「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)5月22日(金曜日)
通巻第6509号
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米上院「外国企業説明責任法案」を全会一致で可決
ルビオ議員ら更に強力な法案を準備へ
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マルコ・ルビオ上院議員を筆頭にトム・ティルス、ベン・サッセ、ジョン・コーニョン、トム・コットン、ミット・ロムニー(以上共和党)に民主党のジェフ・メークレイ議員らがムニューチン財務長官に書簡を送り、「米国の中小企業でハイテク、宇宙航空、エネルギー分野の枢要部品を製造するなどしている企業が、コロナ災禍により経営がふらついている隙を衝いて、中国資本に狙われている」とし、緊急の対応策をとるよう求めた。
「とくにコロナ以後、株価が下落して資金調達に難儀をきたしている企業を、中国政府のファンドに支えられた中国資本が民間ファンドを装って、買収攻勢をかける傾向が見られる」とし、なんらかの強い対応策が必要と訴えている。このルビオ書簡は5月20日のことである。
同書簡のコピィはポンペオ国務長官とオブライエン大統領国家安全保障担当補佐官にも送付された。
同様な規制措置はEU、インド、豪にもみられ、とくに豪州は中国に対して強い法的措置を準備している。
5月20日には上院で「外国企業説明責任法」が可決され、ただちに下院へ送付されている。全会一致だった。
下院も対中国に関してはほぼ超党派の合意が成立しており、トランプ政権の中国政策に関してだけは足並みを揃えている。ただし同法は、中国を名指ししてはいない。
この外国企業説明責任法は、第一にウォール街に上場している怪しげな中国企業の在り方を問うものである。
会計報告、企業報告の不透明な情報公開を続ける企業に対しては強制的に上場廃止ができる内容となっている。
当局は会計検査を義務づけ、三年しても改善がみられない企業を対象としている。
ナスダックにはアリババ、百度、テンセントなど中国企業がひしめき合うように上場しており、会計監査法人の監査を情報の誤魔化しなどですり抜けてきた。
トランプ大統領は、「中国企業がウォール街を忌避し、ロンドンや香港や、フランクフルトなど他国の株式市場に上場先を振り替えても一向に構わない」と強気の姿勢を崩していない。
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