民解放軍幹部の娘)、アメリカの軍事機密を盗み、中国人民解放軍に送信していた。逮捕寸前に中国へ逃亡した。
 もう一人はラボ研修生と偽って、アメリカの有名な研究所から生体サンプルを持ち出そうとしていた。昨師走にローガン空港で逮捕された。いずれも小誌で速報した事件だ。

 これらのことは何を意味するか?
生体サンプルといい、優秀なエンジニアのスカウトといい、生物化学兵器開発に直結する可能性が高いのではないか。

 その後の調べでリーバー教授は人工頭脳ならびにナノ・テクノロジー分野の専門家でもあり、その道の権威とされた。だから中国が目を付けたのだ。したがってペンタゴンの解釈では、生物化学兵器開発より、むしろ「サイバー兵士」開発プロジェクトに関連しているという。

「サイバー兵士」とは、シュワちゃん主演の『ターミネーター』がさらに発展し、ナノの単位のAIを駆使した兵士ロボット、兵器システムを意味し、近未来の戦争のかたちを如実に予測させる。映画『スターウォーズ』を越える世界になる。

 兵隊を動員し、鉄砲を撃ち合う従来の戦争は昔話である。宇宙空間に人工衛星が浮かび、巡航ミサイルが飛び交う時代となった。いずれAIで総合的指揮系統を確立した軍が、サイバー戦争に対応し、ICBMや潜水艦の代替をなす。こうした研究が「2050サイバー兵士」としてペンタゴンで進んでいた。嗅ぎつけた中国スパイが、その機密を盗んでいった。国家安全保障にとって極めて由々しき事態である。

 筆者が『軍事ロボット戦争』(ダイヤモンド社)を上梓したのは1984年だった。当時、防衛庁幹部に見せたが、笑われた。当該書は絶版となっていたが、最近コピィが防衛関係者に廻っていると聞いたことがある。


▼半導体の革命的な高度化、lot、

   精密度向上による「サイバー兵士」の開発

当時の情勢では、FA、OAといって『産業ロボット』の導入で工場の無人化、小型コンピュータや複合的な複写、FAX、印刷と同時製本機械などオフィス業務の自動化が目まぐるしく進捗していた。設計、デザインにもコンピュータを使い始めていた時代だった。機械の効率的発展とレアメタルなど新材料の研究で、半導体がより小さくなる一方で容量と速度が数万倍となり、スパコンを越える量子コンピュータが登場する遙か以前、サイバー兵士ではなく軍事ロボットの可否が問われていたのだった。

 ナノ革命、ピコ革命といわれ始めたのは1980年代からだった(『ナノ』は十億分の一、『ピコ』は一兆分の一)。
ペンタゴンの通信技術がインターネット、その複合体であるSNSへと発展し、大きな部屋一杯に装置したコンピュータを繋いでも処理できなかった情報処理が、いまは軽薄なスマホで可能となった。だとすれば、今後の科学、技術AIの発展がいかなる世界を出現させるのか。

半導体の革命的な高度化、lot、精密度向上などによって、「サイバー兵士」は概念の世界から実用化へと進歩を遂げるだろう。Evなども、その発展途上、軍事転用がかのうである。

現にテスラを牽引し、中国の大工場をつくったアーロン・マスクは1億ドルを投じて無人自動車技術の開発を急がせているが、リーバー教授はマスクの顧問も兼ねていた。

 かくして次世代技術は「サイバー兵士」誕生に集約される。
人間の頭脳、数百万の細胞をもつ兵士と兵器が連動する。この新軍事革命は生物科学に直結する。それゆえハーバード大学教授が中国のスパイだったことは深刻な事態を象徴しているのである。

 アメリカは「2050 サイバー兵士」の実現を意気込み、予算化しているが、ひょっとして中国人民解放軍がさきに達成するかも知れない。
というのも「2030年ごろに3億のパターン認識が同時に可能な、現在のAIとクラウド技術の急発展を基層にして可能になる」(未来学者レイ・クルズウェイル=アジアタイムズ、3月15日)と予測されているからである。 

     □◇み◎○△□や○△□◇ざ◎○△□き△□◇◎  


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