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自由貿易、巻き返しへ秘策 TPP・EU大連携構想 編集委員 滝田 洋一
2019/7/15 2:00
日本経済新聞 電子版
米中の通商摩擦や保護主義の台頭が、世界経済に暗雲となって垂れ込めている。米国や中国に直接働きかけても埒(らち)が開かない。それなら環太平洋経済連携協定(TPP11)と欧州連合(EU)が手を結び、巨大自由貿易圏をつくってはどうだろう。
活発に政策提言をするフランスのザキ・ライディ・パリ政治学院教授、経済財政諮問会議メンバーである竹森俊平慶大教授らが提唱した。単に保護主義反対と言ったところで、話は前に進まない。日欧による米国への対抗軸と受け取られない配慮は必要だが、ここはひとつ大風呂敷を広げてみるときではあるまいか。
2017年に発足したトランプ政権の初仕事がTPPからの離脱だった。多国間の貿易協定では米国の声が通らず利益を損なう。2国間の交渉でこそ米国の主張を貫ける――。大統領がそんな姿勢を鮮明にするなか、自由貿易協定(FTA)は大きな逆風にさらされている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、18年末時点で発効済みのFTAの数は全世界で309件にのぼる。とはいえ18年に発効したFTAは合わせて5件にとどまり、17年の10件に比べて半減した。05~09年の5年間に79件、10~14年には67件のFTAが発効したのと比べて、明らかにペースは落ちている。
ならば、自由貿易に向けた巻き返し策はないか。TPP11とEUの大連携の構想は、そんな発想から生まれた。
日本は18年12月、アジア・太平洋の国々とTPP11を発効させた。米国が抜けた痛手にめげず努力を続けた成果が実った。19年2月には日本とEUの間で経済連携協定(EPA)が発効。その延長線上でアジア・太平洋と欧州に架橋しようというのである。
このTPP11とEUの大連携の特徴は、何といっても経済規模の大きさにある。世界の域内総生産(GDP)に占めるウエートは、TPP11が13%でEUは22%。合わせて35%にのぼる。米国の24%や中国の15%を大幅にしのぐ。
狙いは経済面にとどまらない。自由貿易や多国間の貿易体制を守り続けるという政治的メッセージにこそある。この大連携は、貿易やハイテク分野での米中対立の嵐から、参加国の身を守る保険の役割を果たす、というのだ。
米中の通商摩擦は、ケンカ両成敗では終わらせない。TPP11もEUも、関税をなくし、知的財産権などを保護するといった点では、質の高い仕組みを求めている。
▼政府の産業補助金、国営企業の役割、知的財産権の保護。これらのルールを、明確化し近代化すること。
▼外国からの直接投資や市場アクセスを安全にすること。政府調達へのアクセスを透明にし互恵的にすること。
これらの提言は中国に対して一層の門戸開放と構造改革を促すものでもある。米中の通商協議で米国側が中国に求めている項目とも重なり合う。その意味で、TPP11とEUの大連携は、米国と手を携える余地が大きかろう。
TPP11とEUの大連携は、世界貿易機関(WTO)のバックアップも大きな課題である。何しろWTOの仕事である加盟国間の紛争解決機能は、19年12月にもまひしかねない状態となっている。
WTOの紛争解決手続きの最終審に当たる上級委員会(定数7人)は、米国による委員の再任拒否により、今や審理に最低限必要な3人体制となっている。12月にはそのうち2人の委員の任期が終わるとあって、機能不全に陥る可能性が出てきているのだ。
こうした事態に備え、TPP11とEUの国々は、上級委員会を待たずWTOの第1審に当たる小委員会(パネル)の決定を尊重する、WTOは紛争の白黒をつけるよりも調停役の役目を強化する――といったことを提案している。
TPP11とEUとの連携はWTOが形骸化し、2国間の対立が激化する事態に歯止めをかけるのが狙いだ。
実現に向けた時間軸も明示されている。8月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)後に弾みをつけ、20年末までには新たな大連携の形を整えようというわけである。
もちろんハードルが横たわる。EUとソリが合わないトランプ政権の反発だ。米国とEUは19年4月から通商協議を始め、工業製品の関税引き下げや規制の障害撤廃を目指している。10月末の合意を目指したが、足踏み状態だ。
