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癌の悪性度を決める因子は何か?//真実はいつもシンプルを好む

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★ http://ganshien.umin.jp/research/main/orimo/02.html

折茂准教授のがん線維芽細胞の研究は、米国のMITホワイトヘッド研究所でのポスドク時代に始まる。内科医として臨床と基礎研究の経験を積んだ後の2000年~2007年、ホワイトヘッド研究所で折茂准教授はがんの研究で有名なロバート・ワインバーグ教授に師事し、研究を行った。ちょうど2000年は、ワインバーグ教授が「The Hallmarks of Cancer」という有名な総説を発表した年である。この総説は、がん化の過程をがん細胞の進化という観点から解説し、それによってがんという病気を定義したもので、その斬新な発想により、世界のがん研究者に大きな影響を与えた。

その総説では、がんは段階的に進展していくものととらえている。そして、「がん細胞は、周囲の正常な細胞を毒化して、共謀者に変化させる。そして、その共謀者とともにがん細胞が働くことで、がんが悪化していく」と説明している。つまり、がん細胞は、周囲の細胞をそそのかして悪者に変え、悪者どうしが協力して、がんという病気を引き起こすというわけである。この説明を間質の線維芽細胞にあてはめると、がんが進行していく過程で、がん細胞は間質の線維芽細胞を毒化し、共謀者に変化させる(活性化)。そして、共謀者になった線維芽細胞は、今度は自身ががん細胞に働きかけ、がん細胞の毒化を促進するということになる。このように、がん細胞と周囲の細胞の相互作用により、がんが悪化していくと考えられる。

【がん細胞と周囲の細胞とが協力してがんを悪化させるという考え方】

がん細胞は間質にある正常な線維芽細胞を教育(毒化)し、活性化された線維芽細胞(筋線維芽細胞)を誘導する。がん化の過程で筋線維芽細胞はより活性化した筋線維芽細胞に進化し、がん細胞を毒化する。これによりがんが進展していく。


この仮説の下、折茂准教授はがん間質の線維芽細胞の詳しい解析を進め、2005年にはその成果を論文として発表した。活性化された線維芽細胞の詳しい性質を解析し、この細胞が、「筋線維芽細胞」という名前で呼ばれている細胞とほぼ同一であることを証明した。筋線維芽細胞に、特異的なマーカー(平滑筋αアクチンマーカー=αSMAマーカー)を加えると陽性を示し、茶色に染色される。そこで、線維芽細胞が活性化されているかどうかを見分けるには、このマーカーで染色してみればよいことになる。折茂准教授は、がんの間質にある線維芽細胞が活性化されて筋線維芽細胞となるという関係をはっきりさせるため、両者をまとめて「がん内線維芽細胞」という名称をつけた。英語では、carcinoma-associated fibroblasts、略してCAFsと呼ばれている。

【がん間質には活性化された線維芽細胞が多数含まれる】

左は、浸潤性乳がんの間質をα-SMAというマーカーで染色したもの。茶色に染色された細胞が、活性化された線維芽細胞である筋線維芽細胞。下は、乳がん組織をヘマトキシリン-エオジン染色したもの。がん細胞(紺青色)と間質の細胞(ピンク色)が見える。

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● 癌の原因を放置したまま、癌が周囲の間質細胞をそそのかして、共謀者に変身して
  悪性度が増してゆくいう考えは、あまりにも擬人化し過ぎである。

● DR.大村恵昭の研究から見られることは、アスベストやHPV-16感染の濃度と
  悪性度が関与してるという研究から、単純に局所へのアスベスト等の
  汚染物質の蓄積と、その結果としてのHPV-16感染の集積が

● 悪性度に関していると思うのが真実に近いと思われます。これが、癌は徐々に悪化するという現象と、
  アスベストが原因であると一般的に認められる胸膜腫の研究からも分かるように、
  その局所蓄積濃度が癌化に関与するという現象とを総合すると、

● 単純に局所の集積が強いので、悪性度が増すと考えても良いのです。つまり、
  原因と悪性度の進行は、基本的に同じ現象とみるのが単純で理にかなっています。
  あえて言うのなら、共謀者に仕立てる媒介物は、アスベストとHPV-16感染であり、

● 擬人化して、特別に共謀者に仕立てる必要もないのです。共謀者理論を確実に
  証明するには共謀を媒介する因子の証明が必要です。

● 多分最後は、その因子は実は癌化の原因である、アスベスト汚染と
  HPV-16感染である、と結論付けるのでしょう。将来が楽しみです。



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