〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)5月6日(水曜日)
通巻第6488号 <前日発行>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
公的年金の投資先から中国企業株をはずせ、トランプ
EUからインド、豪まで法改正し中国資本の企業買収を禁止へ
****************************************
中国の対外投資は2016年がピークで1960億ドルだった。18年に1170億ドルへ減少し、19年には激減、2020年は中国資本の外国企業M&A(企業買収・合併)ニュースは聞かなくなった。
3月にエレン・ロード米国防次官(女性)は「中国資本が巧妙に米国の軍需産業の中小企業買収に動いているのは深刻な安全保障の問題だ」と発言した。
EUが呼応した。
マーグレセ・ベスティサーEU競争委員会コミッショナー(女性)は「中国関連株の投資を抑制しなければならない。また中国資本がEU域内のヘルス、バイオ、医薬品企業の買収に動いていることに警戒すべきである」とした。
EUは17もの投資関連規則を改正し、ハイテク、エネルギーに加えて生活の基本を構成する分野、ならびにコロナ災禍で露呈したマスク、医療品、製薬分野における中国の株式投資、あるいは買収を厳格に規制するとした。
オーストラリアのジョシ・フライデンバーグ財務大臣は「豪企業で経営難に陥ったところが(中国のカネに)狙われている。豪は法改正が必要となった」と警告した。
インドは4月17日に、中国を名指しし、買収の規制強化に踏み切った。
駐デリー中国大使は「これは自由で公平な貿易に違反するものだ」と反駁した。(まったく、強盗の開き直りに見える)。
他方、中国債権へのオフショア市場に於ける投資は活発であり、2020年3月末現在、3190億ドルが外国籍のファンドから投入されている。
さてトランプ大統領は公的年金(5580億ドル規模)の投資先から中国企業株を禁止すると発言した(5月4日)。500万人が加盟する米国の公務員年金の規模は5580億ドル、世界の優良企業、およそ3000社の株に投資している。
ポートフォリオ全体はMSCIインデックスに反映するが、中国銘柄は香港に上場されている196社、全体の4・9%である。
トランプはアリババ、テンセント、中国建設銀行などを組み込んだ年金ファンドに対して中国銘柄を規制すると示唆したわけだが、市場の反応といえば、「シェアも少ないし、投資している金額が少ないので甚大な影響はない」と歯牙にもかけない風情である。
☆○▽◇み◎○△□や○△□◇ざ◎○△□き△□☆☆