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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)10月2日(月曜日)
通巻第5456号 <前日発行>
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どこまで間抜けで、莫迦なドイツなのか
腐敗する中国からの投資を歓迎し、人権批判は口だけという醜態
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ドイツの総選挙結果は、メルケル連立与党の辛勝だった。単独で過半数を制することがかなわず、必然的に連立を組む必要がある。
選挙結果はCDU・CSUが32・8%の得票率で第1党となったものの、左翼のSPDが20・4%、いずれもー8・6%,―5・2%と得票率を下げた。
この分を議席ゼロだった「ドイツのための選択肢」(AfD)が獲得し、いきなりの大勝利となった。左翼マスコミの「極右」「ナチス」というレッテル貼りなどの猛攻撃にもかかわらず、AfDは13%の票を獲得し、ついで自由党が10・7%,左翼党が9・1%,極左の「緑の党」が9%だった。
「労働者階級が投票したからだ」と分析が散見されたが、トランプの勝因と同様に、おおくの中間層、知識人がAfDに投票したのだ。
ドイツの保守が結集するかたちとなった「ドイツのための選択肢」(AfD)の大勝利の原因はイスラムの移民への反発だった。それも百万をこえる異質な人々の面倒をなぜドイツが負担するのか、しかも移民のなかにISの過激派や同調者がまざり、ドイツでテロ事件を惹起し、あるいは移民の中にはドイツ女性を強姦する犯罪が急伸しているが、メルケルは黙殺し、まだ移民を増やすととぼけた発言を繰り出していた。
シリアからの移民の急増はドイツの法律の欠陥と衝いた。
「これはドイツ文化の破壊である」と正論を主張したのが、2013年に結成されたばかりの「ドイツのための選択肢」(AfD)だった。
仮にメルケルが連立を継続するにしても、CDU・CSUとSPDの組み合わせで53・2%となり、辛うじて多数派だが、メルケルは連立を意図的に遅らせ、むしろ自由党と緑の党をいれた、奇妙な大連立を構想しているという情報もある。
注目するべきドイツの動きとして対米関係の悪化が第一に挙げられるだろう。
アメリカからの自立への模索である。オバマ前政権とは独米蜜月と言われたほどだったが、トランプ政権の誕生とともにドイツのトランプ嫌いが昂じて、米国と距離を明確におきはじめ、その反動で、ロシアとの接近が目立つようになった。
日本のメディアは米国リベラル派メディアの左翼分析をオウム返しに繰り返すだけだから、トランプは「悪い」というイメージが固定している。
ところがドイツはもっとひどい扱いである。トランプ憎しという感情が先行し、それがドイツで反米感情の爆発となっている。
川口マーン惠美氏の分析予測によれば、これは独米関係が「服従から造反」へのプロセスであり、過去のシュミット、コール、シュローダーの対ロシア政策の否定であり、NATOならびにEUがロシアへの敵対を続けるなか、独自の外交政策にうってでる。
このため、ロシアへの経済制裁の解除を射程に入れ始めたという。
▼れっ? あの親露派シュローダー前首相が「ロフネフツ」の会長に???
それを裏打ちするかのように、とかくロシアとの関連で噂のあったシュローダー前首相が、なんとロシア最大資源企業「ロフネフツ」の会長に就任することである。
シュローダー前政権はロシアとの関係改善に邁進し、バルト海の海底をドイツへつなぐパイプラインの推進者だった。
このように反米路線に急傾斜するドイツ政界、マスコミに中国と韓国のロビィ工作が浸透している。じつに由々しき事態なのである。
ドイツは以前にもまして日本批判を強め、ドイツの主力メディアの日本報道は最悪となった。「南京大虐殺はあった」、「従軍慰安婦は性奴隷」という中韓の歴史戦争の宣伝が染み渡り、日本の悪イメージがすっかり定着した。外務省の無策でもある。
そしてメルケルは「人道」「人権」を滅多に口にしなくなり、中国非難はどこかに置き忘れて、AIIBを推進し、中国の一帯一路プロジェクトへの協力に前のめりになり、ドイツで時差ボケのような中国ブームが起きている。
ドイツのロボット企業大手「クーカ」や、EEWエネルギー、半導体のアイクストロン社などが中国への身売りを承諾し、先端技術が中国へ渡り、軍事転用される懸念には目をつむる。
こうした動きを憂慮するEU委員会は「(軍事転用の恐れが高い)ハイテクなどの先端技術を中国が買収することは、EU全体の安全保障に影響があるとして企業防衛に本腰をいれる姿勢を見せている。
しかし2016年だけでも、中国の欧州企業買収などの直接投資は350億ユーロ(放火換算で4兆6000億円)という巨額に達している。
ドイツは嘗ての戦争相手ソ連の恐怖心を忘却し、そのロシアの軍拡への恐怖心はポーランドやリトアニアほど強くなく、反米感情の高まりと併行して親露路線への急傾斜が顕著にあらわれてきたのだ。
ところがここへ来て、フランスとの蜜月関係に亀裂が見られる。EUの基軸である独仏関係に意思の疎通がみられず、政策が乖離し始める。
マクロン(仏大統領)はEU強化、EU統一軍創設、ユーロ堅持などEUにおける主導権をドイツから奪うことを露骨に示すようになり、難民問題ではドイツに理解を示すジェスチャーを示しながら、実際の政策面では、協力的ではない。ルペン旋風の影響を受けてイスラム移民にフランスは徐々に冷淡になってきた。
EU諸国にとって移民問題は解決策が見られない。
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● 二大アトラクターの激突。朝鮮動乱、EU解体、内戦型世界大戦、USA/大西洋資本主義諸国の
大崩壊。これらすべてに日独が関与するのです。22世紀の資本主義最後のライバルとして。
● どうやら、USA/大西洋資本主義諸国の大崩壊後は、この2大資本主義国家が左右の
アトラクターとして、お互いを牽制しつつ、ライバルとして戦う運命かも
知れません。勿論日本の軍事的主天敵は、中韓朝であることは当然ですが、
● 経済的ライバルとしての戦いです。今後独でも右派はもっと躍進し、仏はやがて右派に
政権を奪われます。そしてEUの解体です。その足元の混乱を利用して、今度は日本が
彼らドイツへの攻撃を開始すべきでしょう。
● いずれにしろ、EU解体後のドイツの左派の泣き面が見られそうです。
その時にドイツ国民は、後悔・反省をするのでしょうか?