「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019年)2月18日(月曜日)
通巻第5994号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
中国のドル払底、外銀からドルをかき集めて、短期債権で繰り延べ
凄まじい自転車操業が連日繰り返されている
****************************************
本論に入る前に下記の数字をご覧あれ。
まずは金利(公定歩合。2月16日現在)
中国 4・35%
預金金利 0・35%
銀行間 0%
住宅ローン 5・30%
(ちなみに米国は2・5%,日本はマイナス0・1%)
これらの数字は公式発表で実態の金利はまったく異なる。高金利でしか貸し出しは行われていない模様だ。
次に十年もの国債の金利だが、
中国 3・09%である。
これを国際比較で観ると、
米国 2・66%
日本 ▼0・02%
アルゼンチン 43・94%
トルコ 24・00%
メキシコ 8・25
ロシア 7・75
ここまで見ると中国の金利体系はやや高金利だが、メキシコやロシアに比べると、まだ「健全」の範疇に入るだろう。
ところが中国は外貨払底のため、外銀からドルの調達を展開してきた。
嘗ての「ジャパン・プレミアム」のように、2%上乗せ金利があった。銀行の経営を圧迫したばかりか、日本企業は在米資産をたたき売ってドルを調達したのだった。
ロックフェラーセンター、ロスの目抜き通りの多く延びるにハリウッド映画。これらを売却し、ドルを確保するという嘗ての状況が、中国の金融界でも常識化してきた実態が浮かんできた。
米国が国際政治の裏面で工作したことは、邦銀のドル融資を立ちゆかなくさせ、日本の銀行つぶしに目的があった。それまでは世界主要銀行ランキング十傑のうち、六行が日本の銀行だった。
昔の名前で残っているのは三菱だけ、三井は住友と合併し、富士と第一勧業そのほかが大合併して「みずほ銀行」となり、山一証券、北海道拓殖銀行は倒産に至った。
この間、同時に多くの企業が倒産を余儀なくされ、レイオフされ自殺したエリートが頻出した。このパターンがいま、中国で踏襲されようとしていることになる。
▼ついに「チャイナ・プレミアム」。金利差2・2%の異常事態
中国は株式上場が規約の厳格化でままならないばかりか、投資家が企業株にそっぽを向いた。「株が駄目なら社債があるさ」とばかりに不動産関連企業は、窮余の対策としてドル建ての社債発行をおこなう。だから直近三ヶ月の平均が7・8%、前年比2・2%もの「チャイナ・プレミアム」が上乗せされている。ロシアの十年もの国債が7・75%、近似してきた。
王岐山副主席の関与が深いとされる「海航集団」が昨秋発行した社債金利は12%だった。ところが、不動産大手の「当代置業」が、この一月に発行した社債金利は15・5%にもなっていた。
このことは中国の不動産暴落が確実に始まっていることを物語る。
「エクサレント・カンパニー」の一つとされる「恒大集団」さえ、8%から9%の金利という。中国企業全体で、過去二年間におよそ1000億ドルの社債が起債されたようだ。BISは中国のドル建て負債を5000億ドル超としている。
そのなかには債務不履行が多く含まれているが、その正確な実態をIMFも、BISは掴んでいないようである。
ドル建て社債の目的は短期の借り換えにあり、社債の償還期限が二年半に設定されている。企業の財務が、火の車の実態を裏書きしている。つまり前向きの投資のためではない。すべてが後ろ向きの資金繰りなのである。
ドル建ては近未来に襲われる人民元安リスクが上乗せされ、もし10%下落すれば、それに比例した高い利息の支払いが迫られることになる。
2020年末まで1200億ドル以上のドル建て債券が償還を迎えるから、金利は15%から20%になるだろう。
□◎□○み△◎□◇や○◎○□ざ□◎□○き○◎○□
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● 今回の暴落の開始は、2018年の3月にすでに開始している
ことは、去年から書いています。いったん戻したが再び
去年の12月から再度の暴落が明らかになっています。
● 去年の3月とは、トランプ政権が、対中貿易戦争を公式に
