骨と毒薬:イベニティで16人死亡
2019/10/16
[整形外科疾患]
骨粗鬆症治療薬イベニティの市販直後の最終報告(6か月:3月~9月)が、昨日、アステラスアムジェンからリリースされました(https://amn.astellas.jp/jp/di/list/evn/index_evn.html)(「市販後調査結果:3月~9月」のP3-1 to 3-6とP6-1 to 6-18)。「重症心血管有害事象68人、死亡例16人」と恐ろしい数です。抗がん剤のPMSでもこんなに死にますかね?
直近の8月と9月の1か月の間にも、重症心血管有害事象(43人→68人)も死亡例(11人→ 16人)も、加速度的に増えていることが明らかになっています。類似の骨粗鬆症治療薬であるフォルテオ(死亡1人)とテリボン(死亡2人)の市販直後の最終報告(6か月)と比較しても破格の多さです(https://webronza.asahi.com/science/articles/2019091400002.html)。 この期に及んでも 1) アステラスアムジェンが因果関係を否定し続ける 2) PMDAが「専門委員の意見を踏まえて」と、メーカーの御用医者に責任を押し付けて、更なるアクションを起こさない 3) 日本骨粗鬆症学会が声明を出さない という現状が続くとすると、日本の骨粗鬆症医療は、もうオワッてますね。現場に出来ることは何もないでしょう。私はもう面倒くさいので、何もする気はありません。自分でイベニティを処方しないことがせめてもの抵抗なので、他の医療機関で患者さんが死んで行くのをご冥福を祈りつつ静観したいと思っています。 ちなみに、タイトルの「毒薬」とはイベニティのことではありません。正しく使えば多くの患者さんの福音となる「良薬」です。「毒薬」とは、16人が死亡するまで看過を続けた上記の「産・官・学」のことです。