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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)11月12日(火曜日)
通巻第6271号 <前日発行>
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汚職が伝統的な国が、もっと酷い汚職の国に援助したら、どうなった?
デフォルト以後のジンバブエ、また中国におねだり外交を展開
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ジンバブエは人口1500万人。金銀ダイヤモンド、ニッケル鉱の採掘権を中国に与える。その替わりにインフラ建設、空港拡張工事援助をもぎ取った。中国が2000年から2017年までにハラレ政府に援助した額は22億ドルにものぼる。
もちろん返済不能。返せないと開き直れば、中国は担保権を行使するが、「じゃぁ、これでも」と持ってきたのが象牙の牙、35頭分だった。堂々とワシントン条約違反、そもそも法律はあっても誰も知らないし、部族の掟にしたがうのみ。
なぜ、このようにどろどろとした相互関係に中国は嵌り込んだか。答えは簡単。冷戦時代に毛沢東革命路線を獅子吼していた中国はジンバブエの武装ゲリラに武器供与ばかりか、軍事訓練をしていた。そのゲリラの頭目がムガベ前大統領、ゲリラの行動隊長?が現大統領のムナンガグアだ。しかもムガベ退陣の政変直前に、ムナンガグアは北京へ飛んで「クーデターやるけん、よろしく」と中国政府の黙認を取り付けているのである。
それはともかく、中国が投じた22億ドルで、いくつかのインフラ整備プロジェクトは進んでいたが、どれもこれも完成していない。途中でお金が消える。末端に労賃が行かなければ、労働者は集まらないだろう。だから工事は中断する。これはパキスタンも同じである。
外貨が払底し、ジンバブエはハイパーインフレとなって暴動があちこちに。通貨は紙くずとなり、法定通貨はドル、人民元、ポンド、そして日本円となった。
中国は金銀ニッケル鉱山を抑えたが、現場は治安が悪く、工事が出来ない状態が続き、ついに中国はジンバブエ援助を中断した。
11月9日、ようやく駐ハラレ中国大使はジンバブエに帰還したが、「つなぎ融資」はたったの1000万ドル。砂漠に水をまくようなもの。ちなみにこの額は2017年に日本が援助した1400万ドルより少ない。ムガベ時代、日本の無償援助を希うため、ムガベは三回も日本にやってきた。
つまり、「汚職が伝統的なくに」が、「もっと酷い汚職の国」に巨額の援助をなすとどうなる? ムガベ前大統領の夫人は「グレース」となのり、ブランド品で身を飾り、次期大統領の座を狙っていた。
このジンバブエに位置するヴィクトリア瀧の見学をめざして、日本からもワンサカ観光ツアーが行っている。
平和な国から治安最悪の国へ?
□△○み△□△○や△△○ざ◎△□○き□△□
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狐とタヌキの化かしあい。
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