宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)8月25日(火曜日)
通巻第6629号
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「誰だ。オレ様を批判するのは?」。暗愚の帝王、取り締まり強化
習近平批判が中国国内で静かに浸透している
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「李鵬の頭は亀ていどのIQ」と批判してもジミー・ライは拘束されなかった。一転して、香港の民主化運動を組織し、先頭に立つと、逮捕された。1997年の香港返還日、李鵬首相は、式典で江沢民と並んでいた。特別機を二機飛ばして、李鵬は自分が皇帝であることを見せつけようとし、世界から失笑を買った。
その李鵬の娘が香港に現れ、リムジンでブランド店に乗り付け大量のブランド品の買い物をしていた。「中国一のセレブ」と言われた。習近平時代になって彼女は山奥の発電所に追いやられた。
2020年3月、習批判で「中国のトランプ」、「任大砲」と呼ばれた任志強が消えた。
当局に拘束されていた。「習近平は消え失せろ、わたしは闘う」と喋ったことが漏れたからで、発言封じである。任は紅二代で「華遠地産」の会長を務め、放言のし放題だったがバックに王岐山がいたからだ。奔放な発現も黙認されてきた。最近の王岐山の政治力後退にともなって、任志強はとうとう拘束され、党籍剥奪となった。
7月、清華大学教授の許章潤が、別荘で拘束された。「個人崇拝に急ブレーキが必要だ」(習近平が改憲し、党規約を代えて)として、終身皇帝制をしいたことを批判した。別荘にはパトカーが十台取り囲むという騒ぎだった。許章潤教授は日本でも有名らしく、日本の大学教授70名が、処分撤回を求めて記者会見を開いた。
8月13日、共産党中央党学校の教授を四十年も務め、民主政治を講じてきた蔡霞女史が拘束された。蔡教授は習近平を「マフィアのボス」と呼び、共産党を「ゾンビ」と批判していた。
「誰だ。オレ様を批判するのは?」と暗愚の帝王は吼え、取り締まり強化を命じたが、次から次へと習近平批判が中国国内で静かに浸透している
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人治国家の姿。
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