Quantcast
Channel: 歴史と経済と医療の未来予測・歴史経済波動学
Viewing all articles
Browse latest Browse all 7514

ソロスの言う“再帰性”の意味が解らない世界の経済学者

$
0
0
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYEA3K05420140421

コラム:破綻した経済政策に今こそ決別を=カレツキー氏
                    2014年 04月 21日 16:14 JST

[18日 ロイター] - アナトール・カレツキー
経済学者は、実社会の政治や経済、金融を私たちが理解するのに役立つ何かを提供できるだろうか。私はこの問いを、先週末にトロントで開かれた新経済思考研究所(INET)の年次会議で投げ掛けた。

INETは2009年、世界金融危機に際して近代経済学が機能しなかったことを受けて設立され、私もその委員会で現在議長を務めている。

エリザベス英女王が2008年11月、「(経済崩壊を)なぜ誰も予測できなかったのか」と尋ね、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の学長を驚かせたことは有名だが、あいにく先の質問も同じぐらい厄介なものだ。

経済学者ジョン・メイナード・ケインズは1936年、世界大恐慌を悪化させていた正統派経済学に異議を唱え、こう述べた。「経済学者の考えは、それが正しくても間違いであっても、一般的に理解されるよりも強力だ。実際、それ以外に世界を支配するものはない。自分が知識の影響力を受けていないと考えている実務家も、大抵は破綻した経済学者の奴隷なのだ」。

この見解は1936年当時と同じぐらい、現在も当てはまる。ノーベル賞学者のジョセフ・E・スティグリッツ氏は、トロントの会議で「中央銀行や政府が今なお、明らかに不合理な経済モデルで政策効果を予測しようとするのはなぜか」と問い掛けた。

同氏の答えによると、大学で学んだり一流学術誌に出版されたりする経済モデルは今も、「全ての人が同一の性質を持つ」と仮定する「代表的個人」という考え方に基づくことが多いのだという。つまり、こうしたモデルは金銭の賃借に触れず、銀行の存在を無視し、企業倒産も重要視しない。なぜなら、「借り手が返済しなければ、その人が破産するだけ」と考えるからだ。

驚いたことに、銀行が存在しないこうした経済モデルは、今でもほとんどの中銀が採用する主要な分析ツールだ。さらに奇怪なのは、経済は自ら安定化するという思い込みだ。この考え方が意味するのは、中銀が採用する事実上いかなる政策も完全雇用を自動的に達成することになる。ただし、現実の世界とは言えない予測上の話だ。

こうした形式的な思考の悪影響が最も顕著に表れているのが欧州だ。英金融サービス機構(FSA)元長官で、INET上級研究員のアデア・ターナー氏は、ユーロ圏が1991年に合意したルールの根底には、経済学者がマクロ経済の問題を解決してきたといった考え方、つまり、緩やかで安定的なインフレは経済的成功に必要かつ十分な条件だという信念があると主張する。

欧州にとってさらに悪いのは、経済学者のこうした不遜さが欧州連合の創設を定めたマーストリヒト条約に組み込まれたことだ。この条約には、政府の唯一正当な役割は、競争と物価安定の明確なルールを設定し、それを厳格に施行することだとする、ドイツの「オルド自由主義」の理論が影響している。

ターナー氏は、「これがドイツ連銀の法務部が経済部と肩を並べるほど力を持つようになった理由で、ドイツがユーロに関する規則の解釈にかたくなな理由だ」と指摘。さらに、「今では、オルド自由主義がマクロ経済で機能しないのは分かっている。しかし、こうした古い経済思想は、間違っていることが証明された後も非常に強い力を持ち、変化は遅々としている」と嘆く。

また同氏は、欧州が「長年非常に低い成長が続いた1990年代の日本にそっくりに見えるかもしれないが、移民を基盤とした欧州社会は日本のように単一的でなく、合意形成もされていないことから、社会の緊張はより大きくなるだろう」との見方を示している。

では、経済学者はこの有害な古い思想をどうすれば手放せるのだろうか。明らかな答えは、新たな考えを生み出すことで、トロントでも多くのアイデアが紹介された。

しかし、こうした取り組みにもかかわらず、インフレターゲットや自動安定化する市場などといった「間違いが証明された古いアイデア」は、財務省や中銀のマクロ経済分析といった最も危険な場所で、なお支配的な存在のままだ。これらを克服するには、経済学だけでなく政治学についての新たな思考が必要だろう。

