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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)11月11日(金曜日)弐
通算第5082号 <前日発行>
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痛ましいほどに的外れ、各紙のトランプ勝利分析
歴史的な流れという文脈で捉えた解説は皆無に近かった
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「悪夢」「衝撃」という語彙が頻出した。
「異端」「大衆迎合」「怪物」「絶望」『保護主義』『市場が懸念』というタームが次の多用されている。日本の五大紙を読み比べてみたが、痛ましいほどに的外れである。
「予想を覆したから衝撃だった」というのも、各社はヒラリーが勝つと見込んで予定原稿を用意していたからで、トランプ勝利の予定草稿がなかった。外務省高官は直前にも「接戦ですらない」と吐き捨てていたという。外務省が国連総会出席の安倍首相とクリントンとの会談しか設定していなかったのも、その現れである。つまり日本政府はトランプを無視していたことになる。
それにしてもBREXIT(英国のEU離脱)の時も直前まで外務省は「離脱はない」と首相に進言していた。これで二回連続の大失敗。外務省の情報収集能力に致命的欠陥があるのではないか。
ネタニヤフ(イスラエル首相)は、訪米時にちゃんと二人に会った。とくにネタニヤフとトランプは相性があう。理由はふたりとも「敵はジャーナリズム」という、本質を知っている。
そのうえで、この左翼ジャーナリズムとの戦いかたのコツも心得ている点で、不思議なほどに共通しているからだ。
グローバリズムの信奉者の代表格は「日本経済新聞」。日経はこう書いた。
「米国民は過激な異端児に核兵器のボタンを預け、経済と政治の変革を託した」(11月10日一面トップ、「トランプショック」コラム)。
異端というのはグローバリズムから見ればそうでも、ナショナリストから見れば、グローバリズムそのものが異端であることには触れていない。
グローバリズムを鼓吹し、その失敗が現れていることに同紙は無関心である。
TPP反対を唱えるトランプの勝利はグローバリズムの破綻がはじまったことを意味するのだから。
▼アウトサイダーだから?
読売は「大衆迎合では大国導けぬ」と書いた。トランプは大衆迎合と断じているあたりが皮相な分析ではないか。
「選挙で撰ばれる公職か軍幹部のいずれの経験もない『アウトサイダー』が大統領選に勝利するのは米国史上初めて」(読売新聞、同日、一面トップ)。読売は続けて「こんなに怒りや不満を抱え、『疎外』されていた人が多かったのか、と驚くばかり」と書いた。
チと気がつくのが遅かったのでは?
朝日は「未知数」「不透明感」を語彙に多用しつつ「女性蔑視の発言などから、『資質』を問われてきた。政治経験もないうえ、外交政策に精通した側近も現状では見あたらない」。そのうえ共和党内の不協和音が残り、『同党主流派との対立が深刻で政権運営がスムースにいくかは不透明』と批判のオクターブを挙げる(同日一面)。
懸念には及ばない。人材は山のようにあり、読売はいち早く、次期政権のキーパーソンを写真入りで伝えているのとは対照的である。
毎日新聞は「拡散する大衆迎合、強まるエリートvs庶民」と解説する一方で、一面の分析では「反既成政治 世界のうねり」と世界同時発生的な反グローバリズムの流れに一言言及している。ただしナショナリズムへの回帰を単に「グローバリズムへの反動」と短絡的に総括している。
それもこれも、グローバリズムの行き過ぎが破綻したという現実を正面から捉えていないのである。不思議である。
こうしたなかで産経新聞は異色だった。
『トランプ大統領でいいじゃないか』と編集局長の乾正人が大胆な発言に続けて、こう言う。
「いよいよ米軍が撤退するとなれば、その際は自前の空母も選択肢となり、内需拡大も期待できる。沖縄の基地問題だって解決に向かうかも知れない」
また同紙三面には古森義久氏が、『保守の怒り、国内外で変革の波』として、『草の根保守勢力が、民主党リベラル派のオバマ政権と後継のクリントン氏の政治姿勢に対する強烈な否定を広めたことを意味し』云々と、トランプ勝利の第一義的意議がオバマ政治の否定であることを鮮明に指摘している。
そうだ。トランプの勝利はオバマ政治への全否定なのである。
さて、事前の世論調査を完全に覆してトランプが勝ったかという点で、意外な側面を分析したのは読売新聞だった。
