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Huaweiを駆逐できるか?貧すれば鈍する。 戦場は6Gに移るか? 第三次世界大戦序章

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月21日(日曜日)
        通巻第6150号  
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 あれほど反中路線を突っ走るかと思われたのにファーウェイは採用
  老練・老獪政治家マハティール(マレーシア首相)のディレンマ
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 マレーシア国民が尊敬するのは首相ではなく、国王である。
サルタンの互選で選ばれる国王陛下は任期が五年という極めて「共和主義的・民主主義的な君主制」である。さきに国王はロシアの「ビューティ・クイーン」とド派手な結婚式を挙げた。
その式の模様は凄まじいほどの華麗で、豪華絢爛。しかも花嫁が主役の優雅な踊りあり、パリのムーランルージュのようなショーが繰りひろげられ、幕間にサーカスあり、手品あり、ハリウッドやパリの社交界でも、これほど豪華絢爛の結婚式を挙行した例は稀である。

 マレーシア経済は金融・物流・小売りを華僑が握っているため主力のマレー人はつねに不満を抱いてきた。だからアラブの金融機関を招聘してバランスを取った。

多数派のマレー人はイスラム教徒だが、華僑は仏教か、道教、ときにキリスト教がいる。ましてここにインド系国民が社会に溶け込み、ヒンズー教を信仰する。クアラランプールの北郊外にあるヒンズーの総本山、驚くほど壮大な寺院だ。
 マレー人50%、華僑35%、インド系10%、その他。大雑把な人口分布だが。典型的な多民族国家、価値観が多彩(というより分裂している)。

 ナジブ前首相のあまりな中国接近、そして腐臭に満ちた賄賂漬け政治に嫌気が差したマレーシア国民は93歳のマハティール前首相の返り咲きを選んだ。マハティールは選挙中、中国のデベロッパーが開発していた70万の人工都市フォレストシティを「あそこは森という名前の通り『オランウータンの住み家』とせよ」として投資VISAの特例を見直した。中国が進めていた新幹線は20%が完成したところで、打ち止めとし、さらにボルネオから海底をくぐり抜けて運ばれるガス・パイプライン・プロジェクトを中止した。
 
 ところが一方で、国民車プロトンの夢捨てがたく、マハティール首相は中国へ飛んで上海汽車との協同強化を認める。シルクロード國際フォーラムにも参加した。西側から見れば、鵺的な行為だが、アジア特有の政治なのである。

 米国がスパイ機関と認定し、排斥を決めてファーウェイをどうするのか、注目された。
 マハティールは五月に東京で開催された日経新聞主催のシンポジウム「アジアの未来」で講演に立ち、「マレーシアはファーウェイの5Gシステムを受け入れる」と言明した

 「スパイ機関っていうが、われわれには秘密がない」とブラックユーモアを交え、「米国のペンタゴン報告やCIA報告は正確ではない(信頼できない)。ファーウェは過去二十年にわたり、マレーシアに根付いた企業である」

 ファーウェイの社員の多くが軍人、国家安全部からの派遣だという事実、これまでの技術盗取に関してはスルーした。


 ▲「ファーウェイがスパイ機関? でもわれわれには秘密がない」

 そしてマハティール首相はこうも言った。
「トランプ政権の対ファーウェイ最後通称は、アジアでは効果を挙げないだろう」
 老練、老獪、まったく端倪術からざる政治家である。

 このマハティール発言に触発されたのか、タイ、シンガポールはもともとファーウェイのネットワーク受け入れを決めていたが、フィリピン、そしてインドネシアが「ファーウゼイの5G通信ネットワークの実験に参加する」と言い出した。
 ASEANでほかの国はともかくインドネシアが5Gシステムに積極的で、米国の意向に逆らったことは留意しておく必要がある。東チモールで、欧米の圧力で領土をもぎ取られると考えるインドネシアは、空軍戦闘機をF16から、ミグに切り替えたように意趣返しである。

  アジア市場でファーウェイは8000万人がスマホを使用していると見積もられ、さらに向う五年間で1兆2000億ドルの売り上げが見込まれる。日米豪カナダの市場を失っても、ファーウェイはアジアで、そして中東と一部欧州で、そして欧州植民地だったアフリカで、廉価を武器に英国系ボーダフォンなどを駆逐してきた。
 
携帯電話に関して言えば、日本でも豪でもNZでもファーウェイは意外と普及しており、日本政府は基地局での不使用を言っているのみである。
 
 トランプ政権は、このアジアならびに他の市場の実態を把握した。
つまり「手遅れ」なのだ。だから筆者は次ぎに米国が打つ手を推測する。トランプ政権はまったく別のキャンペーンで当座のファーウェイ浸透の妨害で時間を稼ぎつつ、ゲームの基本を根底から換えようとするだろう。
つまり6G時代の先取りである。

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