ハーバード大の哲学者、マイケル・サンデル教授はINETの会議でこう語った。「過去30─40年にわたり、われわれの社会における公共生活は、市場メカニズムがあらゆる問題の解を出し、すべてを解決するという確信によって活気付いてきた。こうした市場への揺るぎない信頼の時代は、政治から道徳観や公共心がなくなったのと時を同じくする。市場は、商品や収入を中立的に配分する方法を提供するように思えるが、多くの場合、私たちは道徳的判断を下さなくてはならない。今求められる新たな経済思考には、古い経済思考と多くの類似点がある。アダム・スミスにまでさかのぼる古典派学者らは、経済学を道徳的に中立的な科学であるとか、自主的な規範であるとさえみなしていなかった。彼らはすべて、経済学が道徳や政治哲学の副次分野であると理解していた」。

言い換えると、経済学は常に特定の政治的背景の中で意味を持つ。市場メカニズムは、社会的な成果によって善しあしが判断される必要があり、政府や企業は対立するのではなく、協調しなければならない。2008年に起きた危機を経てグローバル資本主義の新たな段階が現れつつあるなか、これらは経済学者らが発見あるいは再発見すべき鍵となるアイデアではないだろうか

///////////////////////////////////////////////////////////////////////

● ここで提起されている事は、毎度繰り返されている事です。つまり、議論自体が
  再帰性なのです。これは皮肉であるが、大切な指摘です。

● ソロスは、リーマンショックの時に膨大に儲けました。そして上院に呼ばれて

    かれは其処で、 ? 資本主義の危機と、
            ? 経済の再帰性を証言しています。

    分かりやすく言えば、私は資本主義の危機的状況を予測して、必ず同じことが
    繰り返される株式市場の暴落にお金を賭けて、ぼろ儲けしました”
    と表現したのです。勿論このように分かりやすく言ったわけではないが・・・。

●  もっとはっきり言えば、経済はサイクルであり、最近の資本主義は末期的な
   症状を呈しています。だから私が、的確な時期に、少しつつくだけで、
   崩壊を始めるのです”と言ったと思います。

● 正に彼こそ、資本主義を最も理解して、そのメカニズムで膨大に儲けたのです。
  その彼の正直な証言は、実は多くの政治家には理解できなかったのでしょう。
  否、経済学者も理解してないのでしょう。特に日本の左翼経済学者には。

● 理解できない彼らも問題ですが、理解させようと特別に努力しないソロスとその
  取り巻き連中≒ぼろ儲けした連中に責任を転嫁させるのは、政治的にはやれる
  と思いますが、学問的には象牙の塔の経済学者の責任である事は明白です。

● 上の記事では、実務家の銀行家は、マクロよりもミクロで経済を見ていると非難して
  いる様にも見られます。マクロとミクロの経済学は、扱う法則が異なるのです。
  会社の運命≒ミクロのみしか興味のない、銀行家をせめても意味が有りません。
  彼らは自分の会社の儲けのみが、興味の対象であるのです。

● それは、化学者に物理の法則が解らないと文句言うようなものです。
   筋違いと言うものです。

● 又ユーロでは日本でも見られる、法務部の連中が活躍するところに問題が有ります。
  つまり、理想的な規則や国民の為に成る目標や経済指標を決定すれば、
  その通りに成るはずだと言う、理想論です。と言うより幻想でしょう。

● 其処には、法曹界のお偉方が決めれば、世界も経済もそのように動くはずだと言う誤解・
  幻想です。責任を、規則と目標に負わせて誰も責任を取りたくないと言うのでしょう。

● 又は、ノーベル賞の学者も言うように、“とにかく何かが間違っている、反省して
  新しい経済学を探そう”と、毎度同じ事を政策者に説教している姿です。

● 何故、ソロス氏にノーベル賞を与えて、“資本主義の危機と再帰性の法則とその
  応用で、世界一の投資家に成った偉人”とたたえないのです。

● そうすれば、現実の経済学が見えると言うようなものです。勿論半分は皮肉ですが。
  又は死んだエリオットに経済学のノーベル賞を与えましょう。フラクタルで、
  マンデルブローは賞をもらったのですから。先駆者が貰うのは当然でしょう。

● 見えているのに見えない、経済学者達”と言うところでしょうか?
  歴史や経済学をマクロから説明できる理論は既に存在するのです。
        目を凝らしてみましょう。
 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 7514

Trending Articles