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From 三橋貴明
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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』
2019/03/17
※配信解除は、最下部でできます。
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フィリップス曲線の崩壊
From 三橋貴明
【近況】
先日、経済動向塾(日本経営合理化協会)で、
元日銀副総裁の岩田規久男教授にご講演頂きました。
実質金利=名目金利−期待インフレ率(=予想インフレ率)
という、フィッシャーの方程式に従い、
期待インフレ率を引き上げることで、
実質金利を下げ、デフレ脱却を果たすという
「いわゆるリフレ派」の政策が「なぜ」失敗したのか。
もちろん、期待インフレ率が
「期待」ほどに高まらなかったためですが、
それは「なぜ」なのか。
決定的だったのは、
やはり「消費税増税」ですが、
消費税を増税した結果、
「なぜ」期待インフレ率が下がってしまったのか。
様々なデータを用いて
議論をしなければならない重要なポイントですが、
わたくしとしては、消費税増税で実質の消費が減った。
つまりは「消費の量」が減ったわけですが、
「目の前の販売(生産)数量が減っている」
という現実を受け、一気に期待インフレ率が下がったと解釈しています。
岩田教授によると、
14年の消費税増税は89年の消費税導入時はもちろん、
97年の消費税増税の時よりもダメージがあったとのことです。
結果的に、フィリップス曲線が異常な状況になってしまった。
【日本のフィリップス曲線】
http://mtdata.jp/data_63.html#Phillips
上図は岩田教授が使われていた
チャートに載っていたグラフを、
わたくしが最新データまでを含める形で再作成したものです。
岩田教授のチャートでは
「フィリップス曲線の崩壊」というタイトルがついていました。
13年から14年3月までは、
フィリップス曲線が急角度になっており、
「このままいけば、
2%のインフレ目標を達成できるのではないか」
と教授らは自信を持っていたそうですが、
14年4月以降に「異変」が起きます。
フィリップス曲線が「水平化」してしまい、
失業率が改善しているにも関わらず、
物価は上昇しなくなってしまった。
人手不足は「人口構造の変化
(少子高齢化による生産年齢人口比率の低下)」により、
容赦なく進む。
ところが、消費税増税で実質の消費=需要が減り、
「目の前で生産数量、販売数量が減っているため、
(人件費上昇の圧力があれども)価格を引き上げることができない」
と、企業が判断。
人手不足はヒトを「安く」雇うことでしのげども、
価格には転嫁できず、という状況が続いていると判断するべきです。
それにしても、岩田教授は
「雇用が改善しているのだから、物価は上昇しなくてもいい」
などと強弁せず、フィリップス曲線の水平化についても、
「なぜなのか?」を真剣に考えられている点が好感が持てました。
現実を受け、思考停止に陥らず、
認知的不協和にもならず、「なぜなのか?」と
原因を突き止め、解決策を探る。
これが、本来の「学者」や
「アカデミズム」であるべき姿だと思うのです。
フィリップス曲線の水平化と
経済的な見方については、
直近のメルマガでも取り上げました。
週刊三橋貴明 〜新世紀のビッグブラザーへ〜
https://www.mag2.com/m/P0007991.html
ご興味がおありの方は、是非ともご登録下さいませ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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● 期待インフレ率の上がらない理由。歴史経済波動学。
❶ 馬鹿財務省の消費税導入。要するに、金融緩和をしているふりをして、
資金を市場から吸い取っているのです。
❷ 不景気には本来財政出動をするが、その役割を放棄している。つまり
裏では、日本の繁栄を邪魔する行為ばかりしているのです。
❸ 世界的な不景気の波にのまれている。世界的な不景気は実は2000年
から起こっていて、まだ最後の暴落は来ていません。したがって
2020年までは続くと思われます。
つまり、日本のサイクルより大きな世界のサイクルは、不景気の
サイクルですから、必然的に日本の上向きのサイクルは
勢いが消される運命です。
❹ 日本の2013年(実際は2009年から始まっている)からの株価の上昇は
第一波運命よろしく、元の木阿弥になっている。もちろん
官僚の政策がダメなせいです。
❺ まとめれば、実際の権力を握っている国家官僚のせいで、安倍首相の
景気回復サイクルが足を引っ張られて、さらに世界の不景気の
サイクルに飲み込まれているという事です。
しかしながら、これも2020年からのオリンピック景気で
