https://news.yahoo.co.jp/articles/61dbb1b67e68c09b1a3920f5bb54ce42c6af9112
韓国「賠償応じるなら穴埋めする」 元徴用工問題で <picture>
元徴用工らへの賠償を日本製鉄(旧新日鉄住金)に命じた韓国大法院の判決から2年を迎えた2020年10月30日、ソウルの日本大使館前で原告の支援団体が抗議集会を開いた。「日本は強制徴用を謝罪しろ」「判決に従い賠償しろ」と声を上げた=鈴木拓也撮影
元徴用工への賠償を日本企業に命じた韓国大法院(最高裁)判決をめぐり、韓国政府が「企業が賠償に応じれば、後に韓国政府が全額を穴埋めする」との案を非公式に日本政府に打診していたことがわかった。日本政府は1965年の日韓請求権協定で賠償問題は解決済みとの立場から、提案に乗らなかった。2年前の判決を機に悪化した日韓関係は、改善の見通しが立たない状況が続いている。
日韓両政府の関係者によると、韓国大統領府は今年に入り、日本との関係改善に向けて、盧英敏(ノヨンミン)大統領秘書室長を中心に徴用工問題の解決案を検討。大法院判決を尊重するとの文在寅(ムンジェイン)大統領の意向を踏まえ、今春に穴埋め案を打診したが、日本政府側は「企業の支出が補塡(ほてん)されても、判決の履行には変わりなく、応じられない」と回答した。
■議論停滞 迫る「現金化」 大法院は2018年10月30日に日本製鉄(旧新日鉄住金)に原告の元徴用工らへの賠償を命じた。同年11月には三菱重工業にも同様の命令を出したが、両社は支払いに応じていない。韓国の裁判所は、両社が韓国内に保有する株式や特許権などを差し押さえ、売却して賠償にあてる「現金化」の手続きを進めている。 日韓請求権協定で解決済みとの原則を崩さない日本政府は「大法院判決は国際法違反」とし、韓国側に日本が受け入れ可能な解決策を示すように求めてきた。日本政府は「現金化となれば深刻な状況を招く」(茂木敏充外相)と繰り返す。安易に韓国側の提案を受け入れれば、前例となって同様の訴訟を次々に起こされかねないとの懸念もある。