10/17(木) 6:00配信
韓国海軍が内部にタスクフォースを設置し、原子力潜水艦建造を実現させる努力をしている──。韓国海軍当局が公に認めたことが、10月10日、明らかになった。
【地図を見る】韓国海軍潜水艦の対日攻撃態勢シミュレーション。日本全土に長距離巡航ミサイルと弾道ミサイルを撃ち込むことが可能になる。
海軍に対して実施された国政監査に対して、沈勝燮(シム・スンソプ)大韓民国海軍参謀総長は、韓国国防にとって原子力潜水艦保有は有用かつ必要であり、海軍は攻撃原潜を手に入れるべく準備を進めている旨を認めた。
ただし、原子力潜水艦の取得は国家政策に基づき決定される事項であり、国防部ならびに合同参謀本部と連携して推進していかねばならないとも述べている。
■ 以前より存在していた原潜開発の動き
韓国海軍は、1990年代より原子力潜水艦を手に入れようとしてきた。94年には、ロシアの原子炉メーカー「OKBM」から潜水艦用小型原子炉設計製造技術を購入し(100万ドルと言われている)、潜水艦用原子炉の開発に着手した。
ただし国際原子力機関の承認をクリアする問題などがあったため、潜水艦用小型原子炉としての開発はできなかった。そこで民生用小型原子炉としての開発を進めたが、2000年ごろには潜水艦用小型原子炉の開発に成功したといわれている。
2003年には、盧武鉉大統領が、原子力潜水艦建造にゴーサイン(ただし非公式に)を出したという。ところが、当時の韓国造船技術陣は潜水艦そのものの建造能力が低く、少なくとも3000トン以上の大きさの中型原子力潜水艦を独自に造り出すレベルには達していなかった。
その上、「米韓原子力協定」によって、ウラン濃縮の上限が20%に制限されていた。そのため、潜水艦用小型原子炉製造技術を手にしていても、原子力潜水艦の建造に取りかかることはできなかった。
■ いよいよ原潜開発が始動
韓国造艦技術陣は、原子力潜水艦建造構想が誕生した90年代より、ドイツから輸入した通常動力潜水艦(209型潜水艦と214型潜水艦。それぞれ張保皐級潜水艦(KSS-I)、張保皐-II級潜水艦(KSS-II)と呼ばれている)のメンテナンスやライセンス生産などを続けてきたことによって、国産潜水艦を建造するノウハウを手にした。
そして、昨年(2018年)9月には純国産の「島山安昌浩」(KSS-III batch-1)潜水艦を進水させた(基準排水3358トン、水中排水量3705トン。海上自衛隊「そうりゅう」型潜水艦は基準排水量2950トン、水中排水量4200トンである。ちなみに安昌浩は戦前の著名な日本からの独立運動家で、島山は安昌浩の号である)。
KSS-III batch-1は3隻建造された。引き続いて、最新のリチウムイオンバッテリー搭載型のKSS-III batch-2も、3隻建造される予定となっている。
そして、それら島山安昌浩級潜水艦に引き続いて、韓国海軍は原子力潜水艦を手にするのではないか、という噂が流れていた。
以上のような、これまで確認されたり、噂として浮上していた韓国における原子力潜水艦開発構想は、いずれも非公式のものであった。ところが今回、海軍参謀総長という韓国海軍のトップ自らが攻撃原潜取得を海軍が組織として推進していることを公式に明らかにしたのである。
■ 北朝鮮のSLBM試射がタイムリーな口実に
韓国海軍当局は、先頃、北朝鮮が成功させた潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)への対抗手段として、原子力潜水艦が有用である点を強調している。すなわち、原子力潜水艦は長期間の潜航が可能でかつ潜航スピードも高速であるため、「北朝鮮のSLBM搭載潜水艦を発見し追尾するためには最適かつ最強の兵器である」というわけである。
このような文脈からは、韓国海軍が手にしようとしているのは敵潜水艦を発見、追尾そして撃破することを主たる任務とする攻撃型原子力潜水艦(SSN:攻撃原潜)ということになる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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