中高年を襲う原因不明の難病 国内で2万6000人が発症、決して他人事ではない
2018.9.11 20:20
【暴走免疫!原因不明の難病「IgG4関連疾患」】
季節の変わり目には体調を崩しやすい。ぜんそくなどの持病がひどくなることもある。たとえば、ぜんそくは、自己免疫が関わることで知られている。免疫は本来身を守る要となるが暴走した免疫は、ときに原因不明の病となって牙をむく。そのひとつが「IgG4関連疾患」だ。今世紀に命名されたこの病気は、一般的に認知度は低いが、現在、国内外で研究が盛んに行われている。5回にわたって実態に迫る。
免疫は、外部から侵入した細菌やウイルスなどの敵から身を守るため、重要な働きをしている。敵と認識したウイルスを攻撃し、捕食して排除する一方、抗体を作りウイルス(抗原)にくっついて動きを封じ込め、感染できないように防御しつつ攻撃もする。この抗体は専門用語で免疫グロブリン(Ig)と呼ばれる。「Ig」にはいろいろな種類があり、中でも「IgE」は、気管支ぜんそくなどのアレルギーとの関りが深い。花粉症でスギが抗原かどうかの血液検査でも、「IgE」が調べられる。
今回紹介するのは、アレルギーとは異なる「IgG」。血液中に存在する免疫グロブリンの半数以上を占め、感染防御で重要な働きをするが、暴走すると、どうやら病気に結びつくようなのだ。
「IgGは1~4まで種類がありますが、本来、血中のIgG4の占める割合は少なく、感染防御反応としてはあまり役立っていないと考えられます。ところが、全身の諸臓器において、臓器の腫大(腫れ上がった状態)や組織が硬くなる線維化、コブのような腫瘤を形成する病気で、IgG4の値が異常に高くなっていることがわかったのです」