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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和元年(2019)12月13日(金曜日)
通巻6304号
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インドネシアはスラウェシ島南部の洞窟で「大発見」
44000年前と推定される壁画が発見された
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インドネシアはスラウェシ島。昔のセレベル島である。
ことしの二月ごろまで、インドネシアの新首都移転候補地のひとつが、この島のマカッサルだった。八月に最終決定がおりて、カリマンタンのバリッパパンの北側の密林を開発し新首都と決まった。
さてスラウェシ島のことである。
この島の南部の洞窟で、なんと44000年前と推定される壁画が発見された。洞窟の上部に豚とバッファローが描かれ、赤く採色されている。もとより、この洞窟壁画は2017年、豪のグリフィス大学人類環境研究センターが発掘調査していたときに洞窟のかなり上層部で発見されていた。
下記英紙『ガーディアン』(2019年12月11日)に写真がある。
https://www.theguardian.com/science/2019/dec/11/earliest-known-cave-art-by-modern-humans-found-in-indonesia
『サウスチャイナ・モーニングポスト』(12月12日)には他の洞窟絵画の写真。↓
https://www.scmp.com/news/asia/southeast-asia/article/3041714/oldest-story-ever-told-painting-pigs-cave-wall-indonesia
科学的な年代測定に手間取り、ようやくにして35100年前から43900年前のものと同センターのアダム・ブルムン考古学者が、発表した。考古学、文化人類学者らの学術的な検証の結果である。この「大発見」は人類史を書き変えることになる。
旧セレベスが、いまのスラウェシ島であることは述べたが、戦前、この島の都マカッサルには15000名ほどの邦人が住んでいた。同盟通信の支局もあった。この関係で現在も日本領事館がある。
筆者は、この夏、マカッサルへも足を延ばした。是非とも見たかった場所は「リアンリアン先史公園」にある古代人の動物壁画だ。
この洞窟壁画は五千年前、我が国の縄文中期に石灰質の洞窟に動物画が描かれたのだ。フランスのラスコー洞窟の動物壁画を連想する。
ラスコーの洞窟壁画は1940年に偶然発見され、人類史最古、二万年前にクロマニヨン人によって描かれた。環境保全のため、フランスの現場は立ち入り禁止、レプリカがパリに博物館が作られ、夥しい人出が続いている。
インドネシアの洞窟壁画、リアンリアン先史公園のほうだが、当該現場へはマカッサル市内からタクシーを雇って一時間ほど。そこで粗末な小舟に乗り換え、水流れを溯り、マングローブの密林地帯を抜け、やっと着いたのは小島の船着き場なのである。
さらに、そこからは徒歩で?、凸凹なけものみち、洞窟をくぐり抜け、小さな滝、苔むした洞窟の先に画があるのだが、望遠レンズでようやく見られるくらいだった。案内人の老人は明らかに人種が違う。別れ際、チップを渡すと初めて笑顔をみせた。
望遠レンズでしか見られなかった動物壁画、じつはレプリカが、ジョグジャカルタの世界遺産ブロブドール仏教遺跡のなかにある博物館に飾られている。
日本の壁画は高松塚古墳のものが一大事件となったが、時代的にいえば、七世紀。歴史学の対象ではあっても考古学的な意味はあまり大きくない。
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インドネシアはスラウェシ島南部の洞窟で「大発見」
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