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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)12月18日(月曜日)弐
通巻第5554号
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エルドアン(トルコ大統領)「トルコ大使館も東エルサレムに移転する」
イスラム共同機構57ケ国のうち、13ヶ国が「エルサレムはパレスチナの首都」
****************************************
トランプ外交(米国大使館をエルサレムへ移転する)に対して、真っ正面からトルコが挑戦した。イスラム国家から反撃の烽火があがったのだ。
もとより米国がシリア情勢の変化に対応して、トルコが弾圧してきたクルド族、とくに武装集団に武器援助をなしたことで、トルコの対米不信が増大していた。
くわえて2016年のクーデター未遂で、背後にあるギュラン師(米国亡命中)のトルコ送還を米国が拒んでいるためだ。
この間隙を縫って、中国がぬけぬけとトルコ政治に入り込み、イスタンブールとアンカラを結ぶ高速鉄道を完成させ、米土関係の亀裂を増幅させる。ミサイル防衛システムのトルコは中国製に前向きになったが、こればかりはNATOの兵器体系と矛盾するとして米国が圧力をかけたため沙汰止みとなった。
中国にとってトルコは「一帯一路」のシルクロードの中継拠点としても、トルコへの投資を確実に増やしてきた。
すでに黒海の対岸ジョージアとアゼルバイジャンのバクーを結ぶ鉄道も中国主導で開通させた。中国は、地政学的にトルコが「エネルギー回廊」と呼ばれている重要性に着目し、シルクロードのプロジェクトの一環として、インフラ投資に力点を移してきた。
エネルギー戦略とは産出国ばかりではなく、運搬途中の通過地域の重要であり、精製や積み替えに必要な港湾も地政学的に重要な拠点となる。
中国はその点も考慮に入れて、例えば原油生産国のイランとウズベキスタンの鉄道、ガスのトルクメニスタンからウズベク、カザフスタンという通貨国にも投資の力点を強化してきた。
親日国家トルコはエルトールル号の海難救援にあたっての友情を忘れず、120年の友好親善関係を構築してきたが、なにしろ日本から遠く、日本の明治維新に習った近代化の道も紆余曲折がある。
トルコにおける日本の存在は稀薄になっている。
2017年12月16日、アナトリア半島で開催されたトルコ与党「正義公正党」大会で、エルドアン(トルコ大統領)が登壇し、「アメリカがイスラエルのシオニストと組んで大使館をエルサレムに移転するとした。であるなら、パレスチナの首都は東エルサレムであり、わがトルコ大使館も東エルサレムに移転する」
イスラム共同機構57ケ国のうち、13ヶ国が「エルサレムはパレスチナの首都」と認めており、エルドアンは続けて「イスラム国家はパレスチナと連帯している」と演説した。
この発言は、トルコの近年のイスラム回帰現象を如実に象徴しており、西側と距離をおく政治姿勢を鮮明にしたことになる。
とはいえトルコは国内におよそ300万人のシリア難民を抱えて、西側と対決姿勢を示せばしめすほどに西側からのトルコ投資が微減傾向をしめしている。
トルコはNATOのメンバーでありながらEUには加盟できず、また通貨も「ユーロ」には加えられず、西側への不信感が増大してきた。
▼国家間の関係は唐突に逆向きになることがある
キッシンジャーは「二国間関係がある日、唐突な衝突に到ることがあるが、『交通事故のようなもの』と譬喩したことがある。友好の絆が、突発的な現象により、突然、敵対関係となることがある。
とくに難民の扱いをめぐって、ドイツとは対立関係に陥り(メルケルはアンカラへ飛んでエルドアンと会談したが物別れ)、EUもトルコを人権無視と批判したため、エルドアンは絶縁状態にあったモスクワへ飛び、プーチン大統領と何回も会談を繰り返し、アナトリア半島を東西に貫通するロシアのパイプライン工事を認めた。
トルコはシリアのアサド体制を認めない立場だったのに、アサド体制防衛に回ったロシアに対して、この点を有耶無耶のまま、関係強化を急いだ。
ロシアは治安が回復しないにも拘わらず、トルコ観光を奨励し、ドイツがトップだったトルコへのツアーは、昨今、ロシア人でひしめきあうようになった(ちなみに日本からのトルコツアーは激減しているが、中国人の観光団はトルコ各地に急増中だ)。
黒海の入り口を扼するボスポラス海峡はトルコ領である。NATO海軍の拠点はトルコのイズミール港である。西側はこの地政学的に極めて重要なNATOの構成国トルコ、エネルギー回廊としても重要な国家の急激なイスラム化に、今後どのように対応するのか?
