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Channel: 歴史と経済と医療の未来予測・歴史経済波動学
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トンビに油揚げをさらわれる。

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和弐年(2020)1月6旦(月曜日)
        通巻6332号   <前日発行>
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日本政府、エルサルバドルへの1億ドル援助を中断
 台湾断交に激怒したトランプ、港湾を中国企業に運営権の密約(?)
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 2019年11月29日、エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領が訪日し、安部首相と固い握手を交わした。安部首相夫妻との夕食会も行われ、両国の長い友好関係を祝った。なにしろエルサルバドルは、満州国を最初に承認した国であり、原住民の先祖は、日本の縄文人とおなじくモンゴロイド系である。
 日本はエルサルバドルのインフレ整備の一環として港湾工事に1億ドルの援助を約束していた。同時に日本は中国の進める一帯一路に「協力する」と表明し、孤立する中国の側面援助を外交目標として掲げていた。

 エルサルバドルはニカラグア、ホンジュラス、コスタリカに囲まれ、カリブ海には面していない小国、面積は四国程度しかないが人口は650万人もいるため、一人当たりのGDPは5000ドルに満たない。
 それゆえ海外への出稼ぎによる送金で国の経済が成立しており、実質的には200万人が米国へ潜り込んで不法就労していた。あまつさえエルサルバドルは、イラク戦争でも米国に協力して派兵しており、法定通貨は米ドルである。自国通貨はあるが、使う人がいない。パナマやエクアドルと同様である。

 ところが親米路線が大きく揺れた。トランプがメキシコに高い壁をつくったことで、仕送りが急激に細り、エルサルバドルの経済は想定された以上に悪化していたのだ。
中国が、このアキレス腱をついて政権中枢に札束攻勢をかけた。

 トランプ政権は2018年8月21日に、エルサルバドルが台湾と断交したことに激怒し、大使を召還する対抗措置を取った。エルサルバドルと台湾は85年の外交関係がある。密接な関係が謳われ、台湾の「中華民国大使館」は宏大に敷地を有した。

 すでにスリランカのハンバントタ港が借金の罠に陥落して、中国の軍港と化けたことは世界中が知っている。
 パキスタンのグアダル港もそうなったし、ジブチには中国軍の基地が建設された。西側は中国の軍事的脅威と認識し、一帯一路への警戒を強めた。

 中国が一帯一路の一環としてエルサルバドルの港湾整備に協力するというのが条件だった。しかし港湾とは、軍事拠点を意味することは常識であり、港湾の防衛、ターミナルの運営などは国家安全保障の文脈で考える。商業活用の文脈でしか考えないのは日本くらいだろう。

 エルサルバドルの港湾の運営権が中国企業に譲渡される密約の存在を米国は嗅ぎつけたらしい。ならばどうするか。トランプ政権は日本に圧力を駆けて、約束したエルサルバドル融資を中断させたということにある。

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