トランプ政権が中国との通商協議に人手を割かれ、EU側も欧州議会選挙の結果に表れた民意の分裂という足かせを抱える。加えてEUが折にふれトランプ政権の通商政策に文句をつけることに、米国側はいら立ちを募らせる。
翻って日本。7月の参院選が終われば米国との通商協議を加速させる環境が整う。米国の農産物の輸入拡大などについて、トランプ大統領は色よい返事を期待している。5月の日米首脳会談の冒頭でトランプ氏は、8月にも日米合意が成立するとの想定を示した。8月はともかく、安倍晋三政権も日米間の懸案を早く処理したいのは山々だろう。
そんななかで、日欧間で米国を無視するかのような貿易圏構想が浮上しているといった誤解を招くのは禁物だ。そこを十分に配慮するとしても、多国間で自由貿易をもり立てる努力は欠かせまい。
世界経済の不透明感から企業活動は萎縮しがち。企業に活を入れるためにも、TPP11とEUの大連携は悪くない話のように思えるのだが。
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● 当然の流れである。親分(USA)は引退が近いし、日本は今から社長に
なるのですから、お互いの人生の道は、今後は異なります。日米間は
二国間の交渉でするしかありません。
● ドイツは日本同様の国≒資本主義が、今後百数十年残っていますから、
自由貿易にて利益を得ることは出来ますが。しかし仏は例外です。
13年遅れでUSAの後を追います。つまり、右派が政権を握るのです。
● 当然トランプ氏同様、自由貿易圏からは脱退します。したがって
長期的には、日独伊・インドとその子分たちや
取り巻きが自由貿易圏の中核に入れます。
● いずれにしろ、USA/大西洋資本主義諸国が崩壊するまでは、多くの国を
自由貿易圏に組み入れることは重要です。日本の国益が増大します。
日本がアトラクターとなって世界をリードするのです。
● これはUSA/大西洋資本主義諸国の崩壊に伴う必然の歴史ですから、
躊躇する理由は全くありません。しかしこの場合は寄生虫
(大陸や半島にいる)は退治する必要があります。
● 彼らは内部から食い荒らす、獅子身中の虫です。絶対妥協はしては
いけません。世界は良い子の集まりの幼稚園ではないのですから、
皆と仲良くするのは、自殺行為です。
自由貿易、巻き返しへ秘策 TPP・EU大連携構想 編集委員 滝田 洋一
2019/7/15 2:00
日本経済新聞 電子版
米中の通商摩擦や保護主義の台頭が、世界経済に暗雲となって垂れ込めている。米国や中国に直接働きかけても埒(らち)が開かない。それなら環太平洋経済連携協定(TPP11)と欧州連合(EU)が手を結び、巨大自由貿易圏をつくってはどうだろう。
活発に政策提言をするフランスのザキ・ライディ・パリ政治学院教授、経済財政諮問会議メンバーである竹森俊平慶大教授らが提唱した。単に保護主義反対と言ったところで、話は前に進まない。日欧による米国への対抗軸と受け取られない配慮は必要だが、ここはひとつ大風呂敷を広げてみるときではあるまいか。
2017年に発足したトランプ政権の初仕事がTPPからの離脱だった。多国間の貿易協定では米国の声が通らず利益を損なう。2国間の交渉でこそ米国の主張を貫ける――。大統領がそんな姿勢を鮮明にするなか、自由貿易協定(FTA)は大きな逆風にさらされている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、18年末時点で発効済みのFTAの数は全世界で309件にのぼる。とはいえ18年に発効したFTAは合わせて5件にとどまり、17年の10件に比べて半減した。05~09年の5年間に79件、10~14年には67件のFTAが発効したのと比べて、明らかにペースは落ちている。
ならば、自由貿易に向けた巻き返し策はないか。TPP11とEUの大連携の構想は、そんな発想から生まれた。
日本は18年12月、アジア・太平洋の国々とTPP11を発効させた。米国が抜けた痛手にめげず努力を続けた成果が実った。19年2月には日本とEUの間で経済連携協定(EPA)が発効。その延長線上でアジア・太平洋と欧州に架橋しようというのである。
このTPP11とEUの大連携の特徴は、何といっても経済規模の大きさにある。世界の域内総生産(GDP)に占めるウエートは、TPP11が13%でEUは22%。合わせて35%にのぼる。米国の24%や中国の15%を大幅にしのぐ。