つまり固定電話にアンケート対象が限られていたのに、現実には携帯電話しか持っていない人が43%もあり、『1970年代には世論調査に応じる人の割合が八割近かった』のだが、いまや「8%にまで下落しており、調査として信頼できるサンプル数が確保できていない」のである。
全体の民意を世論調査がくみ上げることが出来なかったからだというのは或る意味で的を得ている。
つぎに識者のコメントを読むと、これまで皮相で的外れな解釈が山のように羅列されていたが、気がついたのは左翼、リベラル、体制保守のコメンティターばかりが紙面に登場している点で、やはり日本のマスコミには進歩がないと思った。
▽△◎み□◇▽や□◎○ざ◎□○き○□◇
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● 自慢するわけではないが、英国の離脱、15年後半からの世界的株価の暴落、
トランプ氏の当選。私は3連勝である。
● これは日本の国家機関が私個人の分析にも及ばない、悲惨な現状を意味します。
これは第二次大戦の外務省の大失態から全く進歩していないことを意味します。
つまり、私の言う、知恵者=官僚組織の大崩壊の一端ということです。
● 歴史が変わる潮目での、国家機関の無能は、非常に危険である。産経がいうように、
沖縄の基地問題の劇的解決の好機である。それを官僚に丸投げしている安倍総理が
気づくかどうかでしょう。かれの戦略眼が試される時です。
● 国と沖縄県の対立で喜ぶのは、中国であり、スパイたちなのです。対立の心の隙間に
彼らは入り込んでくるのです。戦わずして勝つ、最高の孫氏の兵法です。
● 分かるかな? 分からないだろうな? 教科書秀才には・・。未来は教科書には
書いてありません。応用問題の不得意な日本人の欠点を諸に表しています。
● 問題なのは、2046年にUSAが崩壊するのに、波動論では2048年まで官僚の天下が
続くと予想されることです。これを防ぐには、クーデターが必要です。
日本の革命時期は、2138年=1868+270前後ですから、
● 革命は出来ません。今回官僚から権力を奪うには、クーデターという荒療治が
必要でしょう。20~30年早く、否遅くても10年早く権力の移行が必要でしょう。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)11月11日(金曜日)弐
通算第5082号 <前日発行>
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痛ましいほどに的外れ、各紙のトランプ勝利分析
歴史的な流れという文脈で捉えた解説は皆無に近かった
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「悪夢」「衝撃」という語彙が頻出した。
「異端」「大衆迎合」「怪物」「絶望」『保護主義』『市場が懸念』というタームが次の多用されている。日本の五大紙を読み比べてみたが、痛ましいほどに的外れである。
「予想を覆したから衝撃だった」というのも、各社はヒラリーが勝つと見込んで予定原稿を用意していたからで、トランプ勝利の予定草稿がなかった。外務省高官は直前にも「接戦ですらない」と吐き捨てていたという。外務省が国連総会出席の安倍首相とクリントンとの会談しか設定していなかったのも、その現れである。つまり日本政府はトランプを無視していたことになる。
それにしてもBREXIT(英国のEU離脱)の時も直前まで外務省は「離脱はない」と首相に進言していた。これで二回連続の大失敗。外務省の情報収集能力に致命的欠陥があるのではないか。
ネタニヤフ(イスラエル首相)は、訪米時にちゃんと二人に会った。とくにネタニヤフとトランプは相性があう。理由はふたりとも「敵はジャーナリズム」という、本質を知っている。
そのうえで、この左翼ジャーナリズムとの戦いかたのコツも心得ている点で、不思議なほどに共通しているからだ。
グローバリズムの信奉者の代表格は「日本経済新聞」。日経はこう書いた。
「米国民は過激な異端児に核兵器のボタンを預け、経済と政治の変革を託した」(11月10日一面トップ、「トランプショック」コラム)。
異端というのはグローバリズムから見ればそうでも、ナショナリストから見れば、グローバリズムそのものが異端であることには触れていない。
グローバリズムを鼓吹し、その失敗が現れていることに同紙は無関心である。
TPP反対を唱えるトランプの勝利はグローバリズムの破綻がはじまったことを意味するのだから。
▼アウトサイダーだから?
