「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月8日(月曜日)
通巻第6133号
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中国のミサイル発射実験は「空母キラー」と「グアムキラー」
米空母打撃群をグアム以東へ遠ざける軍事作戦、かなりの効果
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中国のミサイル発射は南シナ海へ向けて初めての実験だった。
米英仏の「自由の航行作戦」に対する嫌がらせ、牽制もしくは軍事威嚇と考えられたが、米軍の分析では相当深刻な「脅威」であるという。
発射されたのは「DF21」と「DF26」。少なくとも一発が標的に命中したらしい。スプラトリー(南沙諸島)以北、そして海南島周辺に6月29日から7月3日まで「飛行禁止空域」を設定していたから、その間に行われた模様である。
DF21(東風21)を艦船の攻撃用に改良した中距離弾頭ミサイル「DF21D」は射程1500キロを飛翔し、江蘇省、広東省の基地から発射された。通称「空母キラー」。
米軍はこれまでロシアとの間に締結したミサイル削減、廃棄条約などによって、この中距離弾道ミサイルを保有できなかった。
トランプがINF条約を破棄したことにより、これから製造される予定。(中国のDF21Dは世界唯一の対艦攻撃弾頭ミサイルだ)
DF26(東風26)は「グアムキラー」と呼ばれ、中国北西部の基地から4000キロを飛翔し、核弾頭装備が可能。ただし巡航ミサイルではないので、命中精度は悪く、それゆえに付近を航行する航空機、船舶にとっても危険である。
迎撃システムは各種迎撃ミサイルを保有しているものの、中国側の作戦は猛烈な数を打ち続ける戦法ゆえに、西側が防御態勢を強化し、完璧を期そうとすれば、グアム以東へ引き下がるを得なくなる。
空母打撃群が有効に活用できなくなる不安が拡がるのだ。
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