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Channel: 歴史と経済と医療の未来予測・歴史経済波動学
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包囲網で経済を締め付ける。中共の崩壊と第三次内戦型世界大戦。

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宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和元年(2019)12月21日(土曜日)
           通巻6315号   
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 「三年以内にICもソフトウェアも中国の自製とせよ」
  海亀派も帰国するし、北京政府は開発補助に290億ドルを投下
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 米中貿易戦争は、関税レベルの話で、いずれ妥協が成立する。すでにトランプ政権は12月15日発動予定だった第四次高関税適応を見送り、中国もかなりの点で妥協した。次に始まるのはハイテク戦争である。

 米中貿易戦争は双方に高関税の悪影響、痛みがでたが、問題はこの結果である。
世界のサプライチェーンが激変したのだ。中国が世界の工場であり、部品が台湾、日本、韓国から輸出され、完成品が中国から欧米へ輸出された。この構図が激変し、中国の通信機器、基地局は米国、豪、NZから締め出された。サプライチェーンの再構築に向かい、たとえばインテルは主力工場をイスラエルへ移転し、サムソンはベトナムへ移転した。

 日本もファーウェイ、ZTEの基地局は不使用とし、台湾は事実上の半導体輸出に支障が出始めたため、中国との合弁で切り抜けようとしている。台湾のTSMCからは三千人のエンジニアが中国にスカウトされた。

 トランプ政権は当初のEL(つまり「ブラックリスト」)にファーウェイ、ZTEなどを載せたが、追加でセンスタイム、メグビル、ハイクビジョンを加えた。監視カメラ、顔識別などのハイテク企業がウィグル族弾圧に使われていることが排撃の理由とされた。さらに検閲の技術をもつティクトク、パイトダンスなどもブラックリストに加える。AI、5Gの開発企業だからだ。

 とはいえ、5Gの根幹は米国の技術であるうえ、OSはグーグルのアンドロイド、MSのウィンドウズなどであり、独自のOSを中国が確立するには、一からのやり直しとなるだろう。「非アメリカ化」のスローガンこそ勇ましいが、早期の達成は可能なのか?

 中国は「三年以内にICもソフトウェアも中国の自製とせよ」との大号令、シリコンバレーや全米の大学、ラボに留学、もしくは研修中だった留学生、研修生たちが、ヴィザ延長が出来ず大挙して中国に帰国した。

 この海亀派が確保出来るから、北京政府は開発補助に290億ドルを投下する。とはいえ、OSや半導体のほかに、いったい2000から3000あるとされる部品のすべてを中国が自製することは、おそらく不可能である。

 
 ▲南太平洋の16の島嶼国家が中国の海底ケーブルの拠点に狙われた

 次のターゲットは「海底ケーブル」に移行した。
 現在、光ファイバー網は世界中に拡がり、複線化も進んでいるが、既存の通信ルートはシンガポールと東京、ロスアンジェルスが環太平洋の中継ならびに発信拠点である。
 この分野にも中国が殴り込みをかけ、南太平洋の島嶼国家を経由する海底ケーブルの埋設プロジェクトを遂行中である。

 現在、南太平洋に敷設された海底ケーブル網は支線を含めて23路線(全世界で378路線)。拠点化されるのはパプアニューギニアとフィジーである。
 携帯電話のユーザーは南太平洋の16の島嶼国家を併せても150万しかいない。通信ケーブルが貧弱なため、例えば、トンガでは台風被害で海底ケーブルの一部が破壊され、二ケ月もの間、電話が通じなかった。
テニアンでは2018年10月の台風被害で、三ヶ月以上もネット通信、携帯電話が不通となった。だからこそ中国は「環太平洋全域をつなぐ光ファイバーの海底ケーブル」設置を当該諸国にも呼びかけるのだ。

 スパイ通信に転用されることを警戒し、対抗措置をうちだしたのは豪とNZだった。
 2018年にはソロモン諸島、パプアニューギニアに繋がる海底ケーブルの入札から中国を外し、19年春には豪首相が地域を訪問して援助を決めた。直帰の入札でも、パプアニューギニアからバヌアツへの海底ケーブル工事から中国企業を除外した。

しかしめげない中国、巨額の政治資金(という名前の賄賂)を迂回路から投下して、表看板は「一帯一路」、ホンネは当該国を借金地獄に陥れて担保権を行使するという例の戦術を武器に、猛烈なアプローチを続けている。


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