「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月19日(金曜日)
通巻第6145号 <前日発行>
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IIF(國際金融研究所)が中国の負債を40兆ドルとした
GDPの304%は危険水域を越えているが、まだ中国は強気で投資続行
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BIS(国際決済銀行)は昨年八月に公表した数字で、中国の負債総額は33兆ドルとした。邦貨換算3730兆円、小誌が昨年までに屡々述べてきた3700兆円と同じレベルだった。
先週、IIF(國際金融研究所)が出した最新レポートでは、中国の債務は40兆ドル(4400兆円)、GDPの304%となっていた。BISの発表から一年後の数字が、これほど負債が急伸しているという事実はいったいどういう意味があるのか。ここでは中国のGDPが嘘だらけで、最低でも30%の水増しがあり、対GDP負債比率はもっと大きくなるが、いまはその議論は措く。
IIFの数字では住宅投資の負債が大きくGDPの54%、政府の財政支出が同51%であり、にもかかわらず中国政府は2019年上半期だけでインフラ投資に3120億ドル(邦貨換算34兆円)を廻し、94件のプロジェクトの推進を決めた。
李克強首相は、GDPが6・2%に減速したことを受けて、「まだまだ強気の投資を行う」としている。負債はまだまだ膨らむ。
中国の学者のなかには「国際機関の統計は穏やかすぎる。少なくとも中国の負債は6700兆円になっている」とする。なかでも個人消費に属する住宅投資はローンを組んでいるため、これらは自動的に債務勘定となる。ローン残高が2400兆円、これに地方政府の負債が最低見積もっても3700兆円加わる。もし不動産暴落が始まれば、収拾できない混沌が金融市場を襲うことになる。
或るシンクタンク(米国系)の予測数字では中国の負債は9900兆円に達した」としている。