狙いは経済面にとどまらない。自由貿易や多国間の貿易体制を守り続けるという政治的メッセージにこそある。この大連携は、貿易やハイテク分野での米中対立の嵐から、参加国の身を守る保険の役割を果たす、というのだ。
米中の通商摩擦は、ケンカ両成敗では終わらせない。TPP11もEUも、関税をなくし、知的財産権などを保護するといった点では、質の高い仕組みを求めている。
▼政府の産業補助金、国営企業の役割、知的財産権の保護。これらのルールを、明確化し近代化すること。
▼外国からの直接投資や市場アクセスを安全にすること。政府調達へのアクセスを透明にし互恵的にすること。
これらの提言は中国に対して一層の門戸開放と構造改革を促すものでもある。米中の通商協議で米国側が中国に求めている項目とも重なり合う。その意味で、TPP11とEUの大連携は、米国と手を携える余地が大きかろう。
TPP11とEUの大連携は、世界貿易機関(WTO)のバックアップも大きな課題である。何しろWTOの仕事である加盟国間の紛争解決機能は、19年12月にもまひしかねない状態となっている。
WTOの紛争解決手続きの最終審に当たる上級委員会(定数7人)は、米国による委員の再任拒否により、今や審理に最低限必要な3人体制となっている。12月にはそのうち2人の委員の任期が終わるとあって、機能不全に陥る可能性が出てきているのだ。
こうした事態に備え、TPP11とEUの国々は、上級委員会を待たずWTOの第1審に当たる小委員会(パネル)の決定を尊重する、WTOは紛争の白黒をつけるよりも調停役の役目を強化する――といったことを提案している。
TPP11とEUとの連携はWTOが形骸化し、2国間の対立が激化する事態に歯止めをかけるのが狙いだ。
実現に向けた時間軸も明示されている。8月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)後に弾みをつけ、20年末までには新たな大連携の形を整えようというわけである。
もちろんハードルが横たわる。EUとソリが合わないトランプ政権の反発だ。米国とEUは19年4月から通商協議を始め、工業製品の関税引き下げや規制の障害撤廃を目指している。10月末の合意を目指したが、足踏み状態だ。
トランプ政権が中国との通商協議に人手を割かれ、EU側も欧州議会選挙の結果に表れた民意の分裂という足かせを抱える。加えてEUが折にふれトランプ政権の通商政策に文句をつけることに、米国側はいら立ちを募らせる。
翻って日本。7月の参院選が終われば米国との通商協議を加速させる環境が整う。米国の農産物の輸入拡大などについて、トランプ大統領は色よい返事を期待している。5月の日米首脳会談の冒頭でトランプ氏は、8月にも日米合意が成立するとの想定を示した。8月はともかく、安倍晋三政権も日米間の懸案を早く処理したいのは山々だろう。
そんななかで、日欧間で米国を無視するかのような貿易圏構想が浮上しているといった誤解を招くのは禁物だ。そこを十分に配慮するとしても、多国間で自由貿易をもり立てる努力は欠かせまい。
世界経済の不透明感から企業活動は萎縮しがち。企業に活を入れるためにも、TPP11とEUの大連携は悪くない話のように思えるのだが。
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● 当然の流れである。親分(USA)は引退が近いし、日本は今から社長に
なるのですから、お互いの人生の道は、今後は異なります。日米間は
二国間の交渉でするしかありません。
● ドイツは日本同様の国≒資本主義が、今後百数十年残っていますから、
自由貿易にて利益を得ることは出来ますが。しかし仏は例外です。
13年遅れでUSAの後を追います。つまり、右派が政権を握るのです。
● 当然トランプ氏同様、自由貿易圏からは脱退します。したがって
長期的には、日独伊・インドとその子分たちや
取り巻きが自由貿易圏の中核に入れます。
● いずれにしろ、USA/大西洋資本主義諸国が崩壊するまでは、多くの国を
自由貿易圏に組み入れることは重要です。日本の国益が増大します。
日本がアトラクターとなって世界をリードするのです。
● これはUSA/大西洋資本主義諸国の崩壊に伴う必然の歴史ですから、
躊躇する理由は全くありません。しかしこの場合は寄生虫
(大陸や半島にいる)は退治する必要があります。
● 彼らは内部から食い荒らす、獅子身中の虫です。絶対妥協はしては
いけません。世界は良い子の集まりの幼稚園ではないのですから、
皆と仲良くするのは、自殺行為です。