「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月17日(水曜日)
通巻第6143号
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ミャンマーにおける中国のシルクロード、まるで進捗せず
民衆は「中国、でていけ」の抗議行動を本格化させている
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既報のようにラカイン州のチャウピュー港を近代化し、一帯を工業特区として、工業団地、大学、病院、保税倉庫などの一大工業地帯とするプロジェクトを中国は提案し、ロヒンギャ問題で世界に孤立を深めていたスーチー政権は、中国の提案に乗った。
中国の野心はスーチーを「借金の罠」に嵌めて、チャウピューを99年の租借として軍港化することにある。
習近平はニコニコと作り笑いを浮かべながらスーチーと握手し、まずは地域の環境、地理の精査に乗り出し、あちこちに大看板を立てて事務所も造った。げんにこのチャウピューからミャンマー国土を横断し、中国新彊ウィグル自治区カシュガルへのパイプラインは繋がっており、ガス輸送が行われている。
かつてティンセイン政権時代、ミャンマーはミッンダム建築を認めたが、発電される電力の90%が中国へ送電されることを知って途中でキャンセルした。このことで、両国関係は急速冷凍のように冷え切った。
突然の和解の契機となったのはロビンギャ問題だった。
70万余のムスリムがミャンマーを追われて、隣のバングラデシュに逃げた。国際的に孤立したスーチーに、シルクロードの一環としてのプロジェクトを持ちかけた。ミャンマー政府は飛びついた。
だが、スーチーのアドバイザーで豪の経済学者でもあるシーム・ターネルが「スリランカがどうなったかを見て下さい。借金の罠に嵌って、ハンバントタ港は99年の租借とされてではありませんか」と助言した。
当初提案されたプロジェクトは75億ドルだった。直近でミャンマー政府は、13億ドルに予算を削減した。
プロジェクトの中止にはまだ至っていないが、中国にとって展望は暗く、ミャンマーにとっては明るい展望が拓けた。
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● 中国に借金するだけで、もうダメです。将来像は見えます。破滅です。
例えばギリシアは一時期国債の金利が30%前後まで上がりました。
● 体力のない国の国債金利が、15%を超すのは、簡単に起こる現象です。
もしいま3%の金利で借りていたとしましょう。一時的であれ、もし
金利が30%になれば、金利の支払いは簡単に10倍を超えます。
● つまり、15億ドル借りていても、金利支払いは10倍となって、15億ドル
借りていても、150憶ドルを借りている負担と同じになります。
そのうえ、その国の為替は激安になります。
● ギリシアは同じユーロですから、為替の激安からは逃れましたが、それでも
実質的に破産をして、中共の企業に港湾を売り払う結果となりました。
● 例えば、1/5に為替が激安になれば、更に金利の支払いは5倍となって
150x5=750憶ドルの借金の金利の支払いと同じになります。今は
15億ドルでも、金利高騰と為替の低下で、ダブルパンチとなって、
● いとも簡単に破綻国家となります。これが借金の罠です。これは金融資本が
雪だるま式にもうけを増やす仕組みでもあるのです。G7の連中が
そのような仕組みを警告するわけがありません。
● この仕組みは、彼らの商売道具ですから基本的には他国には教えません。
知らないのが馬鹿なのです。経済の仕組みを知らない馬鹿が国の
トップになってはいけない理由です。
● 一言でいえば、強い通貨で借金はするものではありません。円は基本的には
強いですが、来年からは10年間安くなりますから、ドルに比して
支払いが楽になる通貨です。その上に金利は馬鹿みたいに安く、
● 支払いが滞っても、優しい日本政府は代わりの港湾を奪ったりは
しませんし、更に債務の削減に優しく答えてくれます。
この1年で円高が進行しますから、その間に
● ドルの借金を円建てに変えておきましょう。そうすれば将来はドルより
は楽な支払いとなり、更に困れば日本政府が債務削減に応じてくれます。
これが、将来に日本が世界のリーダとなる理由の一つでもあるのです。
● 経済の歴史と、世界の国の歴史と、相手の国の本質を知らない馬鹿は
国の独裁者になるべきではありません。国民を不幸にします。
● ニコニコと近づく人に限ってろくな人はいません。心理学も学ぶ
べきですでしょう。巧言令色鮮し仁。