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今も昔も・平然と嘘をつける人が“偉大な”政治家 花より団子

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)5月16日(木曜日)弐
         通巻第6080号 
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習近平が「アジア文明対話」で基調講演。この「茶番劇」の評価は?
 「他文明を理解しあい、文明の共生が大切。BRIはそのためにも協力する」だとか
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 5月15日から北京では「アジア文明対話」(亜州文明対話大会)なる、不思議な國際フォーラムが唐突に開催された。
冒頭に習近平が基調演説をおこなったのだが、抱腹絶倒の内容だった。

 習近平はまず「一つの文明の価値観を他者に押しつけるのは、破滅的かつ愚かである」と言った。これってアメリカのことを批判するつもりらしいが、一方的価値観を押しつけてチベットなど他の文明を破壊しているのが自分のことだと気がついていないのだ。

 「平等でお互いが差違を理解し合い、文明どうしが共存するために相互理解を深めることが必要である」とも言った。そして「人類は運命共同体」だとも。(いったいウィグル弾圧、民族浄化、イスラム禁止、信徒の強制収容所での洗脳はどうなるのか?)

 また「女性地位の向上、貧困の是正のため中国はソフトパワーを発揮する。BRIはそのためにもアジア各国に寄与するのだ」と演説した。中国軍の南シナ海での軍事的挑発はアジアに軍事的脅威を運び、従来の秩序を破壊した中国の責任はどうするのか、と問いただしたくなる。

 要するに米中貿易戦争を「文明の衝突」だとハンチントンを身勝手に解釈しているのだが、その底の浅い文明論理解より、周囲の学者らがこの程度の演説草稿しか書けず、文明論のレベルの低さには深刻に憂鬱となる。

 このアジア文明対話には、なぜかギリシアのチプラス首相が招かれ、またインドの有名な俳優が出席したが、ほかに著名な文明学者もおらず、何のためのフォーラムなのか、組織化も拙速かつ貧弱で、出席者から不満が噴出した。

 米中貿易戦争で関税を25%もかけられた中国が直面しているのは未曾有の「産業空洞化」だ。
時間の問題とされる「人民元大暴落」を目の前にして、党内からは習近平の外交に賛意も上がらず、いや、党内の雰囲気はひたすら沈黙という、不気味で激烈な批判に遭遇している。おそらく党内の誰もが、習近平は早くやめろと望んでいるのである。

メンツを失った習近平が国内の批判を回避し、国際的な画像を演出するために、予定にない基調報告になったのだ、と北京の雀たちは、首を傾げつつ論じているそうな。ただしメディアは「貴重な演説だった」「中国の国際的地位を確認できた」などと空虚な報道をしているが。。。

そう言えば、四月のBRI国際フォーラムも、習近平の晴れ舞台になるはずだった。
実相はと言えば、カネが欲しい元首クラス28ケ国、それこそプーチン、シシ、ナゼルバエフ、ルカシェンコ、ドウテルテらが出席したが、ついに具体的な援助予算の額を示せず、参加者は深く失望した。同時に「嗚呼、中国のドル払底はどうやら本物のようだ」と悟った気配が色濃く残ったようである。

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