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西欧資本主義最後のバブルの準備・トランプ氏の統制経済

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★ http://japan-indepth.jp/?p=32466

【大予測:資本主義】国家に企業が従う統制経済復活 その1

岩田太郎(在米ジャーナリスト)

「岩田太郎のアメリカどんつき通信」
「いよいよ来たか」。トヨタ自動車の関係者が、ドナルド・トランプ次期大統領のツイッター投稿に反応した。
トランプ氏は1月5日、「トヨタは米国向けのカローラを生産する工場をメキシコに(10億ドルを費やして)新しく建てると言っている。あり得ない!米国に工場を建てるか、高い国境税(関税)を支払え」と脅しをかけたのだ。

トランプ次期大統領は、就任前から世界一の超大国の指導者の絶大な権威を使い、資本主義のルールに則ったトヨタのメキシコ生産に難癖をつけて堅調な日本車の勢いを削ぎ、トヨタや日産自動車やホンダなどに勝てない米自動車メーカーを保護しようとしているように見える。

日本メーカーがメキシコや日本で生産し、米国で販売するクルマに高い関税がかかれば、日本経済にも大打撃だ。1980年代から「日本は、米製造業や労働者を不公正な貿易で痛めつける国」と攻撃してきたトランプ氏には、そうした意図が実際にあるのだろう。

だが、それはより遠大なトランプ氏の「資本主義大改革」の一部に過ぎない。正統性を失った新自由主義的な米国主導の戦後体制を、「非資本主義的な統制経済」「保護主義」や「『世界の警官』をやめた米国」「ロシアとの同盟」など、従来ではありえない発想で内部からひっくり返し、崩壊の危機にある資本主義や富裕層・エリートの生き残りを図るしたたかな戦略が、そこにはある。

この戦略の枠組みのなかでトランプ氏は、米製造業の企業にも次々と「米国内で生産を行わないなら、高い関税を払え」と脅迫している。ビッグスリーの一角、フォード自動車は、トランプ氏の圧力に屈し、メキシコで16億ドルをかけた新工場建設計画を断念し、代わりに米中西部ミシガン州に投資することを発表した。ゼネラル・モーターズのメキシコ生産も攻撃を受けている。こうしたなか、メキシコでの雇用がビッグスリーの中で一番多いフィアット・クライスラーが、標的になるのも時間の問題だ。
大統領当選以来、トランプ氏は米空調大手キャリア、鉄鋼大手USスティール、IT大手IBM、通信大手スプリントを傘下に持つ日本のソフトバンクなどに、「米国内での雇用を新規創出する」、あるいは「工場海外移転をやめ、米国内の雇用を維持する」ことを約束させている。「来る5年間に2500万人分の雇用を創出する」という、選挙中に広げた大風呂敷公約の実現が極めて難しいため、象徴的な「戦果」でカバーしようというわけだ。

こうしたなか、トランプ次期大統領の口先攻撃を受けてもいない企業が、海外移転した海外工場を米国に戻す、メキシコ生産を諦めるなどの対応を自主的に取り始めた。電動工具大手ブラック・アンド・デッカーのジェームズ・ロリー最高経営責任者(CEO)は、「中国やメキシコとの貿易が不確実な今、工場を米国に戻すことがビジネス上の賢明な判断だ」と述べ、恭順の意を表明。
さらに、メキシコで自動車向け機能性樹脂の工場新設を検討中の旭化成の小堀秀毅社長も、「場合によっては米国内の拠点拡大がいいかもしれない」と語り、自動車向けモーターをメキシコで生産する日本電産の永守重信会長兼社長も、「メキシコからの輸出がだめなら、米国工場に生産移管の可能性もある。トランプさんが一番好きな国から持っていけばいい」と柔軟な態度を示した。
一連の動きを評し、米リベラル系メディア『アトランティック』は、「トランプ氏が以前ボス役をやっていたリアリティ番組そのものだ」と揶揄するが、水面下で進行する重大な米資本主義の歴史的変動を見逃している。それは、「国家が企業や投資家の利潤追求のプロセスに介入し、ルールを恣意的にねじ曲げる」という、資本主義総本山の従来のドグマが根底から否定される「宗教改革」だ。

米国内の雇用を守れと叫ぶ「国民情緒」という超法規が次期大統領の政策の根幹となっており、それはおよそ資本主義と呼べる代物ではない。しかし、そうした逆説的手法でトランプ氏は「資本主義という宗教」を守ろうとしているのだ。

自由貿易やカネ・ヒト・モノの自由な移動に支えられたグローバル化の進行する2017年までの世界は、政治が経済に従属するプロセスが進行していた。企業や投資家の活動は、投資ルールに従えば、共同体や人々の生活への影響がどのように破壊的・持続不能なものになろうとも許された。

一国の法律や、あまつさえ憲法までもが多国籍企業の利潤追求とグローバル経済活動に隷属する、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の「投資家と国との間の紛争解決(ISDS)条項」は、その最たるものだ。

だが、1月20日に就任予定の共和党のドナルド・トランプ次期大統領は、「政治が経済を支配する」統制経済を目指し、1980年代に共和党のロナルド・レーガン政権が解き放ち、歴代共和党・民主党政権が共同作業で育て上げた「政治が経済に従属する」新自由主義型の資本主義という「化け物」を退治しようとしている。トランプ氏はレーガン時代の経済政策を模倣してはいるが、本質においてアンチ・レーガンである。