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● これは歴史経済波動学の見地から言えば、交通事故のような偶然な事では
ありません。必然であることは散々書いてきました。つまり知恵者賢帝
の時代はいくら頑張っても、自由と民主主義は根付かないのです。
● これを体制が異なる、というのです。ましてや今や西欧は、民主主義原理主義と
なっています。自分たちの体制が歴史の流れであり、当然であり、
それ以外は邪道であり、許せないというのです。自惚れであるが。
● 何処かで聞いた感じがします。そうです共産主義者の信奉と同じです。現代の
人間の知恵はこの程度と思えばいいのです。現在旧ソ連から中東にかけては
知恵者賢帝の国々です。従ってそこにポツンとある、自由と民主主義を
● 標榜するイスラエルはある意味異物みたいなものです。何時かは排除される可能性が
高い事は想像できます。合わない者同士が仲間になろうとすることが摩擦を生み、
挙句の果ては憎しみで別れる事になるのです。だからEUも解体の運命なのです。
● 2046~2059年の資本主義の大崩壊では、自由と民主主義を標榜する国は、日独伊と
スェーデンとインドのみと分析しています。誠に頼りない未来です。私の分析が
間違っていることを願うのみです。あり得ないが。
● 将来は、自由と民主主義は人間には合わない制度だと、皆が本気で思うでしょう。
知恵者賢帝の独裁国家、戦国武将の独裁国家がメインとなる時代がもうすぐ
来るのです。スターウォーズの世界です。そうです、力の世界です。
● 英雄と戦士と御姫様と悪の独裁者の世界が再び登場するのです。だからでしょう、
ハリウッドの映画も殆どが戦いの映画が主体です。若しくは性的少数者の
世界です。ソドムとゴモラと戦士の世界です。
● 自由と民主主義に慣れ来った日本人はやがて、戦国時代のUSAにも裏切られて、
四面楚歌の時代が再び来るのです。周りの大国を全て、相対的に脆弱化
させなくてはいけません。科学技術の漏洩には最大限の注意が必要です。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)12月18日(月曜日)弐
通巻第5554号
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エルドアン(トルコ大統領)「トルコ大使館も東エルサレムに移転する」
イスラム共同機構57ケ国のうち、13ヶ国が「エルサレムはパレスチナの首都」
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トランプ外交(米国大使館をエルサレムへ移転する)に対して、真っ正面からトルコが挑戦した。イスラム国家から反撃の烽火があがったのだ。
もとより米国がシリア情勢の変化に対応して、トルコが弾圧してきたクルド族、とくに武装集団に武器援助をなしたことで、トルコの対米不信が増大していた。
くわえて2016年のクーデター未遂で、背後にあるギュラン師(米国亡命中)のトルコ送還を米国が拒んでいるためだ。
この間隙を縫って、中国がぬけぬけとトルコ政治に入り込み、イスタンブールとアンカラを結ぶ高速鉄道を完成させ、米土関係の亀裂を増幅させる。ミサイル防衛システムのトルコは中国製に前向きになったが、こればかりはNATOの兵器体系と矛盾するとして米国が圧力をかけたため沙汰止みとなった。
中国にとってトルコは「一帯一路」のシルクロードの中継拠点としても、トルコへの投資を確実に増やしてきた。
すでに黒海の対岸ジョージアとアゼルバイジャンのバクーを結ぶ鉄道も中国主導で開通させた。中国は、地政学的にトルコが「エネルギー回廊」と呼ばれている重要性に着目し、シルクロードのプロジェクトの一環として、インフラ投資に力点を移してきた。
エネルギー戦略とは産出国ばかりではなく、運搬途中の通過地域の重要であり、精製や積み替えに必要な港湾も地政学的に重要な拠点となる。
中国はその点も考慮に入れて、例えば原油生産国のイランとウズベキスタンの鉄道、ガスのトルクメニスタンからウズベク、カザフスタンという通貨国にも投資の力点を強化してきた。
親日国家トルコはエルトールル号の海難救援にあたっての友情を忘れず、120年の友好親善関係を構築してきたが、なにしろ日本から遠く、日本の明治維新に習った近代化の道も紆余曲折がある。
