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Channel: 歴史と経済と医療の未来予測・歴史経済波動学
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消えては出る・出てきては消える // ビットコイン // ネット時代の大博打場

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     □◇□み△□◇や□▽◎ざ□◇□き◎□◇    …宮崎正弘の書評
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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やがてブームは去ることが確実に予測される仮想通貨
  米国の専門家は「ビットコインは詐欺のたぐい」と見ていた

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中島真志『アフター・ビットコイン』(新潮社)
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 最初から眉唾、疑問だらけだった。新しいマネーゲームはともかく国際的規模で拡大し急膨張した。
初の仮想通貨であるビットコインへの熱狂的沸騰は一攫千金を狙う壮絶な投機であり、しかも中国人が全体の九割を買い占めるという異常事態を目撃すれば、評者(宮崎)などは、どうしてもオランドのチューリップ・バブルと連想を繋げたのだった。

頃は十七世紀、戦争を繰り返したヨーロッパでは変造通貨の流行が一方で起こり、他方ではオスマン・トルコ帝国から輸入されてチューリップが珍しがられて、その球根に異常な値がついた。
やがて熱狂的投機となって一つの球根の値段が植物業者の年収の十倍というバブルとなって人々が熱中、やがてその熱狂はバブル崩壊となって破綻した。チューリップへの投機は終息したが、オランダ経済は大打撃を受けた。

仮想通貨ビットコインは、図式的にみても、このチューリップ投機に原型が求められる。投棄の構造はポンジ・スキーム(ねずみ講)だ。
そのうえに博打大好きで、自国通貨の人民元をまったく信用していない国民性から、中国人は誰も住んでいない砂漠でもマンションに投棄し、金のインゴットを密かに買い集め、或いは箪笥預金にドル、ユーロ、日本円などを現金で貯め込む。昨今の中国における異様な不動産投機は、この博打的人生を勘案すれば、納得がいくだろう。
遅ればせながら中国政府はビットコイン取引所の閉鎖という荒治療で対応した。ビットコインはしかも中国国内で三分裂した。

本書は日銀出身の専門家が、ビットコインの終わりを明確に予測しつつ、これからは「ブロックチェーン」が本格化するだろうと言う。

著者は四つの理由を挙げる。

第一に「通貨の未来を変えるもの」だとメディアが「非常に美しい姿ばかりが喧伝されていることに懸念を覚える」からで、「光と影」のなかの「光」の部分だけに焦点を当てたのは問題だと指摘する。
第二に次にやってくるのは「ブロックチェーン」であり、これは「ビットコインを支える中核技術として開発された」。金融界の革新を担うものである。
 第三に金融界のメインストリームは、このブロックチェーンを駆使して「世界の中央銀行が『デジタル通貨』を発行しようとする動きがある」ことに留意しなければならないとしている。

 「ビットコインは、もともとは、どの国の当局(政府や中央銀行)からも管理されない通貨を作りたいという「自由至上主義者」(リバタリアン)のイデオロギーに基づいて開発されたものでした。そのまさに回避しようとしていた中央銀行がビットコイン用に開発された技術を使ってデジタル通貨を発行しようとしていることは、なかなか皮肉な成り行き」でもある(193p)。 

 昔からの格言に「永遠に上がり続ける資産は存在しない」のであり、「かならず終わりが来る」(ハーバートスタイン)「良い終わりかたはしないだろう」(ジェイミー・ダイモン、JPモルガンCEO)。

 これまでモヤモヤしたままだったビットコインへの疑念と疑問は、この一冊で綺麗に晴れた。
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