読売は「大衆迎合では大国導けぬ」と書いた。トランプは大衆迎合と断じているあたりが皮相な分析ではないか。
「選挙で撰ばれる公職か軍幹部のいずれの経験もない『アウトサイダー』が大統領選に勝利するのは米国史上初めて」(読売新聞、同日、一面トップ)。読売は続けて「こんなに怒りや不満を抱え、『疎外』されていた人が多かったのか、と驚くばかり」と書いた。
チと気がつくのが遅かったのでは?
朝日は「未知数」「不透明感」を語彙に多用しつつ「女性蔑視の発言などから、『資質』を問われてきた。政治経験もないうえ、外交政策に精通した側近も現状では見あたらない」。そのうえ共和党内の不協和音が残り、『同党主流派との対立が深刻で政権運営がスムースにいくかは不透明』と批判のオクターブを挙げる(同日一面)。
懸念には及ばない。人材は山のようにあり、読売はいち早く、次期政権のキーパーソンを写真入りで伝えているのとは対照的である。
毎日新聞は「拡散する大衆迎合、強まるエリートvs庶民」と解説する一方で、一面の分析では「反既成政治 世界のうねり」と世界同時発生的な反グローバリズムの流れに一言言及している。ただしナショナリズムへの回帰を単に「グローバリズムへの反動」と短絡的に総括している。
それもこれも、グローバリズムの行き過ぎが破綻したという現実を正面から捉えていないのである。不思議である。
こうしたなかで産経新聞は異色だった。
『トランプ大統領でいいじゃないか』と編集局長の乾正人が大胆な発言に続けて、こう言う。
「いよいよ米軍が撤退するとなれば、その際は自前の空母も選択肢となり、内需拡大も期待できる。沖縄の基地問題だって解決に向かうかも知れない」
また同紙三面には古森義久氏が、『保守の怒り、国内外で変革の波』として、『草の根保守勢力が、民主党リベラル派のオバマ政権と後継のクリントン氏の政治姿勢に対する強烈な否定を広めたことを意味し』云々と、トランプ勝利の第一義的意議がオバマ政治の否定であることを鮮明に指摘している。
そうだ。トランプの勝利はオバマ政治への全否定なのである。
さて、事前の世論調査を完全に覆してトランプが勝ったかという点で、意外な側面を分析したのは読売新聞だった。
つまり固定電話にアンケート対象が限られていたのに、現実には携帯電話しか持っていない人が43%もあり、『1970年代には世論調査に応じる人の割合が八割近かった』のだが、いまや「8%にまで下落しており、調査として信頼できるサンプル数が確保できていない」のである。
全体の民意を世論調査がくみ上げることが出来なかったからだというのは或る意味で的を得ている。
つぎに識者のコメントを読むと、これまで皮相で的外れな解釈が山のように羅列されていたが、気がついたのは左翼、リベラル、体制保守のコメンティターばかりが紙面に登場している点で、やはり日本のマスコミには進歩がないと思った。
▽△◎み□◇▽や□◎○ざ◎□○き○□◇
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● 自慢するわけではないが、英国の離脱、15年後半からの世界的株価の暴落、
トランプ氏の当選。私は3連勝である。
● これは日本の国家機関が私個人の分析にも及ばない、悲惨な現状を意味します。
これは第二次大戦の外務省の大失態から全く進歩していないことを意味します。
つまり、私の言う、知恵者=官僚組織の大崩壊の一端ということです。
● 歴史が変わる潮目での、国家機関の無能は、非常に危険である。産経がいうように、
沖縄の基地問題の劇的解決の好機である。それを官僚に丸投げしている安倍総理が
気づくかどうかでしょう。かれの戦略眼が試される時です。
● 国と沖縄県の対立で喜ぶのは、中国であり、スパイたちなのです。対立の心の隙間に
彼らは入り込んでくるのです。戦わずして勝つ、最高の孫氏の兵法です。
● 分かるかな? 分からないだろうな? 教科書秀才には・・。未来は教科書には
書いてありません。応用問題の不得意な日本人の欠点を諸に表しています。
● 問題なのは、2046年にUSAが崩壊するのに、波動論では2048年まで官僚の天下が
続くと予想されることです。これを防ぐには、クーデターが必要です。
日本の革命時期は、2138年=1868+270前後ですから、
● 革命は出来ません。今回官僚から権力を奪うには、クーデターという荒療治が
必要でしょう。20~30年早く、否遅くても10年早く権力の移行が必要でしょう。
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