「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)9月22日(日曜日)弐
通算第6205号
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香港の各地、各駅でまた衝突。商店街はシャッター通り
店じまい、海外逃避。親中派の行動に民主過激派も戦術を変化。
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9月21日土曜日、またも香港は荒れた。本日(9月22日)は日曜、もっと荒れるだろう。
発端は「元朗」駅だった。元朗は新界の西北端、市内中心部から地下鉄でも40分から50分かかる。大規模なベットタウンが拓け、日曜日は近くの公園、レストランに人が溢れる。
早朝から「香港清潔運動」と称して、「レオンの壁」に書かれたビラやポスター、メッセージを剥がす(つまり民主派の主張を消し去る)作業をはじめた。十八ケ所で、三万人が参加したと主催者は発表したが、実情は惨憺たる参加人数だった。
「香港清潔運動」は元朗から、港のある「屯門」にかけてテレビカメラを呼んでの演出に近い。
呼びかけ人の立法委員は親中派の代表。清潔運動は香港の十数のMTR駅での集合が呼びかけられ(おそらく日当がでて、親中派が動員された)、しかし各地で集まったのは十数名。それも付近の住民が、作業開始とともに、飛び出してきて、清掃隊に「帰れ、帰れ」の怒号。「なんだと、ゴキブリめ」と罵り合いが続いた。立法議員が異動すると、動員組もそそくさと帰った。
元朗の地下駅には大規模なショッピングモールがあり、早朝からレストランが営業している。元朗から地下鉄で十五分ほどの「屯門」駅もフェリー乗り場とバスのターミナル、軽鉄駅(都電のような電車が付近を縦横無尽に走っている)をつなぐショッピンモールに付近の住民が朝飯を食べに来る。じつは筆者もこの中で食事したことがある。支払いはスマホ、もしくはオクトパスカード(日本のスマホ、スイカ)だ。
21日午前、民主派の学生、若者、シンパは元朗と屯門のショッピングモールのロビィに集まり始めた。彼らは五本指を立てた手を挙げる。同士の合図である。
普通選挙実施など五つの要求、すべて実現するまで運動を続ける(五大訴求、欠一不可)という意思表示である。
清潔運動がレオンの壁のポスターを剥がすと、かれらはすかさず修復し、あたらしいメッセージを書き込み、にらみ合い、罵り合いが続いた。
それにしても何故「元朗」駅だったのか。
7月21日、この駅で白シャツを着込んだ暴力団(マフィア)が、デモ帰りの民主派を襲撃し、多数のけが人を出した場所だからだ。被害者は9月9日に集団訴訟を起こした。そしてこの日をターニングポイントに民主派の一部が武装闘争を始めるのである。だから、香港の民主派としては一種象徴的な舞台なのだ。
▲香港—ロスの飛行機代金が153ドルという投げ売りも
集会とデモが禁止されるようになって、集合場所が各地のショッピングモールとなり、当初は歌声大会だったが、付近に警官が現れると武力衝突にエスカレートすることが増えた。しかも随所で、親中派が劣勢、催涙弾やゴム弾、民主派の武闘などで大きな被害を受け、生活に支障がでているのに香港市民は民主運動の味方である。
さて香港経済の第二四半期、GDP速報は0・6%。過激化した7月からの第三四半期の速報はまだ出ないが、たぶんマイナス2%から3%であろう、と予測されている。
なにしろ旺角からチムサーチョイ(香港の歌舞伎町)にかけて商店街はシャッター通りと化した。店じまいして海外逃亡もいれば、廃業してレンタルに出す店舗。目抜き通りのビルの一階までが「テナント募集」となって、景気悪化の実態を晒している。
7月の観光客は520万人で例年比の4・8%減だったが、8月は40%の激減となった。武力衝突が頻発し、火炎瓶と催涙弾が飛び交い、外国人ツーリストは香港行きを躊躇った。
航空機はガラガラ、ついに香港—ロスアンジェルス間の運賃は153ドルという安売りがでた。
ブランド店、土産店は何処も閑古鳥、それでも民主運動の非難をする香港市民が少ない。異様と言う他はない。
◇◎□◇み◎◇◎▽や◇◎▽◇ざ◇◎▽◇き○□◎▽
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対中共・自爆攻撃する香港。
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