★ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171009/k10011172861000.html
ノーベル経済学賞に米の大学教授 リチャード・セイラー氏
10月9日 18時55分
ことしのノーベル経済学賞の受賞者に、消費など人々の身近な経済活動を、心理学と経済学の両面から分析したアメリカのシカゴ大学の教授、リチャード・セイラー氏が選ばれました。
スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の午後7時前、記者会見を開き、ことしのノーベル経済学賞にアメリカのシカゴ大学の教授、リチャード・セイラー氏を選んだと発表しました。
セイラー氏は、消費など人々の身近な経済活動を心理学の要素を交えて分析する「行動経済学」の権威として知られています。具体的には、商品の価格を下げたり、人々の所得を引き上げたりするのではなく、適切な情報を提供することで、人々に行動を促し社会を望ましい状態に導く「ナッジ」という考え方を提唱しました。この考え方は節電の促進や肥満の防止など欧米の公共政策に大きな影響を与えたとされています。
また「オークション」で商品を高値で落札した人を例に挙げ、落札した人はその喜びからみずからを『勝者』と感じるものの、経済学的には、合理的でない価格で購入したことになるとして、そうした消費行動を『勝者の呪い』と呼んで、人々の経済活動の非合理性を指摘しました。
セイラー氏の行動経済学に関する著書は、アメリカでベストセラーになっていて、多くの市民に読まれているほか、日本でも販売されています。
ノーベル経済学賞の選考委員会は授賞理由について「個人は完全に合理的には行動できないこと、社会的な背景を踏まえ選択すること、そして自分自身をコントロールできないことなど、人間の持つ特徴が個人の経済的な決定や市場にどのように影響を与えているかを示した」としています。
選考委員会「セイラー氏 経済学と心理学の橋渡し」
ノーベル経済学賞の選考委員会は授賞理由について「セイラー氏は経済的な決定をする際の分析に心理学的な要素を取り入れた。個人は完全に合理的には行動できないこと、社会的な背景を踏まえ選択すること、そして自分自身をコントロールできないことなど人間の持つ特徴が個人の経済的な決定や市場にどのように影響を与えているのか示した」としています。
そのうえで「彼の貢献は個々の人の経済的な意思決定の分析において経済学と心理学の橋渡しをしたことだ。セイラー氏が導き出した理論は、行動経済学の新たな分野を急速に拡大させ、多くの経済研究や政策に影響を与えた」としています。
セイラー氏「経済の主体は人間」
ノーベル経済学賞の受賞者を発表した記者会見で、セイラー氏は電話インタビューに応じ「私の研究で最も重要なのは、経済の主体は人間であり、経済モデルはそれに立脚しなければならないという認識だ」と述べました。
また日本円でおよそ1億2500万円にのぼる賞金の使い方を聞かれたセイラー氏は「できるだけ非合理的に使おうと思います」とユーモアを込めて答えていました。
土居慶大教授「行動経済学をメジャーに押し上げた」
日本の経済学者は、セイラー氏の研究について人々の消費など生活に深く関わるテーマを分析している点を評価しています。
慶応大学経済学部の土居丈朗教授は、セイラー氏について、消費など人々の身近な経済活動を心理学の要素を交えて分析する「行動経済学」の権威だとしたうえで、「セイラー氏はそれまでマイナーだった行動経済学という分野をメジャーに押し上げた」としています。
具体例として「オークション」で商品を高値で落札した人を挙げ、「落札した人は、その喜びからみずからを『勝者』と感じるが、経済学的には、合理的でない価格で購入したことになる。セイラー氏はそうした消費行動を『勝者の呪い』と呼んでいる」として、必ずしも合理的ではない人々の経済活動を深く分析したと評価しています。
セイラー氏の著書はアメリカでベストセラーになっていて多くの市民に読まれているほか、日本でも著書が販売されています。
依田京大教授「経済学に心理学的な分析根づかせた」
京都大学経済学部の依田高典教授は「セイラー氏は、1980年代に経済学の中に心理学的な分析を根づかせ、その必要性を認めさせた権威だ」と話しています。
セイラー氏の功績については、商品の価格を下げたり、人々の所得を引き上げたりするのではなく、人々に適切な情報を提供することで社会を望ましい状態に導くことができる「ナッジ」という考え方を提唱したことを挙げています。
依田教授は「『ナッジ』の考え方は、節電の促進や肥満の防止など欧米の公共政策に大きな影響を与えた。この功績がノーベル賞受賞につながったのではないか」と話しています。
安田洋祐准教授「『心の会計』存在明らかに」
大阪大学大学院の安田洋祐准教授はセイラー氏の研究について「人間にはお金の使い方を自分の心の中であらかじめ決めて、使い方の枠を設ける『心の会計』が存在すると明らかにした。
具体的には1か月当たりの遊興費を1万円としている人は、1万円で購入したコンサートのチケットを道に落とした場合、月々の遊興費を上回るため新たにチケットを買わないなど経済学に心理的な要素を取り入れた。