トルコにおける日本の存在は稀薄になっている。
2017年12月16日、アナトリア半島で開催されたトルコ与党「正義公正党」大会で、エルドアン(トルコ大統領)が登壇し、「アメリカがイスラエルのシオニストと組んで大使館をエルサレムに移転するとした。であるなら、パレスチナの首都は東エルサレムであり、わがトルコ大使館も東エルサレムに移転する」
イスラム共同機構57ケ国のうち、13ヶ国が「エルサレムはパレスチナの首都」と認めており、エルドアンは続けて「イスラム国家はパレスチナと連帯している」と演説した。
この発言は、トルコの近年のイスラム回帰現象を如実に象徴しており、西側と距離をおく政治姿勢を鮮明にしたことになる。
とはいえトルコは国内におよそ300万人のシリア難民を抱えて、西側と対決姿勢を示せばしめすほどに西側からのトルコ投資が微減傾向をしめしている。
トルコはNATOのメンバーでありながらEUには加盟できず、また通貨も「ユーロ」には加えられず、西側への不信感が増大してきた。
▼国家間の関係は唐突に逆向きになることがある
キッシンジャーは「二国間関係がある日、唐突な衝突に到ることがあるが、『交通事故のようなもの』と譬喩したことがある。友好の絆が、突発的な現象により、突然、敵対関係となることがある。
とくに難民の扱いをめぐって、ドイツとは対立関係に陥り(メルケルはアンカラへ飛んでエルドアンと会談したが物別れ)、EUもトルコを人権無視と批判したため、エルドアンは絶縁状態にあったモスクワへ飛び、プーチン大統領と何回も会談を繰り返し、アナトリア半島を東西に貫通するロシアのパイプライン工事を認めた。
トルコはシリアのアサド体制を認めない立場だったのに、アサド体制防衛に回ったロシアに対して、この点を有耶無耶のまま、関係強化を急いだ。
ロシアは治安が回復しないにも拘わらず、トルコ観光を奨励し、ドイツがトップだったトルコへのツアーは、昨今、ロシア人でひしめきあうようになった(ちなみに日本からのトルコツアーは激減しているが、中国人の観光団はトルコ各地に急増中だ)。
黒海の入り口を扼するボスポラス海峡はトルコ領である。NATO海軍の拠点はトルコのイズミール港である。西側はこの地政学的に極めて重要なNATOの構成国トルコ、エネルギー回廊としても重要な国家の急激なイスラム化に、今後どのように対応するのか?
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● これは歴史経済波動学の見地から言えば、交通事故のような偶然な事では
ありません。必然であることは散々書いてきました。つまり知恵者賢帝
の時代はいくら頑張っても、自由と民主主義は根付かないのです。
● これを体制が異なる、というのです。ましてや今や西欧は、民主主義原理主義と
なっています。自分たちの体制が歴史の流れであり、当然であり、
それ以外は邪道であり、許せないというのです。自惚れであるが。
● 何処かで聞いた感じがします。そうです共産主義者の信奉と同じです。現代の
人間の知恵はこの程度と思えばいいのです。現在旧ソ連から中東にかけては
知恵者賢帝の国々です。従ってそこにポツンとある、自由と民主主義を
● 標榜するイスラエルはある意味異物みたいなものです。何時かは排除される可能性が
高い事は想像できます。合わない者同士が仲間になろうとすることが摩擦を生み、
挙句の果ては憎しみで別れる事になるのです。だからEUも解体の運命なのです。
● 2046~2059年の資本主義の大崩壊では、自由と民主主義を標榜する国は、日独伊と
スェーデンとインドのみと分析しています。誠に頼りない未来です。私の分析が
間違っていることを願うのみです。あり得ないが。
● 将来は、自由と民主主義は人間には合わない制度だと、皆が本気で思うでしょう。
知恵者賢帝の独裁国家、戦国武将の独裁国家がメインとなる時代がもうすぐ
来るのです。スターウォーズの世界です。そうです、力の世界です。
● 英雄と戦士と御姫様と悪の独裁者の世界が再び登場するのです。だからでしょう、
ハリウッドの映画も殆どが戦いの映画が主体です。若しくは性的少数者の
世界です。ソドムとゴモラと戦士の世界です。
● 自由と民主主義に慣れ来った日本人はやがて、戦国時代のUSAにも裏切られて、
四面楚歌の時代が再び来るのです。周りの大国を全て、相対的に脆弱化
させなくてはいけません。科学技術の漏洩には最大限の注意が必要です。