トランプ次期大統領は、民間の工場海外移転などの経済活動に次々と介入し、資本主義のルールを無力化している。経済学者の小幡績氏は、「トランプの企業への圧力はパフォーマンスであり、実際に大統領になってからは発言にある程度抑制はかかるし、実際に関税などの手段に出るためには、議会を通さないといけないから、さらに抑制がかかる」と予測するが、甘い。トランプ氏は本気であり、だからこそ統制経済に向けた言動には強固な意志と一貫性がある。

事実、米外交問題評議会のエドワード・アルデン研究員が指摘するように、「米大統領が、自動車大手フォードのメキシコ工場投資を国家の産業非常事態とみなし、制裁を発動することを妨げる規定は、どこにもない」のであり、「非常事態権限の濫用ではあるが、トランプは常識や期待に縛られない男」なのだ。

こうしたなか、著名投資家のビル・グロース氏は、「イタリアのムッソリーニ時代の政策や、企業の利益が政府の管理下に置かれた時代を思い出させる」と発言したが、正鵠を射ている。しかし、「管理経済」はオブラートに包んだ言葉であり、実際はソ連など社会主義国家や戦時体制の日本が採用した「計画経済」「統制経済」と呼ぶのにふさわしい。
ローレンス・サマーズ元米財務長官は、トランプ次期大統領が資本主義の根幹を脅かしているとして、次のように警鐘を鳴らす。「米資本主義は、ルールと法に則って運用されており、予測性が高く、不確実性を減少させる。米大統領は巨大な権力を持っており、それが恣意的に使われると、企業は大統領の望む場所に工場を建設し、大統領の望む雇用を創出し、大統領の望む研究を行うようになる。トランプ氏の介入は、資本主義手続きより、政治的結果を重視したという象徴的な意味を持つ」。

そうした意味で、トランプ次期大統領の圧力によりメキシコ工場新設を断念したフォードのマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)の、「私は経営者として、株主に(彼らの利潤最大化という)責任を負っているが、同時に、権力を持つ政府との良好な関係を確実にしなければならない」という言葉が重く響く。
トランプ氏が推進する「経済の政治への隷属」政策の本質を見れば、「中間層や労働者の味方」を標榜しつつも、実際には従来の予測可能な資本主義のルール継承を掲げていた民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官こそが、財界や富裕層の味方であったように見える。

だが、トランプ次期大統領の統制経済的な政策は、本当に財界や富裕層にとって脅威なのだろうか。不動産王で大富豪のトランプ氏こそが、財界や富裕層を代表する人物ではないか。なぜ、そのトランプ氏が、企業にやさしい規制撤廃を標榜しつつも、社会主義的と言われても仕方のない政策を掲げるのだろうか。
(その3に続く。全4回。その1。毎日18時配信予定。)

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● 私が数年前から、資本主義の崩壊と、上記の全体主義的、社会主義的、統制経済の
  時代への突入、端的に言えば、武人の時代への体制転換を
  予測した通りの展開ということです。

● 世界中がクリントン女史の当選を予測する中で、トランプ氏の当選が、時代の要請
  であることも、すでに2016年の7月の時点で書きました。予測通りです。

● 小幡氏の甘い予測は、目先の経済的常識しか知らない、低レベルの期待です。
  つまり、彼の見識は、以前にも書いたが、書生レベルで、教科書しか
  知らない小物であり、国家歴史の指南には向いていないということです。

● 上記の分析を、分かりやすく、人間の人生に例えるなら、老いた醜い老人が、若者や
  中年に嫉妬して、若さを取り戻そうと、その社会的権勢を利用しているようなものです。
  いくらお金や権勢で、美女を集めて若さを取り戻そうとしても、
  所詮かなわぬ不老長寿の薬を求めるようなものです。

● 勿論、短期間は美女と交わることにより、若さが一次的に戻ることはありますが、すぐに
  限界に達することは、当然のことです。しかし同時にその短期間の効果は
  姥桜として、最後の美しい壮大な花を咲かすことも当然です。

● そのはかなく散る直前の、花見の季節が到来するのです。トランプ氏就任とともに
  大崩壊する市場ーそれはまるで魔女=女史の復讐かのように、きつい一撃では
  あるが、トランプ氏はそれを退治して、最後の姥桜が、

● 2018年前後から、約10年間、2029年まで最後の壮大な桜の花を咲かせるのです。
  それはそれは、老木とはいえ巨木ですから、見事な花見となるでしょう。
  2029年のUSA株価は、暴落時の価格の10倍以上と予測できます。

● つまり、1万ドルまで暴落すれば、10万ドル以上まで上がるということです。
  USAの生活している皆さん、最後の人生の賭け処が待っていますよ。
  勿論日本でも似たようなことが起こりますが、崩壊時期は早まります。

● この見事な花火が、マネーゲームをしている人の=花見を楽しむ人の、資本主義最後の
  楽しみとなるのです。花を散らしながら、老木はゆっくりと、しかしながら
  確実に最後の死を迎えます。西欧資本主義の見事な最後でしょう。


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