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ゴーン社長の独立戦争 日産に迫る「植民地化」 2015/6/8 6:30
❶ 日産自動車に「植民地化」の危機が忍び寄っている。一心同体といっていい仏ルノーに対し、筆頭株主のフランス政府が議決権を一気に倍増させ、経営支配を強めることが決まったのだ。日産の経営にも影響が及ぶことは火を見るより明らか。「日産・ルノー連合」を率いる日産社長、カルロス・ゴーンは手足を縛られてしまうのか。
■イタリアへの隠密行動
日産・ルノー連合は世界4位の自動車メーカーとなったが……(写真は2015年3月期決算を発表するゴーン氏、5月13日、横浜市)
「フェラーリ」や「ランボルギーニ」など個性的なクルマを生み出してきたイタリア。関係者によると、ゴーンは昨年夏、ある人物に面会するため、この南欧の自動車王国に向かった。
ルノーの最高経営責任者(CEO)を兼務するゴーンの日常は、月の3分の1を日本で、もう3分の1をフランスで過ごし、ビジネスジェットで世界中を飛び回る。イタリアを訪れるのは何も珍しいことではないが、このときばかりは隠密行動をとった。
それほど気を遣って極秘に接触したとされる相手は、イタリアを代表する名門一族のアニェリ家の関係者。アニェリ家はイタリア自動車大手フィアットの創業ファミリーでもあり、今なお経営に大きな影響力を持っている。
フィアットは米クライスラーを傘下に収め、今の正式名称は欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)。主力の「フィアット」と「クライスラー」に加え、高級車「マセラティ」、世界で人気の「ジープ」などの有力ブランドを抱える世界7位の自動車グループだ。
「FCAは独フォルクスワーゲン(VW)と提携交渉に入ったのではないか」「いや、仏プジョーシトロエングループ(PSA)が相手ではないか」……。ゴーンがイタリアに向かったころは、フィアットを巡る業界再編の臆測が世界の自動車業界内を駆け巡っていた。
■ 「メガ再編」を渇望する理由
FCAの世界販売台数は年間約460万台。自動車業界では1000万台を超えたトヨタ自動車とVWを900万台規模の米ゼネラル・モーターズ(GM)が追う。ルノー・日産連合は800万台規模の4位だ。仮にルノー・日産がFCAをのみ込めば、1300万台を超える規模となり、一気に世界首位に躍り出る。
ゴーンとアニェリ家側の面談の具体的な内容は明らかではないし、その後もなんら動きはない。しかし、ゴーンが再編機運を嗅ぎ取ってフィアット創業家にルノー・日産連合との提携を「トップセールス」したとみられている。
世界規模の「メガ再編」への意欲をゴーンが示すのは今回が初めてではない。結局、破談したとはいえ、10年近く前にはGMと資本提携に向けて協議に入ったこともある。ゴーンは今なお、「自動車業界でトップ3を目指す」「合従連衡は終わっていない」などと繰り返しているが、再編の目的は規模を拡大して日産・ルノー連合を盤石にするだけではない。
ルノー筆頭株主であるフランス政府からの独立――。
❷ ある元経営幹部は、「ゴーンが業界再編で日産・ルノー連合の巨大化を求めているのは、ルノーの筆頭株主であるフランス政府の影響力を低下させる目的が込められているのではないか」と分析する。
■「目の上のたんこぶ」
日産・ルノー連合は1999年の資本提携で誕生して以降、フランス政府を交えた関係は微妙なバランスの上で成り立ってきた。ルノーが日産に43.4%を出資し、そのルノーにはフランス政府が15.01%を出資してきた。一方、日産もルノーに15%出資しているが、議決権はない。つまり、日産・ルノー連合に対して最も発言力の強い株主はフランス政府ということになる。
仮に、日産・ルノー連合がGMやFCAなど世界の自動車大手と経営統合すれば、再編過程で各社の既存株主の株式は大幅に希薄化する。それは、フランス政府の出資比率が下がること、そしてゴーンにとっては経営の自由度が上がることを意味する。日本国内では、日産再建の実績から「絶対的なカリスマ経営者」と評価されているが、フランス国内での立場は異なるからだ。