一般の人々の感覚に近い人間像を主役にした経済の理論や見方が広がっていくとともに、セイラー氏の行動経済学の知見が今後、経済学全体に取り入れられる可能性がある」と話しています。
「将来日本人の受賞可能性は十分ある」
准教授は「今回のセイラーさんも70歳を超えているように、経済学賞はほかの自然科学の賞と比べて高齢になってから受賞する傾向があり、研究が出てから受賞までの期間が長いのが特徴だ」と指摘しています。
そのうえで「日本人の有力候補として名前があがるプリンストン大学の清滝信宏さんも主たる業績が出たのは1997年で20年しかたってない。20年というのは、経済学の中ではまだ短く、もう少し待つ必要がある」と述べ、将来、日本人がノーベル経済学賞を受賞する可能性は十分あると話していました。
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● ド素人の私があえて、上記の行動経済学を批評又は非難しても、所詮詮無き事
ではあるが、あえて書きましょう。
● 物理学でもそうであるが、ミクロとマクロの法則は、原則として別のものを使います。
例えば、地球の太陽の周りを、地球の個々の構成要素である、原子の動きで
予測する人はいないでしょう。普通はニュートン力学で十分です。
● 又台風の進路を予想するのに,風の中に含まれる気体分子の個々の動きを予想して、
スパコンで台風の進路を計算する事は出来ないし、無意味です。マスとしての
風を計算しないと、スパコンがオーバーヒートします。
● 生物でもそうです。人間の細胞は化学反応の固まりですが、だからと云ってある動物の
次の行動を個々の細胞の化学反応で予測するというのは、馬鹿げたことです。
化学は化学であり、スポーツは独特のスポーツ科学があります。
● つまりスケールが大きくなると、それを分析する法則や手段を変えなくては、全く
実用的な科学にはなりません。
● 経済学とてそうです。個々の人間の心理や購買意欲からみたミクロの経済を、マクロの
経済学まで広げて、分析しようとするのは、全くばかげたことです。マクロには
マクロの法則が必要であり、それがまた実用的な分析結果を生むのです。
● 既に誰か有名な経済学者が言ったと思いますが、神の手が働いて、個々の人間の誤謬の
合成が、結果として、大きな流れを生むのです。個々の人間の過ちを計算しても
マクロの流れは見えてこないのです。
● その神の手と云う法則を見つけるのが、マクロ経済学と云うのです。ミクロ経済学の
単純な延長の向こうに、マクロ経済学があると思ったら、それこそ痴呆症と云えます。
ノーベル経済学賞に米の大学教授 リチャード・セイラー氏
10月9日 18時55分
ことしのノーベル経済学賞の受賞者に、消費など人々の身近な経済活動を、心理学と経済学の両面から分析したアメリカのシカゴ大学の教授、リチャード・セイラー氏が選ばれました。
スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の午後7時前、記者会見を開き、ことしのノーベル経済学賞にアメリカのシカゴ大学の教授、リチャード・セイラー氏を選んだと発表しました。
セイラー氏は、消費など人々の身近な経済活動を心理学の要素を交えて分析する「行動経済学」の権威として知られています。具体的には、商品の価格を下げたり、人々の所得を引き上げたりするのではなく、適切な情報を提供することで、人々に行動を促し社会を望ましい状態に導く「ナッジ」という考え方を提唱しました。この考え方は節電の促進や肥満の防止など欧米の公共政策に大きな影響を与えたとされています。
また「オークション」で商品を高値で落札した人を例に挙げ、落札した人はその喜びからみずからを『勝者』と感じるものの、経済学的には、合理的でない価格で購入したことになるとして、そうした消費行動を『勝者の呪い』と呼んで、人々の経済活動の非合理性を指摘しました。
セイラー氏の行動経済学に関する著書は、アメリカでベストセラーになっていて、多くの市民に読まれているほか、日本でも販売されています。
ノーベル経済学賞の選考委員会は授賞理由について「個人は完全に合理的には行動できないこと、社会的な背景を踏まえ選択すること、そして自分自身をコントロールできないことなど、人間の持つ特徴が個人の経済的な決定や市場にどのように影響を与えているかを示した」としています。
選考委員会「セイラー氏 経済学と心理学の橋渡し」
ノーベル経済学賞の選考委員会は授賞理由について「セイラー氏は経済的な決定をする際の分析に心理学的な要素を取り入れた。個人は完全に合理的には行動できないこと、社会的な背景を踏まえ選択すること、そして自分自身をコントロールできないことなど人間の持つ特徴が個人の経済的な決定や市場にどのように影響を与えているのか示した」としています。
そのうえで「彼の貢献は個々の人の経済的な意思決定の分析において経済学と心理学の橋渡しをしたことだ。セイラー氏が導き出した理論は、行動経済学の新たな分野を急速に拡大させ、多くの経済研究や政策に影響を与えた」としています。