本格的に上昇のサイクルにのります。つまり世界に先駆けて
日本が景気回復を行い、世界の機関車としての役割を
果たすのです。
❻ もちろんこれは同時に、国家官僚から権力を奪取しつつ
行うべき、景気回復大作戦です。
❼ 言い換えれば、知恵者階級支配の崩壊の過程の一里塚という事です。
From 三橋貴明
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フィリップス曲線の崩壊
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【近況】
先日、経済動向塾(日本経営合理化協会)で、
元日銀副総裁の岩田規久男教授にご講演頂きました。
実質金利=名目金利−期待インフレ率(=予想インフレ率)
という、フィッシャーの方程式に従い、
期待インフレ率を引き上げることで、
実質金利を下げ、デフレ脱却を果たすという
「いわゆるリフレ派」の政策が「なぜ」失敗したのか。
もちろん、期待インフレ率が
「期待」ほどに高まらなかったためですが、
それは「なぜ」なのか。
決定的だったのは、
やはり「消費税増税」ですが、
消費税を増税した結果、
「なぜ」期待インフレ率が下がってしまったのか。
様々なデータを用いて
議論をしなければならない重要なポイントですが、
わたくしとしては、消費税増税で実質の消費が減った。
つまりは「消費の量」が減ったわけですが、
「目の前の販売(生産)数量が減っている」
という現実を受け、一気に期待インフレ率が下がったと解釈しています。
岩田教授によると、
14年の消費税増税は89年の消費税導入時はもちろん、
97年の消費税増税の時よりもダメージがあったとのことです。
結果的に、フィリップス曲線が異常な状況になってしまった。
【日本のフィリップス曲線】
http://mtdata.jp/data_63.html#Phillips
上図は岩田教授が使われていた
チャートに載っていたグラフを、
わたくしが最新データまでを含める形で再作成したものです。
岩田教授のチャートでは
「フィリップス曲線の崩壊」というタイトルがついていました。
13年から14年3月までは、
フィリップス曲線が急角度になっており、
「このままいけば、
2%のインフレ目標を達成できるのではないか」
と教授らは自信を持っていたそうですが、
14年4月以降に「異変」が起きます。
フィリップス曲線が「水平化」してしまい、
失業率が改善しているにも関わらず、
物価は上昇しなくなってしまった。
人手不足は「人口構造の変化
(少子高齢化による生産年齢人口比率の低下)」により、
容赦なく進む。
ところが、消費税増税で実質の消費=需要が減り、
「目の前で生産数量、販売数量が減っているため、
(人件費上昇の圧力があれども)価格を引き上げることができない」
と、企業が判断。
人手不足はヒトを「安く」雇うことでしのげども、
価格には転嫁できず、という状況が続いていると判断するべきです。
それにしても、岩田教授は
「雇用が改善しているのだから、物価は上昇しなくてもいい」
などと強弁せず、フィリップス曲線の水平化についても、
「なぜなのか?」を真剣に考えられている点が好感が持てました。
現実を受け、思考停止に陥らず、
認知的不協和にもならず、「なぜなのか?」と
原因を突き止め、解決策を探る。
これが、本来の「学者」や
「アカデミズム」であるべき姿だと思うのです。
フィリップス曲線の水平化と
経済的な見方については、
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● 期待インフレ率の上がらない理由。歴史経済波動学。
❶ 馬鹿財務省の消費税導入。要するに、金融緩和をしているふりをして、
資金を市場から吸い取っているのです。
❷ 不景気には本来財政出動をするが、その役割を放棄している。つまり
裏では、日本の繁栄を邪魔する行為ばかりしているのです。
❸ 世界的な不景気の波にのまれている。世界的な不景気は実は2000年
から起こっていて、まだ最後の暴落は来ていません。したがって
2020年までは続くと思われます。
つまり、日本のサイクルより大きな世界のサイクルは、不景気の
サイクルですから、必然的に日本の上向きのサイクルは
勢いが消される運命です。
❹ 日本の2013年(実際は2009年から始まっている)からの株価の上昇は
第一波運命よろしく、元の木阿弥になっている。もちろん
官僚の政策がダメなせいです。
❺ まとめれば、実際の権力を握っている国家官僚のせいで、安倍首相の
景気回復サイクルが足を引っ張られて、さらに世界の不景気の
サイクルに飲み込まれているという事です。
しかしながら、これも2020年からのオリンピック景気で
本格的に上昇のサイクルにのります。つまり世界に先駆けて
日本が景気回復を行い、世界の機関車としての役割を
果たすのです。
❻ もちろんこれは同時に、国家官僚から権力を奪取しつつ
行うべき、景気回復大作戦です。
❼ 言い換えれば、知恵者階級支配の崩壊の過程の一里塚という事です。