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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)2月4日(火曜日)弐
通巻6357号
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マイケル・ダグラスはなぜブルームバーグ支援に踏み切ったか
ハリウッドのユダヤ人は過激左翼サンダースより、リベラルの富豪を選択
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往時の名優カーク・ダグラスの息子、マイケル・ダグラスといえば映画「ウォール街」の主人公をチャーリー・シーンと演じた。
1980年代後半のバブル期、ジャンクボンドが持て囃され、強欲資本主義が謳歌された時代に、古き良きアメリカ企業への郷愁を裏面に描いた作品だった。当時「乗っ取り王」と言われたT・ブーン・ピケンズ、マイケル・ミルケン、アイバン・ボウスキーらが明らかにモデルだった。
2月3日、マイケル・ダグラスは『ピーポル』誌とのインタビューで、民主党予備選レースに触れ、「私欲がなく、偉大な指導者の資格があるのはマイケル・ブルームバークだ」と、院外応援団の立場を明らかにした。
経済ニュースに特化したブルームバークの創設者にして大富豪の彼はトランプの十倍以上の資産家であり、主張は『富裕層への増税』、政治的原点はリベラリズムであり、巨費を投じてテレビCMを流している。
ダグラスの支持理由は、「ブルームバーグ氏はまったくの自費で選挙戦を戦っており、ということはいかなる院外ロビィの利益も代弁しない、政治圧力による政策決定というワシントン政治の悪弊とは無縁であり、ゆえに偉大な大統領にふさわしいと思うからだ」とした。
ダグラスの評価とは別に、就任以来、トランプは公約を次々と実施してきた。
NAFTA見直し、パリ協定離脱、中国への高関税発動、TPP脱退、イラン核合意廃棄など、とくに「パリ協定離脱」は炭鉱街とガス鉱区周辺に労働者を呼び戻した。
米国景気を押し上げ、株価は史上空前の高値に押し上げられ、失業率は劇的に改善されていた。
民主党支持者が、トランプ支持に廻りはじめ、とくに黒人の民主党支持率が目に見えて減少し、民主党は慌て始めた。
民主党の極左傾向がむしろ強まったことは、予備選を前にしての大統領選挙事前レースでも、バニー・サンダーズや、リズ・ウォーレンといった社会主義者、リベラル極左への支持が膨らんで、中間穏健派のジョセフ・バイデンを凌いでいる。
民主党にとって極左候補では大統領選挙に勝てないことは自覚している。中間派のバイデンが失速すれば、次の穏健リベラルを担ぐ必要がある。ブルームバーグは、この民主党の混乱ぶりに便乗し、抜け駆けをはかれるチャンスとみたのだ。
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