「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月5日(金曜日)
通巻第6129号
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韓国経済の屋台骨、半導体メーカーの悲鳴が聞こえる
中国からも大規模な撤退作戦が開始されていた
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韓国企業は2017年を契機に中国から撤退を開始し、ベトナムに集中的に工場を移管している。
最初の動きが目立ったのはロッテだった。2017年に所有ゴルフ場跡地をTHAADミサイル配備のために売却すると、中国はロッテデパートなどで不買運動、営業許可取り消しなどの嫌がらせを続けた。
韓国のみならず日米欧の企業の相次ぐ撤退に慌てた習五区は、2019年四月にロッテに対して遼寧省瀋陽のショッピンモールなどの営業再開許可を与えたが、ロッテは再開する意思はないとした。
サムソンは天津の工場を閉鎖した。近く深センの主力工場も閉鎖する。韓国製スマホは中国市場で20%のシェアを誇ったが、突如0・8%に急減し、工場経営の採算が合わなくなった。同社はテレビの工場もベトナムへ移管した。
2018年の韓国の対ベトナム直接投資は19億7000万ドルとなり、同期の対中国直接投資の16億ドルを超えた。そして韓国からベトナムへの輸出は1992年国交回復時の121倍、486億ドルに達し、まだ急伸中である。
ベトナム人は韓国人が大嫌いだが、投資と国民感情は別。ベトナム戦争中の韓国軍の無謀な侵略加担と虐殺行為を追悼する施設はベトナム中につくられている。
日本政府は7月4日から対韓国輸出規制を強化し、また「友好国」だった韓国をブラックリストに載せて、軍事汎用品すべての輸出を規制する方向にある。すでに韓国経済の死命を制する半導体の重要部品、部材の韓国向け輸出制限は開始された。
具体的には有機EL使用の「フッ化ポリイミド」、半導体製造に不可欠の「感光剤レジスト」、「エッチングガス」の三点。いずれも日本のシェアは90%K〜100%だから、サムソンも、SKホトニクスも半導体を作れなくなる。LGディスプレイも同様に製造の継続は難しくなるだろう。
フッ化ポリイミドは優れた絶縁特性があるので航空宇宙やエレクトロニクス分野の部品生産で幅広く使用されている。感光剤レジストとエッチングは半導体素子の製造に使われ、露光用のマスク製造等の加工に用いられる。
弱り目に祟り目の韓国経済となったが、あの「韓流ブーム」の沸騰も希薄となって、日本から同情する声は聞かれない。
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