表明した時です。したがって今回のショックは
チャイナショックが正解でしょう。
平成31年(2019年)2月18日(月曜日)
通巻第5994号
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中国のドル払底、外銀からドルをかき集めて、短期債権で繰り延べ
凄まじい自転車操業が連日繰り返されている
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本論に入る前に下記の数字をご覧あれ。
まずは金利(公定歩合。2月16日現在)
中国 4・35%
預金金利 0・35%
銀行間 0%
住宅ローン 5・30%
(ちなみに米国は2・5%,日本はマイナス0・1%)
これらの数字は公式発表で実態の金利はまったく異なる。高金利でしか貸し出しは行われていない模様だ。
次に十年もの国債の金利だが、
中国 3・09%である。
これを国際比較で観ると、
米国 2・66%
日本 ▼0・02%
アルゼンチン 43・94%
トルコ 24・00%
メキシコ 8・25
ロシア 7・75
ここまで見ると中国の金利体系はやや高金利だが、メキシコやロシアに比べると、まだ「健全」の範疇に入るだろう。
ところが中国は外貨払底のため、外銀からドルの調達を展開してきた。
嘗ての「ジャパン・プレミアム」のように、2%上乗せ金利があった。銀行の経営を圧迫したばかりか、日本企業は在米資産をたたき売ってドルを調達したのだった。
ロックフェラーセンター、ロスの目抜き通りの多く延びるにハリウッド映画。これらを売却し、ドルを確保するという嘗ての状況が、中国の金融界でも常識化してきた実態が浮かんできた。
米国が国際政治の裏面で工作したことは、邦銀のドル融資を立ちゆかなくさせ、日本の銀行つぶしに目的があった。それまでは世界主要銀行ランキング十傑のうち、六行が日本の銀行だった。
昔の名前で残っているのは三菱だけ、三井は住友と合併し、富士と第一勧業そのほかが大合併して「みずほ銀行」となり、山一証券、北海道拓殖銀行は倒産に至った。
この間、同時に多くの企業が倒産を余儀なくされ、レイオフされ自殺したエリートが頻出した。このパターンがいま、中国で踏襲されようとしていることになる。
▼ついに「チャイナ・プレミアム」。金利差2・2%の異常事態
中国は株式上場が規約の厳格化でままならないばかりか、投資家が企業株にそっぽを向いた。「株が駄目なら社債があるさ」とばかりに不動産関連企業は、窮余の対策としてドル建ての社債発行をおこなう。だから直近三ヶ月の平均が7・8%、前年比2・2%もの「チャイナ・プレミアム」が上乗せされている。ロシアの十年もの国債が7・75%、近似してきた。
王岐山副主席の関与が深いとされる「海航集団」が昨秋発行した社債金利は12%だった。ところが、不動産大手の「当代置業」が、この一月に発行した社債金利は15・5%にもなっていた。
このことは中国の不動産暴落が確実に始まっていることを物語る。
「エクサレント・カンパニー」の一つとされる「恒大集団」さえ、8%から9%の金利という。中国企業全体で、過去二年間におよそ1000億ドルの社債が起債されたようだ。BISは中国のドル建て負債を5000億ドル超としている。
そのなかには債務不履行が多く含まれているが、その正確な実態をIMFも、BISは掴んでいないようである。
ドル建て社債の目的は短期の借り換えにあり、社債の償還期限が二年半に設定されている。企業の財務が、火の車の実態を裏書きしている。つまり前向きの投資のためではない。すべてが後ろ向きの資金繰りなのである。
ドル建ては近未来に襲われる人民元安リスクが上乗せされ、もし10%下落すれば、それに比例した高い利息の支払いが迫られることになる。
2020年末まで1200億ドル以上のドル建て債券が償還を迎えるから、金利は15%から20%になるだろう。
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● 今回の暴落の開始は、2018年の3月にすでに開始している
ことは、去年から書いています。いったん戻したが再び
去年の12月から再度の暴落が明らかになっています。
● 去年の3月とは、トランプ政権が、対中貿易戦争を公式に
表明した時です。したがって今回のショックは
チャイナショックが正解でしょう。