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香港の次はマカオだ。どのようにマカオを潰すか!? 第三次内戦型世界大戦。

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和元年(2019)12月29日(日曜日)
          通巻6324号  
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 マカオが博打場から大変貌を遂げつつある現実に注目
  賭場、リゾートから金融センターへの脱皮を目指し始めた
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 2019年12月20日、マカオではポルトガル領から中国へ返還されて二十周年の式典が開催され、習近平がマカオを三日間訪問した。
「マカオ経済のカジノ依存体制を改め、将来は金融都市センターへの脱皮を図るべきであり、中国政府はその方向で支援する」と述べた。

 この習発言はいささかの驚きを以て迎えられた。
なぜなら中国共産党は香港を金融のハブとして重要視し、資金洗浄、海外送金、中国企業のIPO(株式新規公開)、ならびに社債の起債など、およそ60%の資金の流れを香港を活用してきたからだ。
マカオはあくまでも中国庶民の憩いの場所、リゾート、そして賭場であり、実際にマカオ経済はカジノと観光(リゾートを含む)の二大産業で、成り立ってきたのである。
香港を牽制するかのようにマカオも金融センターにする?

 習近平演説の基調にはマカオを「一帯一路」の起点として活用すること。そして「広東─マカオー香港」という環大湾経済圏の発展に置かれていることは言を待たない。そのために拒否と投じた海底トンネルを繋ぎ、交通、運輸アクセスを格段に発展させた。

 マカオ政府は長期的発展計画を欠落したまま、ひたすらカジノ・ビジネスと、併行した海外資本導入によるリゾート開発に力点を置いてきた。しかしながら2016年ごろから長期計画にも着手し、カジノ依存体質の軽減、他方では国際会議の召致、文化的イベントの強化、家族連れ、長期滞在型のリゾートへの変質などを取り入れて、経済の活性化をはかろうとしてきた。

 マカオは借金ゼロである。
歳出より歳入の多い黒字体質を持つ、中国では珍しい地区である。マカオ経済は過去二十年で9倍の規模拡大があり、ひとりあたりのGDPは香港を超えている。(マカオ=86355米ドル、香港=48717ドル。いずれも日本より遙かに多い)。

 金融センターへの大構想は銀行セクターを鼓舞する。
 マカオに進出した大手は中国銀行、12のローカル銀行にくわえ、大陸系大手銀行など18の支点が店開きをしている。実際の規制緩和第一号はマカオから中国本土への送金額を五万元から八万元へ引き上げた措置にも象徴される。
 
 習近平の「マカオの金融センターへの脱皮」は、しかしながらたいそう困難だろう。
香港はまがりなりにも英国の植民地化にあって貿易のハブ、金融の国際化には130年の歴史があり、金融ノウハウの蓄積がある。マカオの蓄積は博打場だけ、その中心はリスボアホテルのスタンレー・ホー・一族である。

 大法螺の号令が鳴り響いて、マカオ政府は多角化に乗り出すとはいうものの、前途多難。だが、ハイテクの新都市=雄安市建設が、習の大号令一下、大々的な建設プロジェクトが推進されているように、瓢箪から駒という可能性は一万分の一ほどの確立があるかも知れない。
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