欧州危機が起きた5年ほど前、ルノーの業績が急降下すると、ゴーンは日産再建で見せた大胆なリストラ策を打ちだした。そこに「待った」をかけたのがフランス政府。小型車生産をフランス国内から労務費が安いトルコへ移そうとしたときは、当時のフランス大統領、ニコラ・サルコジから呼び出され、面と向かって計画撤回を求められたこともある。
ゴーンにとって、フランス政府が「目の上のたんこぶ」のような存在であることは公然の秘密。そして、この筆頭株主はとうとう、経営統合などで政府関与を弱めるゴーンの「ウルトラCシナリオ」を結果的にけん制するかのような奇策にも打って出た。
■翻弄された株主総会
「賛成は60.53%。同案の可決には3分の2(66.66%)の賛成が必要だったため、第12議案は否決されました」
4月30日にパリ市内でルノーが開いた株主総会。議長役のゴーンは、ある会社提案の議案について、机上のモニターから顔を上げることもなく、否決という投票結果を淡々と読み上げた。
否決されたのは、フランス政府が保有株の議決権を2倍に高める制度に反対するため、ルノー経営陣が株主に提示した議案。フランス政府の提案に、ゴーンは敗れたのだ。
❸ フランス政府が保有するルノー株の議決権は2016年春に現在の2倍近い28%に増えることが決まり、ゴーンにとっての経営の自由度は一段と狭まった。
フランス政府が議決権の拡大を求める根拠が、2014年に成立した通称「フロランジュ法」。その目的は国内の産業や雇用の維持にほかならない。鉄鋼大手の欧州アルセロール・ミタルが2012年にフランス北東部フロランジュの製鉄所を閉鎖しようとしたのをきっかけに制定された。
ゴーンはフランス政府がフロランジュ法に基づき、議決権倍増の要求方針を示してからというもの、「新ルールが適用されれば、ルノーと日産が長年培ってきたバランスが崩れることになる」などと懸念を表明してきた。日本国内なら、ゴーンの神通力もきいたかもしれないが、フランスでは終始、政府側に翻弄された。
■日産は「打ち出の小づち」か
僅差の敗北を決定づけたのは、株主総会を3週間後に控えた4月上旬になってフランス政府が議決権倍増の提案を通すために、ルノー株を買い増したこと。米メディアによると、その事実をフランス政府がゴーンに伝えたのは発表のわずか数時間前だったという。
不意打ちを食らう形で、ゴーンが許したフランス政府によるルノー支配。それは、ルノーに3分の1以上の議決権を持たれている日産にとっても、対岸の火事ではすまされない。
ルノーと日産は昨年4月に生産・開発・人事・購買を一体化する新組織に移行したばかり。両社の工場では今後、ルノー・日産の両ブランドのクルマの「相乗り生産」が世界中で進む。
部品購買や新車開発なども事実上統一されているが、実態をみると、日産・ルノー連合の800万台のうち、500万台以上が日産車。ルノーの経営がフランス政府の意向に左右されるようなら、日産は「植民地扱い」を受けかねない。
実際、日産は2016年から主力コンパクト車の「マイクラ(日本車名マーチ)」をルノーのフランス国内の工場で年13万台以上生産することを決めている。もともとは製造コストが安いルノー・日産連合のインド工場で生産する計画だったが、「自国の雇用を維持したいフランス政府の圧力があった」(関係者)とされる。
❹ フランス政府にとって、今や日産は「打ち出の小づち」に見えているのかもしれない。
■「いまさら別れるなんて絶対無理」
しかし、日産社内で反乱が起きるような気配はない。当初こそフランス政府の影響力拡大を懸念する声が社内に漏れたが、2015年3月期決算を発表するためにゴーンが日本入りした5月中旬以降、こうした不安や不平の声はぱたりとやんだ。
ある日産幹部は、「この件に関する情報はもう絶対に出ない」と話す。ゴーンがフランス政府との駆け引きに不利になりかねない情報が日本から漏れることを嫌っているだけではない。1999年にルノーが日産に資本参加してから16年。当時の新入社員は40歳手前の幹部社員になり、もはや「ルノーと提携し、ゴーンが経営する日産」しか知らない社員が多くなっているからだ。
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ゴーン氏の人気は株主の間でも、今なお健在だ(2014年6月、横浜市で)
