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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)6月6日(火曜日)
通算第5316号 <前日発行>
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習近平のシルクロートの夢と現実
現場は閑古鳥が鳴いて、免税特典を狙うだけの企業が登録
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カザフスタンと中国との国境のひとつ、ホゴス国際辺疆自由貿易地区は、鳴り物入りで造成され、習近平が吠える「シルクロード」の目玉のプロジェクトと云われた。
中国のメディアは連日のように「大成功」と報道した。たしかに中国側のほうは高速道路が延びて、近代的な都市を象徴する高層ビルもすこしは建っている。
五年間の免税、つぎの五年間も税金は半額になる、と聞いて色めき立ったIT産業などは、ホゴス自由貿易ゾーンに法人登録をなした。
「その数が2411社に膨らんだが、現場で実際に企業活動をしている会社は殆どない」(アジアタイムズ、6月5日)
一方、カザフ側のほうは宏大な貿易自由区の土地が確保されたが、過去五年間ほとんど空っぽ、砂漠のテント村にある安物のショッピングモールのほかはマトン料理の野外レストランくらいしか目立たない。
鉄道輸送だけは活発で、貨物通過量は五倍に伸びたという。理由は中国沿岸部からヨーロッパへの輸送時間が短縮されたからで、この輸送中継と税関チェックの補助作業などで、冒頭の自由貿易地区に連絡事務所をひらいただけのIT産業が多く、ほかにこれという大規模な進出も、活発な経済活動も見られない。
シルクロードプロジェクトの派手な打ち上げと、現場での隠蔽された現実の貧困。そのあまりの乖離を目撃したロイター記者が、実情を伝えた。
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● 投資の時代を間違える中共。中共自体は武人戦国時代であり、投資先の中央アジアは
武人時代を過ぎ、知恵者の時代です。本来武人は武力を用いて相手の
国を支配して、利益を得るのが本分です。
● それに対して、中央アジアは身分制度(序列)と国内の安寧を重視する時代です。
所謂日本の江戸時代がそれに相当しますから、外国の支配を極端に嫌う時代です。
中東を見れば分かります、欧米勢をすべて排除するまでは、命を懸けて
● 国造りをする時代です。勿論外国との付き合いは、歴史に乗り遅れないようにするには
必要ですが、江戸時代を見ても分かるように、国内の平安を脅かさないレベル、
つまり出島を使っての外国との取引が普通でした。
● 沖縄を使って(沖縄収奪と差別の原点)の清朝との取引で膨大な利益を得る(薩摩藩)という
抜け道はありましたが、基本は制限された貿易です。資本主義時代(富裕者の時代)
のような無制限な開放はありません。したがって、これらを総合すると、
● シルクロード沿いに町々が作られ、それらが大繁栄するという可能性は想像できません。
それらの繁栄した町は、テロリストや異端の人たちの巣窟となりますから、
リスクを極端に嫌う知恵者の中央アジアの国々が許すはずはありません。
● 既に彼の国々では、資源による繁栄が約束されているのですから、臆病な知恵者が
許すはずはありません。ロシアでも外国に資源企業を売り払った人たち
(殆どが新興成金のユダヤ人ですが)は逮捕又は殺されて、
● これら企業はロシア国民の手に戻っています。日米が石油採掘の為に極東に投資した件も
最後は、プーチンにより全て、ロシア企業に取られました。そのように
国内を脅かす可能性があれば、NPOと云えども禁止し潰すのです。
● 従って中央アジアの出島と云えば、文字通り一帯一路(鉄道)のみですから、それのみが
繫栄するのは、中央アジア諸国の体制の理にかなっていると思われます。
● しかし鉄道はセキューリティという観点からは脆弱と思われます。少数のテロリストに
よる線路の爆破で、簡単に輸送を止める事が出来るからです。これが最大の
弱点でしょう。今後武人化するEUのテロリストが狙わないわけがありません。
● 勿論その前には、中央アジアのテロリストが狙うでしょう。徒歩で歩いた昔の
シルクロードと異なり今はスピードが命の時代ですから、一帯一路は
多難と云えます。
● しかしながら、むしろ警戒は必要です。陸がだめなら海があるさとばかりに、シーレーンを狙うのは
必然だからです。人口減少の時代に、どのようにしてシーレーン防衛をすべきでしょうか?
● やはり東南アジアから大量の移民が来るのが、必然的結果なのでしょうか?
● さて、永遠にアジアの内陸は繁栄から取り残されるのでしょうか? そのような事は
自然の法則が許しませんので、繁栄は必ず来ます。それは知恵者の時代が終わり
アジア大陸全体(ロシア・中央アジア・東欧・中東)が富裕者の時代に
● 突入する時です。あと270年後の事です。つまり、同時に中国が知恵者の国となり分裂して
・殻に閉じこもった時です。その時は日本は指をくわえてみているのでしょうか?