「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)10月8日(火曜日)
通算第6225号
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バイデンの息子は中国への軍事技術移転に手を貸した
民主党、トランプの攻撃を前に先制攻撃で醜聞を横へのけた
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「ウクライナゲート」を仕組んだのは左派であり、バイデン元副大統領を擁護し、民主党の正式候補とするための戦略的必要性から、民主党が、ショック路線として大統領弾劾を言い出した。
ペロシ下院議長は、大統領弾劾に極めて消極的だったのに、突如、変節した。
理由は意外に簡単だ。
バイデンのスキャンダルをもみ消し、なんとしても民主党の団結のためにバイデンを大統領候補にしなければならない。サンダースはすでにレースから沈没したが、いまの情勢だと、リズ・ウォーレンなどという極左が予備選をリードしてしまう。ウォーレンが出てきたら、民主党大敗は誰がみても明らかだから、党内の事情によるのである。
ウォーレンはウォール街も毛嫌いしているリベラル。もし彼女が民主党の公認候補となれば、ウォール街は、嫌いだが仕方がない。トランプに献金するだろう。民主党にとって一番イヤなシナリオだ。
嘗て書いたことだが、バイデンと中国ロビィとの結び付きは、じつに怪しい。
オバマ政権はズブズブの親中派幹部が多かった。副大統領も歴代国務長官も、中国利権には目がなく、その息子達が怪しげなファンド設立に協力し、こともあろうに中国空軍の「殲21ジェット戦闘機」のハイテク向上に間接的に関与していた。
トランプはバイデン元副大統領を「居眠りジョー」と揶揄したが、どっこい。中国利権では目がギンギラギンだった。
連邦議会上院のチェック・グラスリー財政委員会委員長(アイオワ州、共和党)は、UFIUS(外国投資審査委員会)に対して、過去にバイデン副大統領ならびにケリー元国務長官の息子らが絡んだ、米国ハイテク企業買収の案件について再調査をするかどうか、打診していた。
トランプ大統領は、この件で中国に調査に協力するよう要請したとされるが、これも『何を今さら』と民主党は、むしろ権利の濫用だから大統領弾劾にあたると論理をこじつける。むろん、中国が、この種の問い合わせに応じるはずがない。
話は2009年に溯る。
オバマ政権時代、バイデンは当時、現職の副大統領、ケリーは上院議員だったが、オバマ第二期にヒラリーの後釜として国務長官になる。
バイデンの息子ハンターとケリーの義理の息子クリストファー・ハインツは「ローズモント・セネカ」なる面妖なファンドを設立し、2013年には中国の国有企業「渤海キャピタル」と合弁の「BHRパートナーズ」を設立した。資本金は400万ドル。このうち42万ドルをハンター・バイデンが出資した。
▲議会のチャイナ・ロビィを撲滅するトランプの戦いなのだ
2015年、中国国有企業のAVIC(航空産業集団)が米国ミシガン州にあったヘミングス買収の推進役となり、結果、AVIC側が51%、BHRパートナーズが49%の株主となった。
BHRのホームページは十月の第一週までハンターが役員であることを写真と経歴を掲げて表示していた。ところが、第二週になって当該HPからハンターの名を消し、さらにはHPそれ自体に繋がらなくなった(『サウスチャイナ・モーニングポスト』、2019年10月7日)。
ヘニングス社は自動車の耐震装置技術にすぐれる企業であり、この汎用技術は「殲21」と「殲31」という中国人民解放軍の空軍ジェット戦争機の耐震テクノロージーに応用されたことがわかっている。どうみても、この商行為は純粋ではなく、角度を変えて謂えば売国奴的行為ではないのか。
これはまずいと判断した米国の左派は先制攻撃のためにトランプ弾劾を唐突に言い出した。これが米国政界をいま大きく揺らしているウクライナゲートとかいう、民主党とリベラルメディアが共謀する、でっち上げ事件である。
換言すれば、米国連邦議会にまだ巣くうチャイナ・ロビィを撲滅するトランプの戦いなのであり、左翼のキャンペーンでしかない「ウクライナゲート」に対しては共和党は真っ正面から対決する姿勢にある。
大統領弾劾は上院の三分の二が賛成しなければ成立しない。上院は共和党が多数派である。最初から無理筋、民主党の選挙キャンペーンの戦術であることは明瞭だろう。
□△○み△□△○や△△○ざ◎△□○き□△□
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戦いは終わってみなければ分からない。USAに於ける紅白合戦。
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