トランプ氏、抗議鎮圧で治安要員投入 地元は「憲法違反」と提訴―米
2020年07月22日07時08分
米西部オレゴン州ポートランドで、人種差別に抗議するデモ隊とにらみ合う警察官ら＝４日（ＡＡ時事）
【ワシントン時事】米西部オレゴン州ポートランドで続く人種差別抗議デモに伴う暴動鎮圧のため、トランプ政権が連邦政府管轄下の治安要員を投入し、地元当局などは「憲法違反」として提訴した。トランプ大統領は民主党が市長を務める他の都市にも同様の措置を講じる構えだ。
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ポートランドでは先週、迷彩服姿の治安要員がデモ参加者を拘束する大規模な取り締まりが行われた。麻薬密輸の取り締まりなどに当たる国土安全保障省管轄の国境警備要員のほか、連邦保安官傘下の特殊作戦要員が投入されたもようだ。
ポートランドのウィーラー市長（民主党）は１９日のＣＮＮテレビで、治安要員が拘束に際して所属を明確にしないなど、適正な手続きを欠いたケースがあり「トランプ政権のやり方は言語道断だ」と非難。米メディアによると、オレゴン州当局や人権団体は、違法な拘束があったとして、連邦機関を相手取り訴訟を起こした。
これに対し、ウルフ国土安保長官代行は、保守系ＦＯＸニュースの取材に「われわれの任務遂行に、州知事や市長の招待は必要ない」と反論した。シカゴ・トリビューン紙（電子版）によると、政府はシカゴにも１５０人規模の連邦要員を投入する計画だ。
トランプ氏は６月、銅像など記念碑を破壊した参加者の起訴を命じる大統領令に署名。秋の大統領選をにらみ、支持基盤の保守層にアピールするため、「法と秩序」を重視する姿勢を鮮明にしている。
２０日には、記者団に対し「シカゴやニューヨークにも（要員派遣を）検討している」と明言。さらに、フィラデルフィア、デトロイト、ボルティモアなどの都市名を挙げて「このままにはしておけない。すべてリベラルな民主党が牛耳っている」と述べ、治安強化に乗り出す構えを示した。