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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和二年(2020)3月15日(日曜日)
通巻6404号 <前日発行>
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中国への外国企業の直接投資、25・6%の急減
新車販売は92%ダウン、スマホ37%売り上げ減
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サウスチャイナ・モーニングポスト(2020年3月14日)に拠れば、中国への外国企業の直接投資は前年同期比で25・6%の急減ぶりを示した。1月はむしろ4%のプラスだった。しかし、この期に及んでもまだ中国の夢を求めて、直接投資を増加させた代表企業はスタバだった。
スタバは江蘇省昆山に宏大な土地を購入し、「スタバ・チャイナ・珈琲イノベーション・パーク」を建設する。香港で殆どのスタバ店舗が「紅系商店」として襲撃され破壊されたけれど、あの悪魔の日々は忘却の彼方? もっとも香港のスタバは大陸商人の経営である。
テスラもまた上海浦東に宏大な土地を確保してEV工場を造成し、リチウム電池開発などで投資を拡げる方向にある。一方、経営が傾いていたBYDは、中国政府から補助金200億円を給付され息を繋いだ。
外国企業の直接投資は、ドル不足に陥っている中国にとっては命綱である。
内実は空っぽの外貨準備(表向き3兆1000億ドル保有と豪語しているが、外銀から年間7000−8000ドルを借り入れ、借り換え、さらに中国企業はドル建て社債を発行している)を補う両輪は、この直接投資と、対米貿易黒字である。
直接投資額は2019年度の速報によると1380億ドル、前年比で2・8%の微増だった。トヨタなどが工場増設、ホンハイ(鴻海精密工業)も広州に最新鋭設備の半導体製造工場を造成した。後者は工場が完成、しかし生産は頓挫してペンペン草、他社への売却話がある。ホンハイは米中貿易戦争のあおりとトランプ大統領じきじきの圧力によって、主力行場を米国へ移転することになった。
「悪い数字がさらに並んだ。中国の消費はマスクや冷凍食品を別にして、1−2月に前年比8・2%の落ち込み、なかでも自動車販売が92%ダウン(中国の発表は79%のダウンだった)、おなじくスマホ37%ダウン。ガソリン等の販売が36%の落ち込みを示した。他方、中国企業の人民元建て社債は、前年比二倍となっている」(AEI報告、2月28日)。
トヨタ70%、日産85%、ホンダ80%新車販売減。最近のニュース映像を見ても町にクルマが走っていない! ガソリンスタンドは暇そう。スーパーも客が入っていない。
大手企業はドル建て社債を発行し、外銀は少なくとも利率2%上乗せのチャイナプレミアムをつけているが、不動産関連は金利14%である。
これはドルの償還をするための繋ぎだが、社債とは、要するに借金。償還時期がくれば金利を上乗せして借り換えるか、開き直りの倒産か。つまり手元の現金不如意を片っ端から社債起債で補い、自転車操業を継続していることになる。
▼日本は消費税撤廃が必要ではないのか
各国の緊急対策を比較しても、ダントツは中国である。中国は社会保障費の企業負担分の減免などに邦貨換算で18兆円を投じる。こんなことをしていると人民元の為替レートが暴落するだろう。
米国は中小企業への低利融資、給与税の減税などで5兆2000億円(比較しやすいようにすべて邦貨換算)。英国は医療体制強化などで4兆円を、EUは中小企業支援基金に3兆円、イタリアは個人店舗閉鎖保障などに3兆円、豪も低所得者への現金給付などに1兆2000億円、一番遅れている日本はとりあえず中小企業向けに無担保、無利子融資に1兆6000億円と、それもこれも、チャイナが元凶である。
しかし、上記の暫定措置は、一時的な効果しかない瞬発的な政策であり「痛み止め」程度のレベルでしかないと多くのエコノミストは見ている。
とくにGDPマイナス7・1%(2019年第四四半期)と先進国ワーストを記録した日本が、消費を増大させ、株式市場に元気を取り戻させ、日本経済を積極的に活性化する劇薬は何かといえば、ズバリ消費税のゼロ化。半額ではなく、消費税撤廃という思い切った外科手術が必要だろう。
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