❺ 「いまさらルノーと別れるなんて絶対に無理。この件はゴーンさんに任せるしかない」(ある中堅幹部)、「生産・開発の統合などルノーとの提携深化も、既定路線以外の何ものでもない」(ある若手社員)……。日産社内には今、そんな声が目立つ。昨年は一部の外国人幹部が日産を去ったことが騒がれたが、日産の経営はやはり「ゴーン頼み」なのだ。
フランス政府の影響力拡大が決まった4月の株主総会。ゴーンにとっては、もう一つ大きな意味を持つ重要議案が株主に提示された。CEOの定年を延長する議案で、ゴーンは85%以上の支持率を取り付けて承認を得た。
■「モノ言えるのはゴーンだけ」
ゴーンも今や61歳。従来の規定では、ルノーCEOの任期は65歳までで、残りの任期は4年しかなかった。規定の見直しにより、最長で7年後の2022年、つまり68歳までルノーのCEOをつとめられるようになった。ゴーンは日産のCEOを14年間、ルノーのCEOを10年間つとめてきたが、さらなる長期政権への布石を打った。
そのゴーンは自身の引き際について「私がCEOでいられるかは株主が決めること」との原則論を貫いてきたが、「本人は引退するつもりはまったくない」(日産の外国人幹部OB)。そして、フランス政府の影響力が増すルノーと日産の関係からも「ゴーンの後にゴーンなし」と言われてもおかしくない。「日産・ルノー連合の利益を守るためにモノを言えるリーダーは、2社の経営陣でゴーンしかいない」(日産幹部)
❻ 国家か、それとも、ゴーンか。ゴーンは残りのCEO在任中、経営の自由を巡り、フランス政府という巨大な株主とせめぎ合う独立戦争最終局面に入る。
=敬称略
(田中暁人)
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● ここに流れる底流を見る必要があります。
❶ 国家の介入。左派のオランド政権、右派のサルコジ政権に限らず、国家の介入が本格化する。
❷ 国家であれ、ゴーン氏の長期政権であれ、一部のボス≒お山の大将が≒戦国武将が
権力を握り、それに唯々諾々と従うふぬけ幹部と庶民たち。
❸ グローバル化を利用しての、他国の企業の支配・植民地化が出来る事。
これは中共が狙っている事でもあると書いてきました。
● 既に武人時代に突入している中共=社会主義的市場経済≒擬態資本主義化している中共は
負けたふりの政策で、見事に知恵者プチトンの兵法で資本主義の果実を簡単に導入して、
その成果で資本主義を凌駕しつつあります。
● もし資本主義が、その富の構築競争で共産主義に負けるなら、マルクスの理想は達成できる
ことになります。勿論今の中共には不可能ですが、その制度を逆輸入して、崩壊する
英米仏型資本主義の後に、適用するなら、少しは可能性は残るでしょう。
● つまり、先進資本主義国の制度が崩壊した国々は、中共を真似て、国家の権力を使いながら
民間の企業をその傘下に収めつつ、打ち出の小槌としつつ、武人時代を乗り切る
大作戦です。その例を、国家資本主義≒社会主義的市場経済という形で、
共産党の独裁政権は、見本を示してきたのです。
● この方法が今後くる、先進資本主義崩壊後の英米仏等で、主流となるなら、再びかの国々は
世界の企業を支配化に置くことにより、新新植民地を世界に広げる事が出来ます。
● この流れは、資本主義が後100年以上も続く日本にっとっては、由々しき事態です。
日産の幹部がふぬけになっている事を見れば、あり得ない事ではありません。
● 至急天才や、高級幹部を育成する教育が望まれます。運動会で、一緒に手を握りながら
皆が一等賞”などの気味の悪い悪平等の教育は至急廃止する必要があります。
● いくら馬鹿の庶民を100人集めたとて、英才、天才、英雄一人の知恵や度胸には敵わないものです。
これは庶民が生きるためにも大切な事です。お父さん!お母さん! 貴方の子供が
貴方レベルの教育で安月給で平凡な人になる事を望みますか?
● そんなことはないでしょう。我が子だけでも天才や、秀才になって欲しい。または成功して欲しいと
願っているでしょう。それが貴方の一族が繁栄する道です。単純なことです。
サルでも同じことを願うでしょう。多分。