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Channel: 歴史と経済と医療の未来予測・歴史経済波動学
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コロナとは関係ない・バブルとその暴落は自然のサイクル。若者に好かれない国は亡びる。

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和弐年(2020)3月1日(日曜日)
          通巻6382号 <前日発行> 
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 世界の株式、大暴落の原因はコロナウィルスショックではない
  「自社株買い」と過剰な「株主還元」で債務超過に陥っていたのだ
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 2月24日から29日までの一週間で、米国ウォール街の株価は12%超も下落した。
2008年の「リーマンショック」以来、最大の下げ幅となって、ミラー現象のように東京市場に跳ね返り、日経平均は8%の下落を演じた。狼狽売りは、日本株売却を外人投資家が主導したからだった。
 この一週間で世界の株式市場から消えた時価総額は8兆ドル(リーマンショックのときは6兆ドルだった)。大不況の引き金が引かれたのではないかと懸念する声が世界に拡がって以後、「コロナショック」と呼ばれることになりそうだ。

 しかしウォール街の暴落は前から懸念材料だったのだ。
吹き上げすぎで、明らかに膨張過剰の風船、ちょっと針を刺せばパンクするほどの状態だった。理由は簡単で、米企業の自社株買いと過剰な株主配当である。この二つでインソルバンシー(債務超過)の危険水域を越えた有力企業が無数にあった。筆頭はフィリップ・モリス、つづいてボーイング、マック、KFC、スタバとなる。債務超過は7・2兆ドルに達し、株価の大調整は必然、時間の問題といわれた。

FAGAと呼ばれたのはフェイスブック、アップル、グーグル、アマゾン(最近はMAGAと呼び変え、筆頭にマイクロソフト。最近はMAGAを「MAKE AMERICA 
GREAT AGAINに引っかけるのが流行とか)。
これらの通信、ITの大手六社の時価総額がウォール街の時価総額の半分をしめたほどの異常な株式市場だった。
当然、調整期がある。コロナウィルス災禍は、その下落を正当化できる稀なチャンスだったのだ。

 株主優遇策は、トランプの経済政策の根幹にあるが、他方で貧困層が急激に増大している。オバマ政権当時からの「われわれは99%」運動に顕著であり「ウォール街を占拠せよ」と叫んでの座り込みが数ヶ月も続いた。

この延長線上にあるのが、民主党の大統領候補予備選で、極左のリズ・ウォーレンが飛び出し、社会主義者というより共産主義のバニー・サンダースがトップを走るという奇妙な政治現象を産んだ。
 というのも、「学生ローン」の負債が天文学的に膨張して1・5兆ドルに達している。ちなみにクレジットカード・ローンは9300億ドル、自動車ローン残高が1・33兆ドルだから、いまや米国の借金王は学生ローンである。

 大学授業料は名門、有名校が五万ドル。私学の平均学費が3・8万ドル。卒業後の金利が7%。いったいどうやって返済するのか?
 だから軍隊に入って四年勤めあげれば、大学授業料免除という特典に貧困層の学生は飛びつく。

 せっかく大学を出ても、大手の有力企業に就労できなければ、返済に相当苦労することになり、自己破産、離婚、自殺となるか、自暴自棄となって自ら人生を誤らせるか。これは現在の米国の深刻な問題である。
借金におわれてホームレスというケースが多数報告されている。


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