セイラー氏「経済の主体は人間」
ノーベル経済学賞の受賞者を発表した記者会見で、セイラー氏は電話インタビューに応じ「私の研究で最も重要なのは、経済の主体は人間であり、経済モデルはそれに立脚しなければならないという認識だ」と述べました。
また日本円でおよそ1億2500万円にのぼる賞金の使い方を聞かれたセイラー氏は「できるだけ非合理的に使おうと思います」とユーモアを込めて答えていました。
土居慶大教授「行動経済学をメジャーに押し上げた」
日本の経済学者は、セイラー氏の研究について人々の消費など生活に深く関わるテーマを分析している点を評価しています。
慶応大学経済学部の土居丈朗教授は、セイラー氏について、消費など人々の身近な経済活動を心理学の要素を交えて分析する「行動経済学」の権威だとしたうえで、「セイラー氏はそれまでマイナーだった行動経済学という分野をメジャーに押し上げた」としています。
具体例として「オークション」で商品を高値で落札した人を挙げ、「落札した人は、その喜びからみずからを『勝者』と感じるが、経済学的には、合理的でない価格で購入したことになる。セイラー氏はそうした消費行動を『勝者の呪い』と呼んでいる」として、必ずしも合理的ではない人々の経済活動を深く分析したと評価しています。
セイラー氏の著書はアメリカでベストセラーになっていて多くの市民に読まれているほか、日本でも著書が販売されています。
依田京大教授「経済学に心理学的な分析根づかせた」
京都大学経済学部の依田高典教授は「セイラー氏は、1980年代に経済学の中に心理学的な分析を根づかせ、その必要性を認めさせた権威だ」と話しています。
セイラー氏の功績については、商品の価格を下げたり、人々の所得を引き上げたりするのではなく、人々に適切な情報を提供することで社会を望ましい状態に導くことができる「ナッジ」という考え方を提唱したことを挙げています。
依田教授は「『ナッジ』の考え方は、節電の促進や肥満の防止など欧米の公共政策に大きな影響を与えた。この功績がノーベル賞受賞につながったのではないか」と話しています。
安田洋祐准教授「『心の会計』存在明らかに」
大阪大学大学院の安田洋祐准教授はセイラー氏の研究について「人間にはお金の使い方を自分の心の中であらかじめ決めて、使い方の枠を設ける『心の会計』が存在すると明らかにした。
具体的には1か月当たりの遊興費を1万円としている人は、1万円で購入したコンサートのチケットを道に落とした場合、月々の遊興費を上回るため新たにチケットを買わないなど経済学に心理的な要素を取り入れた。
一般の人々の感覚に近い人間像を主役にした経済の理論や見方が広がっていくとともに、セイラー氏の行動経済学の知見が今後、経済学全体に取り入れられる可能性がある」と話しています。
「将来日本人の受賞可能性は十分ある」
准教授は「今回のセイラーさんも70歳を超えているように、経済学賞はほかの自然科学の賞と比べて高齢になってから受賞する傾向があり、研究が出てから受賞までの期間が長いのが特徴だ」と指摘しています。
そのうえで「日本人の有力候補として名前があがるプリンストン大学の清滝信宏さんも主たる業績が出たのは1997年で20年しかたってない。20年というのは、経済学の中ではまだ短く、もう少し待つ必要がある」と述べ、将来、日本人がノーベル経済学賞を受賞する可能性は十分あると話していました。
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● ド素人の私があえて、上記の行動経済学を批評又は非難しても、所詮詮無き事
ではあるが、あえて書きましょう。
● 物理学でもそうであるが、ミクロとマクロの法則は、原則として別のものを使います。
例えば、地球の太陽の周りを、地球の個々の構成要素である、原子の動きで
予測する人はいないでしょう。普通はニュートン力学で十分です。
● 又台風の進路を予想するのに,風の中に含まれる気体分子の個々の動きを予想して、
スパコンで台風の進路を計算する事は出来ないし、無意味です。マスとしての
風を計算しないと、スパコンがオーバーヒートします。
● 生物でもそうです。人間の細胞は化学反応の固まりですが、だからと云ってある動物の
次の行動を個々の細胞の化学反応で予測するというのは、馬鹿げたことです。
化学は化学であり、スポーツは独特のスポーツ科学があります。
● つまりスケールが大きくなると、それを分析する法則や手段を変えなくては、全く
実用的な科学にはなりません。
● 経済学とてそうです。個々の人間の心理や購買意欲からみたミクロの経済を、マクロの
経済学まで広げて、分析しようとするのは、全くばかげたことです。マクロには
マクロの法則が必要であり、それがまた実用的な分析結果を生むのです。
● 既に誰か有名な経済学者が言ったと思いますが、神の手が働いて、個々の人間の誤謬の
合成が、結果として、大きな流れを生むのです。個々の人間の過ちを計算しても
マクロの流れは見えてこないのです。
● その神の手と云う法則を見つけるのが、マクロ経済学と云うのです。ミクロ経済学の
単純な延長の向こうに、マクロ経済学があると思ったら、それこそ痴呆症と云えます。