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弾劾裁判、トランプ氏に無罪評決 ウクライナ疑惑
トランプ政権 北米
2020/2/6 6:30 (2020/2/6 8:06更新)
米上院の弾劾裁判でトランプ氏の無罪が確定した(2月5日、ワシントン)=ロイター
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領の罷免を争った議会上院の弾劾裁判は5日、「権力乱用」と「議会妨害」のそれぞれの弾劾条項について無罪評決を下した。与党・共和党の大半が無罪を主張し、有罪支持は大統領罷免に必要な上院(定数100)の3分の2を大きく下回った。トランプ氏は5日、ツイッターで「我が国の勝利」と歓迎したが、罷免をめぐる米世論は二分されて社会の分断が鮮明になった。
権力乱用をめぐっては有罪支持が48票、無罪支持が52票だった。上院で53議席を握る共和党からミット・ロムニー議員が造反し有罪票を投じた。民主党は全議員47人(無所属含む)が有罪を支持した。議会妨害については共和党から造反は出ず、有罪支持が47票、無罪支持が53票だった。
トランプ氏は6日、ホワイトハウスで声明を読み上げて弾劾裁判を総括する。11月の大統領選をにらみ、ウクライナ疑惑の追及をしてきた民主党を非難する見通しだ。ホワイトハウスは5日の声明で「完全無実と潔白が証明された」と訴えた。「大統領は2020年以降も米国民のために職を続けることを楽しみにしている」と強調し、選挙活動を加速させる考えを示した。
下院は19年12月、ウクライナ外交を悪用して大統領再選を果たそうとした「権力乱用」に加え、議会の弾劾調査を妨げた「議会妨害」を理由にトランプ氏を弾劾訴追した。弾劾裁判は1月中旬に開廷し、陪審員役の上院議員がそれぞれの条項が大統領罷免に値するか精査してきた。
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裁判では新たな証人の招致が見送られた。ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が自著で、ウクライナ向けの軍事支援の見返りに米大統領選の民主党候補の一人であるバイデン前副大統領の不正疑惑に関する調査を求めたとするトランプ氏の言動を暴露すると報じられた。ウクライナ疑惑の全容解明に向けて有力な証人とみられたが、共和党は不正疑惑が深まる事態を回避するため招致を阻止した。
米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の各種世論調査の集計によると、トランプ氏の罷免に賛成するとの回答は5日時点で47.8%となり、反対(48.1%)と拮抗した。支持政党で罷免の賛否が大きく分かれていることを示す世論調査が目立つ。トランプ政権下で進んだ米社会の分断が弾劾裁判でも鮮明になっている。
民主党は裁判で証人招致が実現しなかったことを踏まえ、ウクライナ疑惑の追及を続ける可能性がある。民主党内には同党が多数派の下院でボルトン氏に証言を求める案が取り立たされている。